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転生令嬢の天穹革命歌  作者: 蜂屋漣
第2章天才少女、高校生活を謳歌する
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第21話


「俺たちに言いたい事ってなにかな?」


それほど難しい事を言った訳ではないのに、周りの静寂しきった雰囲気で思わず唾を飲み込む。


「軽音楽部を再開させてください!」


「…え?」


「軽音って…あの?」


少しの沈黙の後に貴院先輩と椿さんが声を発した。周りは少し困惑してた。


そんなに大したことは言ってないと思うが、と首を傾げる。


「ん〜どうして、君は軽音楽部を再開させたいんだい?君は軽音楽部に入部したいのかい?」


「はい!」


会長の質問に即答する。そもそもその質問は愚問である。


「君がかい?」


「何か問題でも?」


会長は何故か驚いていた。私が軽音楽部に入ることに対して何を驚くことがあるのだろうかと疑問に思う。


「…っぷ、はは」


誠心誠意込めてお願いしていたつもりが、何故か笑われた。

会長は途端に噴き出し、お腹を抱えて笑った。


困惑してしまう私に、会長はごめんごめんと言いながら零れた涙を拭って落ち着こうとした。


「いやー、君があまりにも真剣なものだから何事かと思えば、軽音楽部を再開させてやりたいだなんてね。生徒会を蹴ってでもやりたいことっていうのはこれの事かな?」


「すごく失礼な事だって事は重々承知しています。せっかくのお誘い、嬉しくない訳では無いんです。でも今は、軽音がどうしてもやりたいんです!」


会長は笑ってはいるが機嫌が良い訳ではないことは何となく分かっている。

当然だ。学校の由緒ある生徒会への勧誘を断って問題行動の起きた軽音楽部に入ろうとしているのだから。


「あまりオススメはしないなー。前科がある部活ってだけじゃないよ、入学してまだ数日しかたってない生徒に務まるかって話もある。再開させたら、君が部長になるんだよ。君にはその責任がかかってくる」


「はい分かってます」


途端に会長は笑顔をやめ、無表情でこちらを見てきた。僅かに溜息の音が聞こえてきた。

何となく目を逸らしてはいけない気がして、私は会長の目を真っ直ぐ見続ける。


暫く見つめ合って、ついに会長は目を閉じた。


「分かったよ…軽音楽部の再開を認めるよ」


「ほんとですか?!」


遂に会長が折れて認めてくれたようだ。

私はあまりの嬉しさに、周りを忘れてガッツポーズをとる。


「ああ、試しにね。君に任せてみことにするよ。ただ、条件を出そう」


「へ?」


「軽音楽部を再開させるのにはまず一つ、部員をあと最低3人集めること。二つ、今年度の文化祭でステージに出て演奏すること。盛り上がらなかった場合それまでだ」


会長は指で数字を指しながらその条件告げる。


「もともとバンドというのは3人居てやっと成り立つものどけど、本来うちの学校はせいぜい部員は5人が決まりだから、もう1人入れてもらう。それに音楽パフォーマンスを行う部活なんだから、それをお披露目する場所が必要だ。君にはこれを必ず成功させてもらう。どうだい?君にとっては悪くない条件だろ?」


悪くないどころか、最高の条件だ!

仲間を探すのは大変かもしれないが、この場で既に文化祭のステージに立つことを予約出来るなんて幸運である。


だが、その幸運が必ずしも良い方向に傾くとは思ってない。

この学校に数日通って思ったことは、この学校の生徒はとても真面目だという事。皆自分の学科にあった部活に入っては成果を求めてひたすら技術を磨いている。音楽家は特にそのひとつだ。無理もない。その道に進むと決めてこと学校に来たのだ。何故そこで軽音楽部に入るのか疑問に思う人がいてもおかしくない。ましてやこだわる必要がないのだ。


もし、部位が一人も集まらなかったら…その時は1人でも演奏しよう。


「ええ、ありがたい申し出です」


私は真っ直ぐ視線を合わせて答えた。


「うん、その代わりこの条件を満たせなかった場合これから先一生軽音部を再開させることは許可しない事にする。いいね?」


「…分かりました」


「うん、じゃあ頑張ってね」


「はい。ありがとうございます」


早速これから先どうして行くべきか頭を巡らせながらお辞儀をして、部屋を出ようと動き始めて「あ、そうそう」っと会長が話し始める。


「君には文化祭までの間、生徒会の手伝いに来てもらうよ」


「…え、はぁ?!」


思わず声が裏返る。


「どうゆう事ですか?」


「流石に君には有利すぎる条件だからね、もし君が軽音部を再開させたとして、君の穴埋めをしてくれる優秀な人材を見つけなければいけない。ただでさえ人手が足りてないんだから。あーそうそう、条件がクリアできなかった場合君は正式に生徒会に入ってもらうけどね」


