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転生令嬢の天穹革命歌  作者: 蜂屋漣
第2章天才少女、高校生活を謳歌する
24/25

第20話


コンッコンッコンッ


「失礼しまーす。雪織紫苑でーす」


扉越しに挨拶をすると、直ぐにこちらに向かってくる足音が聞こえた。


「遅い!何してたんだ今まで?!」


ガチャッと空いて出てきたのはなんと我が兄であった。随分待ってくれていたらしく、大分お怒りよご様子である。


「わっ!ごめんなさい、道に迷っちゃって…」


突然兄が出てきたことに心底驚いて、取り敢えず誠心誠意謝りつつ言い訳をかます。


「取り敢えず会長が待ってる。早く入れ」


道に迷ったは通じたらしい。少し怒りを沈め、私を生徒会室へ促す。


「失礼しまーす」


入るとそこは、またも豪華な社長室…もとい生徒会室であった。中等部の生徒会室の2倍はある広さだ。

ここで取っ組み合いをしても余裕のある広さである。


「いらっしゃい。ようこそ、雪織紫苑さん」


室内に呆然としていた私に、一番奥のこれまた豪華な社長机に座る男の人が話しかけてきた。


「はっ…初めまして。1年の雪織紫苑です」


彼は間違いなく生徒会長である。この学校の全てを牛耳るボスだ。

優しそうな表情を常に一定に保ち、少し癖のある髪と均等の取れた顔立ち。

種族は爽やかなイケメンである。

だが、滲み出る威圧感がとてつもない。

彼が攻略対象では無いのが信じられないくらいだ。


「随分と遅かったね。迷子になってたってね、よく一人でたどり着けたね」


「あ、いえ…ある人が道案内してくれましたから」


「それは良かった!」


その人はニカッと笑い、楽しそうに私を見ていた。まるで観察するように。


「あなたが今年の首席入学生の紫苑さんね。」

左横から話しかけてきたのは、超絶美人の女の人だった。見事なプロポーションとその優美な美声が大変魅惑的な女性だった。


茶髪の髪に若干青みがかった瞳は、異国の血が混じっているのだろう。

長く艶のある髪を三つ編みにひとつでまとめて、前に垂らしている。


「初めまして!あなたは…」


「私は3年の貴院星香(きいんせいか)よ、副会長を務めてるの。よろしくね」


そう言って手を差し出され、握手をする。

よくよく周りを見渡すと、この部屋には5人の人がいた。

兄と椿さん、生徒会長と副会長、そして桜小路要がそこにいた。


皆素晴らしく顔の整った者ばかりで、生徒会の役員は顔で選んでるのかと一瞬疑ってしまう。


「君が先生方の間で話題になってる天才ちゃんだね?おまけに首席で頭もいい。君みたいなよ人材が生徒会に入ってくれて嬉しいよ」


「え…?」


「僕は御手洗義政(みたらいよしまさ)、ここの生徒会長をやってる。よろしくね」


驚く私を他所に、生徒会長御手洗さんは挨拶してきた。


「優秀な子がまた入ってきてくれて嬉しいわ!あなたのことは調べさせて貰ったけど、あの音楽科の徳島先生が気に入るなんてね!」


生徒会長と副会長が話を進めていく中、私は話に着いて行けずにいた。


「おい、どうした」

思わず固まる私に兄が私の肩に手をかけて呼ぶ。


おかしい…この状況は明らかに、私が生徒会に入ることになっている。入る前提で話が進んでいる。


入るとは一言も、断じて一言も言っていない。


「…あの」


「取り敢えず疲れたでしょ?今お茶を用意するわね!さっ、座ってちょうだい」


「それは僕が用意しますよ」


「あら、ありがとう。お願いするわ」


硬直から解放されてやっと出た言葉は、小さくて周りに遮られてしまった。貴院先輩に背中を押され、ソファに座った。近くで桜小路がお茶を用意していた。


迎えの席には椿さんが座り、その横に兄が立っていた。


「この前ぶりだね紫苑ちゃん。新しい高校生活にはもう慣れたかい?」


椿さんは笑顔で聞いてきた。


