表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラフィフおじさんの推し活奮闘記  作者: DAI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/15

第3話

私の名前は田中健二。今年で45才。いわゆるアラフィフだ。


「スタドリのライブ、入場開始しまーす。」

戦闘開始の号砲だ。


「ケンジくん、さあ、行こうか。」

アヤさんが私の背中を押す。

「よし!」

さあ、いよいよ、初陣だ。


狭い階段を降りると、すぐの所にテーブルがあって、スタッフが座っている。

「チケット。1人2000円になりまーす。ドリンク代は500円でーす。」

「ここで、チケ代とドリンク代を払うんだよ。」

「わかりました。師匠。」

「・・・師匠って・・・。」

「アヤさんは、スタドリの推し活の先生だから、師匠です!」

「まあ、いいや。おじさんに師匠って言われるのも悪くない。」


チケット代とドリンク代を払って、ドリンクコインを受け取る。


「物販はこちらでーす!」

「ケンジくん、グッズ何か買う?」

「アヤ師匠のおすすめは?」

「ソウダナー。一推しのメンバーのサイリウムとか?」

「サイリウム。それにします。」

「ケンジくんの推しは誰なの?」

「・・・ユウくんです。」

「私と同じだ―。ユウくんの色は、赤だね。」

「じゃあ、赤にします。」

私は、赤いサイリウムを買った。

アヤ師匠と一緒なんて、光栄だ。


武器サイリウムを装備して、いよいよ、戦場へ。。。


ライブハウスの中は、思った以上に狭い。そして、舞台が近い!

私は緊張で膝が震えた。

「大丈夫?ケンジくん、今日初めてだから、後ろでゆっくり観よう。」

「わかりました。師匠。」

ライブハウスの後ろには丸いテーブルがいくつかあって、そこでドリンクを飲みながら観れるらしい。

「ケンジくん、コインくれる?私、交換してくるから。何がいい?」

「じゃあ、ビールで。」

「了解!」


アヤ師匠が、直々にドリンクを交換してきてくれた。

「じゃあ、ケンジくんの初ライブを祝して、乾杯!」

「か、乾杯。」

何故だか照れる。こういうのは久しぶりだ。


「アヤちゃん!」

男の人の声がして、自分じゃないのに思わず振り返ってしまった。

「マサさん!ミドリちゃんも!」

男性の方は、私と同年代だろうか?いかにも中年のおっさんという感じだ。禿げてはいないが、頭頂部が結構薄い。私と同じくスーツ姿だから、どこかの会社員だろう。

女性の方は、アヤ先輩よりも少し上か。ショートカットで落ち着いた雰囲気の女性だ。服装からして会社帰りのOLさんだろう。

「久しぶり!そちらは?」

マサさんと呼ばれた男性が、私の方を見て話しかける。

「こちらは、ケンジくん。今日が初ライブ。」

「初めてかー。私が初ライブの時もアヤちゃんが声かけてくれたんだよね。」

ミドリちゃんと呼ばれた女性が笑いながら話す。意外にフレンドリーな人だ。

「そうだったねー。懐かしい。」


「3人はお知り合いなんですか?」

私は、緊張しながら聞いた。

「そう。マサさんとミドリちゃん、私の3人でスタドリのライブとかイベントによく行くんだ。今日からは、ケンジくんも仲間だね。良いでしょ?2人とも。」

「もちろん!」「もちのろん!」

2人に受け入れてもらえたのは嬉しい。私に友人が一遍に3人も出来た。スタドリとの出会いに感謝しかない。

「よし、決まり。じゃあ、改めて、4人の出会いを祝して乾杯!」

「かんぱーい!」「かんぺー!」「乾杯!」


なんだか、今日は良い日だ。


と、会場の音楽が徐々に大きくなってきた。

「ケンジくん、いよいよ始まるよ。サイリウム準備!」

「はい。師匠。」

ミドリさんが笑う。

「師匠って何?」

「アヤさんは、スタドリの先生なんです。だから師匠。」

「変なの。」

笑われた。。。でも、師匠は師匠だ。


ワー!

キャー!


地響きのような歓声が起きる。

舞台袖からスタドリのメンバーが現れた。


「ユウくーん!!」

アヤ師匠とマサさんが同時に叫ぶ。・・・しまった!遅れをとったっ!!


「スタドリー!」

ミドリさんはグループ名を叫ぶ。誰推しとかではなく、グループ全員が推しなのか。


舞台上には、スタドリの5人が揃っていた。

ま、眩しい!眩しすぎるっ!!

やはり、センターのユウくんが一番光っている。


「こんばんはー!僕達、Star☆Dreamでーす!!」


更に歓声が大きくなる。


こんなに近くでスタドリが観れるなんて。彼らの息遣いさえ感じられそうで、気を失いそうになる。


「今日は、僕らのライブに来てくれて、ありがとう!」

「一生懸命、歌います。最後までよろしく!」

「それでは、1曲目聴いてください。僕らの大事な曲です。」

「DREAM STAR」


会場が暗転し、曲のイントロが始まる。

この曲は・・・初めてテレビで聴いた曲だ。


私は、無心でステージ上の彼らを見ていた。

一瞬たりとも目を離したくない。彼らを目に焼き付けたい。

彼らは、まさにアイドル(偶像)だった。


素晴らしい。なんて、素晴らしいんだ。

彼らの声が、踊りが、歌が、私に生きている実感を与えてくれる。

こんなアラフィフのおじさんにも夢を与えてくれる。

彼らに出会えて良かった。本当にそう思った。






<つづく>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