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狂った世界を破壊する革命の狼煙  作者: kanaria
第2章 地下の国

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36.何をしても爆発する

 バーン!


 ただ闇の玉を出そうとしただけなのにやはり爆発する。

 初級魔法だったので爆発は小規模だ。それでもいつもと変りない。


「変な空間だし、期待してたんだけどなぁ」


 闇の玉を出そうと突き出した手のひらを眺める。

 特に変わった感覚はなかった。いつも通り魔力が流れて爆発する。改善も悪化もしていない。


「……はぁ、先は長そうね」


「あら、マリー。はしたないわ」


 観戦モードでぺたりと地面に座り込んだマリーをフローリアが立たせようと促す。

 変な靄が発生している空間でも動じない精神力は凄いと思う。


「何かあったらどうするの? 爆発にも巻き込まれるかもしれないわ」


 マリーはちらりと俺を見てからフローリアに視線を戻す。

 一瞬だったのに俺の闇魔法に全く期待していないことは伝わってきた。


「確かに爆発に巻き込まれるかもしれません。でもそうなったらそうなったです。どの道イオが闇魔法を成功させないと此処から出られないのですから」


 フローリアを見上げるマリーはぶすっと不貞腐れた表情で頬を膨らませる。

 立ち上がる気もなさそうだ。フローリアが諦めたように闇魔法で椅子を作り出す。


「せめて椅子に座りなさい」


 虹色の靄が立ち込める空間に不釣り合いな黒い椅子が2つ。繊細な細工つきで完成する。アラン用の椅子はなさそうだ。


 本当に魔族は闇魔法を使いこなしている。これほどの使い手なんて地上では滅多に居ない。

 中佐だから特別なのか?


 1人椅子のないアランは気にしていないようで、どこまで高く飛べるか試しているらしい。アランが俺に切りかかってくる前にどうにかしないと危険だろう。


 成功させなきゃ出れないって言ってもどうしたら良いんだよ。


 マリーだけではなく俺も不貞腐れそうだ。

 今まで成功していないのに、場所を変えただけで成功する気がしない。


 もういっそ、爆発を敵に当てる戦法の方が良いんじゃないか?

 それなら練習をしなくても出来そうだし。


 俺はもう一度闇魔法を爆発させてからリンダールの言葉を思い出した。


「闇魔法の暴走は魔力が闇魔法へ転換ミスを起こしているから……だったか?」


 変換ミスなんてどう直せばいいのか分からない。簡単に直るものでもないだろう。

 せめてマリーとフローリアだけでも外に出せれば良いんだが……。


 俺はため息をついてから体内を流れる魔力を感じ取る。

 これくらいのことなら簡単にできるが、魔力は魔力だし適性は適性だ。適性があるのに魔法が転換ミスを起こしているとはどういうことだろうか。


 上級魔法をつかっても下級魔法を使っても爆発する。

 ということは魔力量の問題ではない。フローリアが言っていた魔力暴走でもないはずだ。


「難しいな」


 ここで簡単に解決するのなら魔族の国に来てからずっと悩んでなんてない。

 リンダールも難解なヒントを出すのではなく教えてくれればいいのに。


 地面に大の字に転がり、空を見上げる。

 閉ざされた空間だけあって空も虹色の靄に覆われていた。


 こんな風に寝転んだのはいつぶりだろうか。

 ずっと、ずっと走り続けてきた気がする。


 青空も太陽も存在しない空間で俺は体から力を抜く。もう長いこと気を休めようなどとしていなかった。

 常に怒っていたし、憎んでもいた。その憎しみは今も変わらないが、隣にマリーがいる。変な奴だがアランも俺を見てくれる。リンダールやフローリアは何を考えているのか分からなくても、クルスと両親以外敵だらけだった地上とは大違いだ。


 俺は目を一度閉じてから開く。


 魔力への転換ミスとはどういうことだろうか。

 地上で使えていた魔法は普通に使える。意識して変えられるものじゃないから、爆発が止まらないんじゃないか。


 もし魔族ではないと使えなかったり、一定期間地下の食べ物を食べる必要があるのなら俺は闇魔法を使えない。

 だが、そうならリンダールが何か言ってきたはずだ。それもなかったのだからやはり練習をすれば使えるのだろう。


 俺は魔力の流れを意識して火魔法で玉を作り出す。

 それを維持したまま水魔法の玉を作っても変な感覚はない。普通に発動したし、玉を維持できている。


 でもこの2つの玉のように闇魔法を発動しようとしたら、やはり爆発した。ただ、発動時に少し違和感がある。

 ものすごく集中しなければ気づけない程小さな違和感だ。


「詰まってる? いや、詰まってるというよりは…………」


 なんか上手く魔力を引き出せなくて闇魔法になってない感じがする。爆発しているのは引き出した魔力を逃がす為だろうか。


 俺はもう一度闇の玉を作り出し、爆発させた。

 他の魔法と比べるとやはり違和感がある。


「よし! やっぱりそうだ!」


 勢いよく起き上がり、魔力を手に集める。

 そこから闇魔法を使おうとしたが、先ほどとは違って何もつかめなかった。


「……なんで?」


 違いが分からずに首をかしげると、マリーが近づいてきた。


「さっきは何か分かって今が何も分からないのなら姿が小さい時じゃないと感じ取れないのかもね」


「えっ?」


 驚いて俺の手を見ると確かにさっきより大きい。

 変な空間だから体が大きくなっているのだろう。


「もしかして、この大きくなったり小さくなったりするのにも意味があった?」


 リンダールが良く分からない空間に押し込めてきたものだと思ったのに違ったのかもしれない。

 俺は小さくなってから再び闇魔法を使う。するとやはり違和感を感じ取れた。


「小さい姿の方が魔力の巡る範囲が少ないから、少しの違和感も感じやすくなるのかもしれないわね」


「なるほど」


 近くで俺の練習を見ていたフローリアが肩をすくめる。

 断言しない辺り、魔力暴走と間違えた時のことを引きずっているのだろう。


 この違和感を突き詰めれば闇魔法も爆発しなくなるか?

 ストレートに魔力が流れれば爆発何てしないはずだもんな。


 じっと手のひらを見つめ闇魔法を出す。

 間近で爆発する魔法は少し怖かった。


 それでもこの不具合を解決しなければここから出られない。

 俺はマリーとフローリアに見守られながら闇魔法の小爆発を繰り返した。


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