相変わらずの裏のないスマイルである。この人は何となく読めなくて苦手である。


「はい、お陰様で…」


すると今度は横から桜小路が私の前にお茶を差し出した。紅茶のようで可愛いティーカップに入れられている。


「あ、ありがとう」


「いえ…」


こちらもまた気まづかった。つい最近啖呵を切って別れたばかりの元婚約者である。どう話せばいいか分からない。


彼は私に何か言いたげな顔を少しして、そそくさと離れ、全員分にお茶を出しに回って行った。


彼とは久しぶりに会ったが、少し背が伸びたようだ。前はどこか幼さが残る印象だったが、今では大人びた雰囲気に代わり、「君と奏でるラプソディー」の桜小路要そのものになっている。


メンバーもそうだが、この状況はやはりおかしい。

「あの、今日は見学に来たのですが…」


私は生徒会長に向かって聞いてみる。


「大丈夫よ!あなたなら今日からでも充分参加できるわ。私達も1年生の子にそんなに難しいことことはさせないから。心配しなくてもいいわ」


そうゆう心配じゃないです…

やはり私は生徒会に入ることになっているらしい。この原因は下澤先生の仕業であろう。

私が入らないと言ったことは行ってないらしい。


このままじゃ本当に生徒会に入らされてしまう。


急に俯いた私に気づいて、目の前の椿さんが紫苑ちゃん?と声をかけてきた。


「雪織さん、どうした?」


生徒会長も私の異変に気づいて声をかける。


私は立ち上がってその生徒会長の方まで近づく。


「私は、生徒会に入るつもりはありません。」

私の発言に会長は目を見開いて静かに驚いていた。


「すいません、でも下澤先生にはこの事を伝えていました。申し訳ありませんが私は生徒会には入れません」


大事な事として再度断りの言葉を言う。


「下澤先生が知らせなかったのか…」


会長は苦笑いをして言った。彼は私の来た意味について少し察したらしい。


「ちょっとちょっと、どうゆうこと?!」


まだ状況ついていけてなかった貴院先輩が焦った顔で横から聞いてきた。


「彼女は元々生徒会に入るつもりはなかったんだよ。だが彼女は首席入学生だ。どうしても下澤先生は彼女を生徒会に入れたいがために、俺たちにはその事は黙って来させたんだ」


会長は少し気だるげに立ち上がって説明した。主語も俺に変わって、なんだか猫を被るのを辞めたような感じだ。


「そうなのね。下澤先生ったら…。ごめんなさいね、私たちあなたの話しをちゃんと聞くべきだったわね」


「いえ、大丈夫です」


どうやら納得してくれたようで、私の生徒会入りは免れそうだ。


「でも残念ね。あなた優秀だから是非生徒会に入って欲しかったのだけれど…。本当に入る気はないかしら?入ってくれたら私たちはあなたをとても歓迎するわ!」


貴院先輩は少し残念がりつつ、私に再度誘いを入れてきた。「みんなも大歓迎よね?」と皆に声をかけていた。


それに対して、椿さんが一番な「ええ勿論」と答えた。他のふたりは無言を通した。


「勿体ない申し出なのですが私には他にやることもありまして、生徒会には入れません」


「そうなのね…残念だわ。また入りたくなったらいつでも大歓迎よ。」


「はい…」


そんなに落ち込まれると本当に申し訳なくなってくる。

でも、私はそんなに期待されるほど大層な人間ではないよ。どの道この生徒会には、私は必要ないだろう。


「ねぇ、ちょっと気になるんだけど…」


無言だった会長が唐突に話しかけてきた。


「生徒会に入るつもりが最初からないなら、見学は断っても良かっただろ?もしかして…、何か違う目的で来たのか?」


気づかれるとは思わなかったけど、この状況で私の行動の意味を理解してくれるのはありがたい。


「はい…その通りです」

更新日が気まぐれでほんとすいません!


最近は2ヶ月に2話更新できるよう頑張ってます!

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