合コン
七話「次期社長」
あかりと門は白馬酒造を後にし、植木の前の職場に車で向かっていた。
「門さん。そういえば、ほかの二人は?」
「ああ、さっき本部から報告があって、遺体のDNAと植木の作業着に付いてた毛髪のDNAが一致したらしい、だからあいつらには植木のアパートに向かって家宅捜索に行ってもらってる」
「そう、、」
「はーーあ、、、んなしょぼくれた顔すんな!おまえだって分かってたんだろ?あの遺体が植木だってことは」
「うん、そうなんだけど。私、ユキさんに必ず見つけますって嘘ついちゃったから、、申し訳なくて」
「それは、おまえなりに気を遣ったんだろ?確かにあのお嬢さんにいい知らせが出来ないのは残念だが、事実は変えられないんだからな」
車窓に流れる景色を眺めるあかりを横目で気にかける門はどうしたもんかとため息をついた。
小一時間であかり達は目的の場所に到着した。そこは高層ビルが建ち並ぶ都会で、「テック」と書かれた一つの硝子張りの青いビルが植木の以前勤めていた会社だ。
早速その中に入ろうとすると門のスマホが鳴った。
「あかり、ちょっと待っててくれ。どうした?ああ、おう。分かった。そっちは任せる今こっちは植木の前の職場に着いたところだ。何か分かったらメールで頼む。そんじゃ」
「何か分かったの?」
「ああ、植木のアパートに行ったら中から女が出てきたからこれから事情聴取をするとさ」
「女?ユキさんじゃない人ってことだよね」
「諏訪ウミっていう名前だとさ」
「え!?」
「なんだ?知り合いか?」
「昨日、花見の時にサクラ達と一緒にいた同級生なんだけど、、どういうこと?なんで」
「まあ、共通の友人かもしれないな、、詳しいことはあいつらから連絡が来るだろう。ほら早く行くぞ!」
ビルに入ると受付嬢に話しかける
「すみません、約束した門というものなんですが。人事部の加山さんいらっしゃいますか?」
「はい、お聞きしております。お部屋をご用意したのでこちらへどうぞ」
受付嬢に案内され、応接間に通された。少しすると灰色と白のまだらな頭をした七三分けのスーツ男が部屋に入ってきた。
「お待たせいたしました。人事部長の加山と申します」
「始めまして。湯田警察署の門と」
「野沢あかりです」
「それで、電話でおしゃっていた植木のことですよね。こちらに残っていた資料はこれです」
「どうも。では拝見します、、え?あの、たったこれだけですか?」
差し出された資料はなんと履歴書たった一枚。
「はい、その一枚しかございません。その、、彼は本社に一ヶ月ほど正社員として在籍しておりましたが、仕事を全くしておらず、いつも女性社員に話しかけてばかりだったんです」
「え?」
「いくら注意しても治らず、困っていた時に新しく就任した社長が話し合いをして自主退社してくれて、我々はほんと助かったんです」
「新しい社長ですか?」
「ええ、前の社長の息子さんで、それがもう優秀な方なんですよ。この前もアメリカから帰ってきたばかりで今日も朝から急用でヨーロッパに行くんですよ。いやーすごい人ですよ安達社長は」
「それは忙しい方なんですね。あのそれで、植木さんどういった経緯でこちらの会社に入ったんですか?」
「えっと、確かこの会社にいた社員の紹介で入って、そしたら入社当初から女癖がひどかったんで紹介した人間がいけないんじゃないか!って社員の間で話題になて、その社員は植木くんが入社して少ししたら辞めてったんですよ」
「その社員の方の名前はわかりますか?」
「はい、茅野モミジさんです。植木くんと彼女が主催になってよく若手だけで飲みに行ってましたから、それも、植木くんが入社してから毎週ですよ。要は合コンですよ。もう社内ではちょっとした話題になってました」
「それはまた、すごいですね、、」
その時、門のスマホにメッセージが届いた。それを門は猫背になって机の下で確認する。
『防犯カメラの映像にテックの社長を確認。現在の場所を』
門はそれをあかりに見せる。
「加山さん、ちなみに社長の現在の場所って分かりますかね。植木さんの事について社長からもお聞きしたいのですが」
「分かりました。少々お待ちください」
加山が部屋を出て行くのを確認すると門はあかりに指示を出した。
「あかり、俺は長谷達と合流して安達社長に会いに行く。もしかしたら高飛びするかもしんねえから急ぎだ」
「分かった。私は茅野モミジさんに会ってくるよ」
その後、加山から社長が国際空港にいると教えてもらったので、門は長谷と合流して向かった。あかりは加山から茅野モミジの住所へ向かった。




