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春青泥棒  作者: 稲作稲穂
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欠片

三話「酒」


 その後も桜の木の下で野沢あかりは大学の後輩サクラ、その友人のユキの三人で無くなった高級品の日本酒『春雪』を探すため、その時の状況を確認していた。その様子を戻って来たもう一人の友人が何事かと駆け寄ってきた。

 

 三人目 諏訪ウミ プロのサーファー ハワイ在住

「え?さっきの探偵さん。どうしたんすか?」

「ウミ!ちょうど良かった、ウミにも話してもらおうと思ってたところよ、先輩もう一人の友人の諏訪ウミです」

「ウミさん。よろしくお願いします」

「えっと、、、話っすか」

「はい!春雪を見つけるため、ウミさんのお話を聞かせていただいてもいいですか?ウミさんが春雪を最後に見たのはいつですか?」

「あー、、自分、見てないんすよ。ユキが乾杯したいって言って鞄の中から風呂敷を出したのは見たんすけど、その中身は知らないっす、だから写真見ながら探してるんす」

「え?そうなんだ、困ったな。サクラ、他になんか情報はないのかい?」

「ユキの隣に座っていたモミジは?」

「ええ、そうね、電話してみるわ」

ユキはモミジに電話をかけた。

ーリリリ~ン、リリリ~ン、リリリ~ン

桜の木の下から音がする。ウミが覗き込むと、根っこに挟まっているスマホがあった。

「あ!これモミジのだ」

「随分、芸術的なスマホケースですね」

「これ、彼女の手作りなんです。もう、モミジったらこんなところに落とすなんて」

「これじゃあ連絡が取れないね、すぐ戻ってくるかな」

「んん〜仕方ないですね。モミジさんのお話も聞きたかったですが、、」

「野沢さん、私の不注意のせいなのであとのことは自分でやりますのでご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした、、」

「え!そんなこと言わないでください!まだ探しますよ。皆さんは気にせずこのまま花見を続けてください」

「でも、、申し訳ないです」

「大丈夫!必ず見つけ出しますので後のことはこの探偵に任せてください!」

「ほらユキ、先輩もこう言ってるんだからあとは任せよ、、ね」

ユキは気持ちが吹っ切れない表情だが、みんなの顔を見て静かに頷いた。


 その後、ユキさんがどうしても花見の気分になれないと言ったので、サクラたちは他の友人を探しながら帰っていった。あかりはサクラに分かったら連絡すると言って別れた。

彼女たちと別れた後、あかりは事務所の方へ向かった。そこには酒に酔った警備のおじさんたちがプレハブ小屋で昼食を取っていた。あかりはその中からある人物を探していた。

「ねえ、門さんはどこにいる?」

入り口近くに座っていたおじさんに聞くと干物を口に含みながら

「お?アーカーリー!今日もかわい〜いな」

「んなこといいから、門さんは?」

「おいおい、姪っ子がそんな態度でいいのか?お年玉貰えなくなるぞ」

「門さん!」

あかりの後ろからダンディーな大柄の男がお好み焼き片手に立っていた。この門さんは本物の警察官。今日は非番で地元のおじさんたちとボランティアで警備を言い訳にただ騒ぎに来たのだ。

「お、門だ!あかり、門がいたぞ、お前ら干物食うか?イカ好きだろ、ほれ」

「もう、酔っ払いは大人しくしてて!門さんも子供扱いしないでよ!」

「俺からしたらあんま変わんねえよ。それよりどうしたんだ?」

「あのね手伝ってもらいたいことがあって、門さんお酒に詳しいでしょ」

「ああ、嗅ぎ分けられるほどな!」

「・・うん、それで、見つけてもらいたいのがなんと、あの日本酒『春雪』なんだ」

「は!?あの金賞を取ったと言われるあの?」

「そう」

「・・・んな馬鹿なことがある訳ないだろ〜おじさんをバカにすんじゃねえよ、騙されないぞ」

「もう、本当なんだってば!白馬酒造の娘さんが持って来てたんだから、とにかくこちに来て!」


 あかりは門さんを連れて道中、状況を説明しながらさっきまでいた桜の木の下に戻って来た。

「なんなんだよ、お前の後輩ちゃんたちの集まりは・・・羨ましすぎるだろ。白馬酒造のお嬢様と湯田中和菓子店のお嬢様、世界チャンピョンのサーファーって・・なんつー集まりなんだよ」

「ははは、本当それだね」

「で、ここでその高級品春雪を無くしたのかー見つけたらちょっと来れたりするかなー」

「門さん、それはやめた方がいいよ。お金請求されるかもしんないから」

「そうだよなー」

「それで、どうです?お酒の匂いとかしました?」

「ああ、確かにこの木の根っこから日本酒の匂いがするな、だが瓶は見つからないとなるとここで栓が取れて瓶はどこかに転がったか、、」

「やっぱりそうですか、私も匂いはわかったんです。そこで門さん。匂いとか辿れたりできないですか?」

「俺を警察犬扱いすんな!だが、この匂いは春雪じゃないと思うぞ」

「え?どういうことですか?」

「嗅いだことがある匂いなんだよこれ」

門は桜の木の匂いをもう一度嗅ぎ、根っこの方に顔を近づけると光ものを見つけた。ハンカチで拾うとそれは緑色したガラスの破片だった。

「なんだこれ、んーここから酒の匂いがするぞ」

「え?これって酒瓶?でも春雪の瓶は水色でピンクの桜が散りばめられた物だから違うし、誰かが落として割った物じゃない?」

なら、この桜からお酒の匂いがしたのもこの酒のせいか。

「んーどこ行っちゃったんだろ、せめて瓶だけでも見つけてあげたいのにな」




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