お茶会5
「私、リリアンヌさんとお友だちになりたいの。リリーと呼んでもいいかしら?」
その質問にリリアンヌは目を瞬かせた。
「あの……。もう友達だと思ってたんですけど」
(一緒に休みの日に遊んだら友達でしょ?二人きりだよ?お家にお呼ばれだよ?
どう考えても友達。というか、友達じゃなかったら何だと言うの?)
(何と!!既に友であったとは!!これは、嬉しい誤算じゃ。われにも遂に友ができたのか……。
前世では呪物や呪いの文を贈られたことはあっても、友はおらんかったからな。
何せ、帝と婚約した途端にすり寄ってきたり、憎まれたりばかりではあった。
気が許せたのは家族と一握りの侍女だけじゃ。
そのわれに、友と呼べる者が……)
リリアンヌの言葉に感動したイザベルは小さく鼻をすすった。
「やだ!!イザベル様、泣いてるんですか?」
「だって、嬉しくて……。
その、この間は折角リリーって愛称で呼んでもいいって言ってくれたのに、お断りして申し訳なかったわ。ごめんなさい」
「えっ!!いや、あれは打算にまみれてたんで断って正解と言いますか……」
あたふたとしているリリアンヌにイザベルは小さく笑う。
「あの、私もベルリンって呼んでもいいですか?」
「ベルリン?」
「はい!!あだ名です。私だけが呼ぶ愛称ですね!!」
「……ベルリン。うれしいっっ」
(どわぁぁ!!神々しい!!
美の化身の到来だわ。こんなに素直で可愛くて、美しいなんてっっ!!
今までの壁は何だったのかしら。これぞまさにーーー)
「ベルリンの壁崩壊ね」
上手いこと言った!!とリリアンヌはにんまりと笑う。だが、不思議そうな顔をしているイザベルに少し凹んだ。
(うぅぅ。反応ないって辛い。仕方ないんだけど。恵はいつも鼻で笑ってたな。懐かしい。
まぁ、心的ダメージは受けたけどイザベル……じゃなくて、ベルリンが少なくとも同じ世界からの転生者じゃなさそうってことが分かったわね)
「ごめんなさい。何でもないので気にしないでください」
「そう?なら良いのだけど。
リリー、できたら私にも気軽に話してくれないかしら?」
「気軽にですか?」
「えぇ。他の方に話すみたいに敬語じゃなくしてもらいたいの」
「いいんですか?」
イザベルは照れ笑いしながら頷いた。
(……なんか、ルイスの気持ちちょっと分かっちゃった。これは、隠したくなるわ)
リリアンヌは、この笑顔を独り占めしたいと思ってしまった。だが、だからといって行動するわけにはいかない。
(ベルリンは、私が守る!!)
そう誓い、イザベルの手を取って強く握る。
「ベルリンって、ルイス殿下のこと好き?
そうじゃないなら、少しでも早く逃げないと。あれは、ヤバい。逃げられなくなるよ!!」
もしかしたら、既に手遅れかもしれない……その言葉をリリアンヌは飲み込んだ。
「リリー、急にどうしたの?」
「だって、どう考えても普通じゃないでしょ!!あの人、ベルリンのためとか言いながら平気で人を殺せると思う。
ううん。……ベルリンに近付いたからとかだけで、殺すかも」
「そんな、まさか……」
イザベルはそんなことはないと思いながらも、ハッキリと否定できなかった。
「ねぇ、取り返しがつかなくなる前に好きじゃないなら逃げよう!!」
「逃げるってどこへ?」
「どこって……」
自分を心配するリリアンヌにイザベルは優しく微笑む。少しでも不安が軽くなるように。
「大丈夫よ、リリー。ルイス様は私のことを気遣って下さっているだけで、直に婚約解消になるわ」
「……えっ?」
「私が可哀想で一緒にいて下さるだけなのよ。ルイス様には、相応しい方がもっと他にいるわ」
本気でそう口にしているイザベルに、リリアンヌが否定しようとした時ーーー
「イザベル以外の人なんて考えたこともない。俺が愛しているのはイザベルだけだ」
そう言って、ルイスはイザベルに甘い視線を送った。
二人きりだったはずの部屋にルイスと気まずそうなローゼンが現れたことにリリアンヌは顔色を無くし、イザベルは甘いセリフに首まで真っ赤になった。
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また、アルファポリス様でも掲載しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/830767619/102661091
こちらは、イザベルとルイスの表紙つきです。よろしくお願いいたします。




