9話 作戦
残り人数「9」、手のひらサイズの小汚い紙に書かれていた事実に一同は驚きを隠せなかった。残り人数が減る事自体は別に不思議ではない。時間が経てば当然に起こると覚悟していることだ。
「は、早すぎる・・・。さっきの伝令から何ふ」
「15分。」
俺が聞くよりも早くに時計を確認していたカナリアが文字通り即答してきた。
「じゅ14チーム、56人だ。それがたった15分の間に消えやがった。」
前の伝令が試験開始から100分と少し、それで残り12チーム。だいたい最初の伝令で俺達が倒した分しか減ってなかったのも不可解だ。
嫌な予感がする。ゆらゆらと揺れる木漏れ日の中で青寒い風が突き抜けていく。木の葉と土煙の先を追うと、その艶やかな髪を揺らされレイビットが目を細めて横目で地面を見ている。彼もまた、というかここにいる4人全員が何かを感じとっっているのだろう。
「山頂に行こう。今、すぐに」
レイビットの指先は木々を縫って山頂を指していた。
ーーー
”アルセナル”、兵器庫と名付けられたこの島は2万年前、まだここが深海奥深くだった頃に海底火山が隆起して作られた火山島だ。山頂は標高100メートル程で周りに遮蔽物がなく島を見渡すには十分。彼はそこで残りの1チームを向かえうとうと言うのだ。
「そろそろかな・・・」
4人はは大昔の噴火でできた火口を過ぎ、もう後数十メートルで山頂というところまで来ていた。
「・・・・ッ」
最初に築いたのは先頭で歩いていたアイリだった。彼は反射的に足を止め少し姿勢を低くする。ここら一帯はほとんど植物が生えてなく、麓よりも音がよく届く。それでも聞こえたのは彼だけだった。
「・・・人の声だ」
後ろを向いてかすめるような声で慎重に伝える。
「なっ!?」
一番に声をあげたのは意外にもレイビットだった。知り合ってから二時間半、誰よりも冷静を保っていた彼がこの瞬間だけは違った。それもほんの一瞬、彼はすぐに冷静を取り戻し、「聞いてくれ」と3人に呼びかける。
「残り1チーム、おそらく彼らは全員1組だ」
「「っ!?」」
隊の再奥から突き抜けた衝撃はアイリ達をつい2、3秒前のレイビットを真似るような喫驚の顔にする。
「ど、どうしてそんなことが言えるんだよ!」
一瞬出かけた大声を飲み込み、カスパーは丹念にきたえられた胸板をぐぐっとレイビットに寄せた。彼はそれを意に介さず、一歩二歩と3人のちょうど真ん中に立つ。その麗しい顔はたった数十メートル先の山頂をじっと見つめ、覚悟を決める。
「理由を言っている時間は無い。彼らは僕達が登ってくるのを待っているんだろう。」
彼はおよそ300度、ゆっくり見渡した。アイリは何故かニヤついている。カナリアはいつもと変わらないほぼ無表情。少しうろたえていたカスパーはこの数秒で落ち着きを取り戻していた。
「今、作戦を考えた。2秒で理解してくれ」




