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春青泥棒  作者: 稲作稲穂
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4/9

風呂敷

四話『忘れ物』

 

 花見の日の次の日の朝、まだ日本酒「春雪」を見つけられずにいたあかりは今日も公園に向かっていった。

「私は探偵、依頼者に悲しい顔はさせない。そのためにも今日こそ必ず見つけ出す!」

決意を胸に、公園に着くと門さんがちょうど事務所から警備服に着替えて出て来たところだった。あかりは門さんのほうに向かった。

「門さんおはよう」

「おう、今日も探すのか?」

「うん、早く見つけてあげないと。サクラに聞いたらユキさん、すごく落ち込んでたって言うし、ここは探偵の腕を見せなくちゃ」

「まあ、なんか俺にも手伝えることがあったら言ってくれ」

「ありがとう門さん!」

あかりは早速、昨日の桜の木の下に向かった。公園内は朝方なので静かなものだった。目の前から猫背のお婆さんがひとり、あかりはすれ違いざまに挨拶をする。

「おはようございます」

「、、、、」

あばあさんはボソボソと言いながら公園を出ていった。その後ろ姿を見送ったあかりは昨日の桜の木の下についた。

「さてと、見つけるぞ!」

と、息込んで探し始める。すると、木の下に何か影が見えた。

「ん??これって風呂敷き?」

雪の模様が描かれた風呂敷をなんだろうと中身を開いてみると中に瓶が入っていた。

 その時、あかりは確信した。浮き出た桜の花びらに吹きかけられた白い砂が雪のようなデザインの酒瓶。これは、春雪だ。写真でしか見たことはなかったが一目で分かった。

「サクラに連絡しよ」

あかりがスマホで写真を撮っていると、後ろの方で聞いたことのある警備員のおじさんの声がした。

「おい!誰かこっち来てくれ!人が!、、、早く来てくれ!」

何か緊急事態のようだ。急いでそちらの方に走って行くと、叫び声に反応した警備員のおじさんたちが数名集まって大騒ぎしていた。人をかき分けて行くと、木の幹に寄りかかるようにして男の人が倒れていた。その側で門さんが観察していた。

「門さん!何があったの?」

「おう、、あかりか。事件だ、悪いが人払いの方を頼めるか?それと事務所に行って公園を封鎖してもらうように言ってくれ」

「分かった、、」

あかりは周りに集まってたおじさんたちを事務所に帰るように促しながら、倒れている男の状況を見ると。頭と腹部から大量の血を流し、動きはないもう息はないんだろうなと思った。周りには血が流れ出て地面が濡れていた。それと男の人の右手には血まみれの風呂敷が掴まれていた。

ん?この雪の模様は、、

あかりは先ほど見つけた春雪を見た、すると春雪を包んでいた風呂敷と同じ模様であることに気がついた。


 その後、警察が到着し規制線を張り、実況見分を始めた。そこに門さんも加わって捜査をしていた。あかりはその様子を警備員のおじさんたちと一緒に事務所の中から見ていた。

「あかりちゃん、こういうのって俺らはどうしたらいいんだ?」

親戚のおじさんが心配そうに聞いてきた。

「まあ、警察の言う通りにしてればいいと思うよ。上田のおじさんもまだ事情聴取から帰って来ないし」

私たちは警察から順に話を聞くと言われ、事務所で待たされていた。暇なおじさんたちはそれぞれ雑談を始めていた。

「上ちゃん、人が死んでるところなんか見ちまって相当びっくりしただろうな」

「そりゃあそうだろう、第一発見者ってやつだろ?なんかテレビみたいだな」

「そういえば、誰が死んでたんだ?」

「ほら!あれだよあの〜酒屋のところで働き始めたっていうあの若いの」

「若いの?あーなんかいたなそんなやつ、地元のやつじゃないからよく分かんねえな」

おじさんたちの会話で何があったのか分かったあかりはサクラに連絡を取っていた。見つかった酒瓶のことを報告しているようだ。

”サクラ、春雪見つかったよ。今日、ユキさんのところに渡そうと思う”

”よかった〜先輩、ありがとうございます。早速ユキに連絡しますね”

サクラはまだ事件のこと知らないよなと思いながら連絡が来るのを待っていると警官と門さんがあかりを呼んだ。

外に出たあかりは門さんたちに連れられ警察が集まる桜の木のもとに向かった。そこにはすでに死体はなくロープで人の姿が残っていた。

「本当に死んでたんだ」

「ああ、だが身元を証明するもんがなくて分からないんだ」

「あ!それならさっき飲んべえの飯田のおじさんが言ってたけど酒屋で働いてた人だって」

「は?そうなのか!」

「うん、小林のおじさんの見たことあるらしいよ」

「おい、聞いたか!その二人に事情聴取と酒屋に行って確認をして来てくれ」

「はい!」

門さんは部下の警官に指示を出した。

「あ、門さん。私も一緒に酒屋に行かせて」

「ダメだ」

「あのね、さっき後輩から連絡があったの、ほらこれ」

と言ってあかりはサクラからのメッセージを見せた

”先輩、ユキの婚約者が遺言残して行方不明になったみたいなんです!ユキ、すごく慌てていて、今からユキの家に来てくれませんか?”

「それとこの会社になんの関係があると言うんだ」

「わたしの推測だけど、この婚約者と被害者は同じ人なんじゃないかな?ユキさんは酒屋の娘さんだし、おじさんたちの話が本当なら酒屋で働いていたのはこの男の人だと思う」

「それにしたって遺言はおかしいぞ?害者は自殺じゃなくて殺人だ、後頭部を鈍器で殴られ、腹を鋭利な物で複数刺されてるんだからな」

「んー、、、とにかく私も酒屋に行くから、じゃ!」

と去ろうとするあかりを門さんは仕方なく引き止め、一緒にユキのいる酒屋に向かった。




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