それは正直困る。仲間を集めることも大変なのに、それと並行して生徒会の手伝いもしなければいけないなんて無理だ。何よりこの攻略対象たちのいる中で長時間いたくない。


「そんな嫌そうな顔しないで欲しいな。大変だろうから1週間に2回必ず来て欲しいな。事情によっては急遽呼び出すこともあるけどね」


顔に出ていたらしい。これは失敬


「2回でいいんですか?毎日とかじゃなくて…」


「毎日来たいの?」


「いやいやいや!」


思わず自分でも驚くほど必死に断ってしまった。この人は人をからかうのがつくずく上手い。


「流石に僕も鬼じゃないからね。2回なら君も来てくれるよね」


「…分かりました」


「ちょっとちょっと、義政!何勝手に話進めてるのよ。」


話がひと段落着いて、終わったと空気を読んでか、貴院先輩が声を上げた。今まで周囲が蚊帳の外で話が進んでいたから、逆に黙ってくれていたことに驚きだ。


「いいじゃないか。本人も了承してくれているしね」


「そうゆうことじゃないのよ!全くもう。紫苑ちゃん、会長がごめんなさいね。難しいお願いなのは分かってるのだけど、こちらとしても貴方がお手伝いに来てくれるのはとても助かるわ。でも、大変な時に無理して来る必要はないからね」


貴院先輩はそう言って申し訳なさそうに謝ってくれた。

「いえ、いいんです。こちらも折角のお誘いを蹴ってしまうどころか要望まで聞いていただいたので逆に感謝してるくらいです」


「軽音楽部、上手くいくといいわね。」

貴院先輩はそう言って、優しく微笑みながら応援の言葉を投げかけてくれた。てっきり反対するかと思ったが、本当に優しい人のようだ。


「ありがとうございます」


「ではこれで、私は失礼します。」

もう本当に要は済んだと踵を返す。


実は早くここから出たくてしょうがなかった。あの生徒会長の品定めするような目で見つめられると、見透かされてるようでたまらない。何より桜小路要がずっと無表情で私を見つめていたのが恐ろしくてしょうがなかった。

ゲームの彼とは違って、先輩方の前では一方引いているが、その内は王様気質の性格だ。そんな彼がなんの感情も表に出さずにこちらをじっと見てくるものだから何を考えているのか検討もつかない。


彼を見ないようにして、そそくさと退場しようとする。


「それでは、今度こそ失礼しま___」


「待て」


今度は兄が私を呼び止めた。


「…なんですか」


「また迷われても面倒だ。お前の教室まで送っていく」


「はあ?……」


「早く来い」


そう言うと兄は、私の横を通り過ぎて生徒会室のドアを開けて出ていってしまった。

私も慌てて残りの生徒会メンバーにお辞儀をして部屋をあとに兄を追いかける。


早いスピード進んでいってしまう兄を駆け足で追いかける。本当に送る気があるのだろうか。


「別に送ってくれなくて結構ですけど」


「………」


「…だいたい、どうゆうつもりですか。教室まで送るとか、ありがたいけども」

そんな親切なタイプじゃないだろ。


「……」


返事が返ってこない。

それにさっきから歩くスピードが早すぎて、ついて行く為に駆け足になってしまっている事に腹が立つ。こいつは紳士じゃない。


「ちょっと聞いてるんですか?!おいお兄様、あんたのその耳は飾りかなんかですか!」


「その気持ち悪い呼び方はやめろ」


やっと立ち止まって返事してくれた。


「さっきからどうゆうつもりなんですか」


「お前こそ、何を考えている。」


「は?」


質問を質問で返される。この人との言葉のキャッチボールが果たして1分持つのか疑問を感じてしまう。


「どんな策を講じたかは知らんが、首席になったのにも関わらず生徒会に入ろうとせず、終いには軽音部を再開させたいなど、今度は何をするつもりだ」


つまり、私がまた何か悪さをするのではないか怪しんでるという訳か。紫苑ちゃんの前科が一体幾つ溜まってるのかは知らないけど、こうもやる事なすこと怪しまれるとちょっと悲しくなってくる。


首席とったのもなんかのコネで入ったと思ってるみたいだし。


「別に、何もしようとは考えてません。強いて言うなら、この学園生活を楽しみたいだけですよ」


「だからと言って、よりによって軽音部なんて理のない部に入ろうとするなんて、お前らしくもない」


随分酷い言い草である。

「生徒会に誘われたからと言って、ずに乗るんじゃないぞ」


「ご心配どうも。言われなくても生徒会にはまったく興味はありませんので」


「なっ……」


ムッとなった私は、「それじゃ」と言って兄の横を通り過ぎる。別に兄に今の私を認められようとも、仲良くなろうとも思っていない。中身が変わって、みんなは困るだろうが、幸い紫苑ちゃんは最初からみんなに遠巻きにされていた。無理やり周りと関わらなくてもいい所は都合が良い。


兄が立ち止まっていたことをいいことに、どんどんスピードを上げて進む。このまま置いていこう。


大分距離を離して、「おい」と兄から大声で呼び止められた。

「ここまでありがとうございます。もう一人でいけますから」


有無を言わさず返答して返事を聞かずに前に進む。するといきなりぐんっ、と腕を後ろから引っ張られた。どうやってこの一瞬で距離を詰められたのか検討もつかない。兄は私を無理やり立ち止まらせた。

「だから大丈夫______」


「早々に道を間違ってる奴が何を言っている」


「え……」


生来の方向音痴は、私に優しくなかった。

最近忙しくて更新遅れました。

読んでくれている方大変遅くなってすいません。


これからも亀更新ではありますが読んでいだけると幸いです。

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