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お茶会6



「なんで、ここに……」


 リリアンヌは声を震わせながらも、ルイスを睨み付けた。


「何故って、婚約者に会いに来ただけだが。何か問題でも?」


 (問題でも?じゃないっつーの!!女子会してる時は、顔出さないのが常識でしょうが!!)


「束縛男」


 ぼそり……と呟いたリリアンヌの言葉にルイスは面白いものを見つけたような視線を向け、ローゼンは困った顔をした。


 因みにイザベルは、先程のルイスの愛の囁きにより別世界へと旅立っているため気が付いていない。



「邪魔して、すまない」

「ノックしたのに気が付かない方が悪い」


 謝ったローゼンに対し、しれっとこちらを責めるルイスにリリアンヌは激しい苛立ちを覚えた。だが、意識して微笑んだ。


 (感情的になった方が負けよ。ノックしたのだって、本当か怪しいんだから。

 ……というか、どこから聞いてたわけ?)



「皇太子殿下ともあろう方が盗み聞きですか?」

「盗み聞きとは、ずいぶんな言われようだな」

「事実でしょ。それで、どこから聞いてたんですか?」


 (お願いだから、来たばかりであって!!)


 その願いは呆気(あっけ)なく次のルイスの言葉に打ち崩される。


「俺から逃げた方がいいって話からだな。

 ずいぶんと面白い話をしていたな、フォーカス嬢?」

「フンッ。事実でしょう?」

「そうだな。だが、間違いもある。

 俺は、イザベルが望まないことはしない」


 その言葉にリリアンヌは妙に納得してしまった。


「良かったな、フォーカス嬢。イザベルと親しくなっていて。

 そうでなければ、すぐにでも二度と目に入らないようにしていたところだ」


 (こんの、暴君!!)


 心の中で盛大に歯噛みしたが、リリアンヌはルイスが言っていることが事実なのだと正しく理解した。


「なら、殿下は私のことを一生処罰できませんね」

「残念だがな」


 (くっそーーー!!腹立つーーー!!何が「残念だがな」よ。こんなのに、好かれたいと思ってたなんて!!

 何より、ちょっとでもホッとしちゃった自分が最悪)


 こんなことでイザベルと仲良くなっていて良かったと少しでも思いたくなかった。それなのに、安心してしまった自身にリリアンヌは嫌気がした。



 そんなリリアンヌの様子に、ルイスは縁の様子を見た。


 (ほう。俺とフォーカス嬢の左薬の縁が千切れそうだな。その代わり、左の人差し指に縁が結ばれた。

 そうか、縁を導く指に結ばれたか。果たしてこれがどう今後に影響するか)


 そう思いながら、今にも千切れそうな左薬指の縁を切る。


 (よし、これで完璧に俺との恋愛の縁が切れたな。

 フォーカス嬢は別のやつと縁を結び始めたみたいだしな。これからは安心だろ)


 ルイスはどこか熱のこもった瞳でリリアンヌを見つめるローゼンを見た。


 今日、ローゼンを連れてきた目的はリリアンヌの相手をさせることだ。

 それは、決して二人を応援しているわけではない。自身がイザベルを独占するためだ。


 (ついでに他人の恋路を手助けするのも悪くないだろ。

 もし、フォーカス嬢とローゼンが婚姻すれば、フォーカス嬢はイザベルの傍にずっといられるしな)


 イザベルを中心に考えるルイスは、今日もイザベル至上主義なのであった。




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