表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歓楽街を禁止された男爵庶子、言葉の通じない娘を買う 〜実は彼女は日本から来た異世界人?〜   作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/103

56.ユレシア、サツキの事情を打ち明ける

 王都にあるランドン伯爵家別邸の応接室。


 カロリーヌ、ルル、サツキの向かい側に、テシアとキサラとユレシアが座る。


 エルレンも座るように言ったのだが、護衛任務をすると言い、窓際に姿勢良く立っている。


 伯爵家の使用人が出してくれた紅茶を飲みながら、ユレシアはサツキをスラサル商会で買ったところから、公国の姫の可能性が高いこと、『移動』能力があること、公国の内乱によりサツキが危ないこと、などをテシアとキサラに話した。


 テシアとキサラは神妙な面持ちで聞いていた。


「やっぱり、巻き込まれてるじゃないか……」

 キサラはハァと息を吐く。


「ユレシアは、もう決めているんだね」

 テシアはユレシアに微笑む。


「はい。私はサツキの身分がなんであれ、サツキと生きていくと決めています。そのために必要ならランドン伯爵家に入りたいと思っています」


 ユレシアのきっぱりとした言葉に、テシアとキサラは頷いた。


「まあ分かったよ。俺はいいと思うよ。ユレシアは昔からすぐ諦めて結論を出すから、今回やる気なのは兄としては万々歳だよ」

 そう言うとキサラは、ユレシアの頭に手を乗せる。


「兄さんから見ても、そうでしたか?」

 ユレシアは手を払いのけながらキサラとテシアを見る。


「そうだな。騎士は『無理ですので』と言ってやりもしなかったな」

 テシアは思い出すように言う。


「騎士は、向いてないからで……」


「そう、そんなことばっかり言ってたよ。お前はな」

 キサラはもう一度ユレシアの頭に手を乗せる。


「ユレシア様、弱い!」

 フォローのつもりなのか、サツキがユレシアを「弱い」呼ばわりする。


「また片言失言してますよ!」

 ルルは頭を押さえている。


「本当に片言失言メイドだな。ユレシアは弱くないぞ? な、兄さん」

 キサラはテシアに同意を求める。


「ああ。ユレシアは今からでも騎士団に入れるくらいの実力はあるよ。お父様や私やキサラを相手にしていたから、感覚がおかしくなったのかもしれないな」

 テシアは苦笑いをしている。


「まあ! ユレシア様は実は武芸にも秀でてましたのね!」

 カロリーヌは目を輝かせている。


「ユレシア様、強い?」

 サツキはユレシアを見つめる。


「いや、強くはないけど、確かに基本はあるよ。サツキの事も全力で守るよ」

 ユレシアはサツキに微笑む。


「しかし、ユレシアがイルベルト家からいなくなると寂しくなるなぁ……」

 

「キサラ兄さんがそれを言いますか? さっさとロウラン子爵家に婿入りしたくせに……」


 ユレシアが呆れながら言うと、キサラは「いやいや」と笑った。


「イルベルトは俺が出て行っても特に寂しくないんだよ。ユレシアはさ、ほら、反応が可愛いじゃん?」


「なっ!?」

 ユレシアは顔を赤くする。


「そうだな。お父様も寂しがるだろうな……」

 テシアも目を伏せる。


 ガレシアの事を思い出し、ユレシアも目を伏せる。

 ガレシアは他の兄弟と分け隔てなく接してくれた。

 そんなガレシアのために、ユレシアもイルベルトを良くしようと動くことが出来た。


「ユレシア様、可愛い、だいじょぶ!」

 サツキがユレシアを励まそうとしている。


「お! 失言メイド、分かってるじゃん! ズレてるけどな」

 キサラはアハハと笑う。


「キサラ、公国の姫かもしれないんだ。あまり失礼な言い方をするんじゃないよ」

 テシアはキサラをたしなめる。


「サツキは身分制度が嫌いなので、そういう事は気にしませんよ」

 ユレシアが苦笑しながら言うと、サツキは大きく頷いている。


「ユレシア様、お話はまとまりましたよね? お見合いの方に移りませんこと?」

 カロリーヌは身を乗り出している。


 カロリーヌにとっては、すでに知っているサツキの話より、未知のお見合い(同性愛)の方が興味をそそられるようだ。


「そうですね。では私はサツキの隣にいきますので、エルレンさんこちらへ……」


「ユレシア様、私とサツキさんは立ちます」

 ルルはそう言って立ち上がり、サツキもルルの真似をする。


 確かにお見合いの席に侍女やメイドは同席しないだろう。


 結局、カロリーヌの隣にユレシアが座り、向かい側にテシアとエルレンが座り、壁際にルルとサツキとキサラが立つことになった。


 どうやらキサラはサツキをからかいたいようで、やたら話しかけている。


「え? 19歳になった? 嘘でしょ?」

「19歳ほんと、わたし、おとな!」

「サツキさん、大人は自分のことを大人と宣言しませんよ……」


 キサラとサツキとルルで、気が合っているようだ。

 ユレシアが前に向き直ると、カロリーヌがニッコリと微笑んだ。


「まずはですね、お二人の馴れ初めを聞かせてくださいませ!」


「カロリーヌ様、この席は、カロリーヌ様とテシア兄さんのお見合いですよ……」


 初っ端から、ユレシアはガックリと肩を落とした……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