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転生令嬢の天穹革命歌  作者: 蜂屋漣
第2章天才少女、高校生活を謳歌する
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第16話

 

 高校生になって初の友達を作ることが出来た。登校初日、1時間目終わりですぐにできるとは想像もつかなかった。


 それからは、休み時間やお昼時の合間になる度に水紋(みなも)とさまざまな事を語り合った。ごく普通のこれからの高校生活についての話や、自分のことやと世間話に花を咲かせた。

 彼女は初めから気さくで、人に対して笑顔を絶やさないから一緒にいて居心地がいい。

 彼女のおかげで、他のクラスメイトとも打ち解けらてとても感謝してる。


 クラスメイトたちは初め私を怖がってはいたが、今では気兼ねなく話すことが出来る。


 一日でたくさんの友達を作ることが出来た。





「では今から委員会と係決めを行いたいと思う。明日は任命式だから早々に決めてしまうよ」


 6時限目のホームルームで委員会と、各係を決めるとの事。

 クラスの生徒は皆どこに所属するかとわくわくしていた。

 教室内は、生徒同士の囁き声で溢れていた。


「どこにする?」


「私はもう決めてるんだ!」


「悩むね」


 私はというと、その逆で委員会や係についてよく分からず一人悶々と頭を抱えていた。


 実は前世から今まで、この決め事には全くの無関心だった。

 前世中学時代はひたすらどうでもよく、委員会は何にも所属せず、係は一番仕事が少ないものを選んでいた。

 それも1年と半年で学校には行かなくなった。


 そのせいか、そもそも委員会というものが何で、どんなものがあるのか知らない。


 係は度々サボっていたから経験がない。


 唯一知っている仕事といえば日直だ。

 前世の頃、初めは日誌などやりたくなくてひたすらサボっていたら、その時の真面目だった担任の先生から一気に一週間分やらされたことがあった。挙句には宿題にさせられて大変な思いをした。


 話くらいは聞いておけば良かった...

 今更後悔しても遅いが


 大変なことにどういった仕事をするのかとか、どんな仕事があるのかとかまったく分からない。


 準備とばかりに黒板に書き出される委員会名を見てまた焦る。


 風紀委員は何となくわかる。

 服装チェック?をしているのを乙女ゲームなんかで見た。


 図書委員。あれだろ?

 図書室の本の管理とか...


 美化委員。掃除かな?


 保健?クラスの体調管理だ!多分


 え?広報?放送?

 一つ一つ書き出される委員会がなんだかを模索していくが、徐々に分からないもの増えていく。


 このままでは、余ってしまった訳の分からない面倒な仕事をしなきゃならなくなる。


 この学校の委員会は数が多く、不幸にも全員に振り分けができるようになっている。


「どうしよぉ...」


「紫苑は委員会何にす......どうしたの?そんな絶望した顔をして」


 元気な声と共に笑顔で後ろを振り返る水紋は、私の場違いな重苦しい雰囲気に驚いていた。


「委員会何入ればいいか分からない...」


「えー?!なんで?好きな委員会に入ればいいじゃない」


 その言葉に私は更に落ち込む

 好きな委員会という前にそもそも、何があるかも知らない


「それが...」


 待てよ...委員会のことについて無知なことは普通の高校生としてはあるまじきことなのではないか?


 すごく恥ずかしいことなのではないか?!


 言葉を飲み込んでまた頭を抱えて深い溜息をつく。


「もう!どうしたの?......そうだ!何入っていいか迷うなら、私と同じ委員会に入ろ!」


「へ?同じ?...」


「そうそう。一緒の委員会の方が楽しいしね!」


 なんと!

「それはいいね!一緒にやろう!」


 水紋の思わぬ提案に私は突っ伏した状態から勢い良く起き上がる。


 失礼にも真面目な方ではない水紋のことだからきっと、そこそこ簡単な仕事の委員会を選ぶだろう。


 たった一日で水紋の性格を分かったつもりだいてしまったことに、後々後悔することになるとは思いもよらなかった。






 パチパチパチッ

 周りの拍手と共に委員会の役割が決定した。


「体育委員......一応聞くけど、体育委員の仕事って何するのかな?」


「えー?そうだなぁ。授業の用具とかを準備したり、試合の審判したりー、あと体育祭の運営したりするよ!」


 頬が引き攣る。

 同じにしなければ良かったという後悔が駆け巡る。


 私は体育委員に所属することが決定した。

 まさか体育委員とは誰が予想ついただろうか。否、なぜならここは音楽科だからだ。

 音楽家は基本体育を好まないと思って安心しきっていた。


 もともと私は昔から体を動かすことが大の苦手だ。昔とは前世からの昔ということである。

 少しでも重いものを持ったり突き指などしかねない動きはしたくなかったし、そもそも疲れることをしたくなかった。


 外に出て散歩をするくらいなら別にいい。

 遠いところと言っても車や電車を使うのなら何処へだって行っても良かった。


 ただただ疲れることをしたくなかった。

 走りたくはなかった。考えても見ろ、走ったら周りの景色が見れないじゃないか。


 私の足はインスピレーションの根源を探しに行くためのもの。私の手はペンを持ち、楽器を弾くためにあるのだ。


 まぁそんな横暴なことを言ってられるほど人生そう甘くはないが、それでも体育という言葉から今まで逃げ続けてきた自分が、その体育に関わることになんて...

 挙手制の立候補で、水紋に合わせて考え無しに手を挙げるのではなかった。


「本当に...良かったの? 水紋は琴を弾くんでしょ?何かの拍子に指を怪我でもしたら大変だよ」


 もう一度言うがここは音楽科だ。楽器を弾くものは指または腕の怪我は絶対にダメだ。立って演奏する者なら、足の怪我は出来ない。声楽といった声を主に使う者は応援なんかで大声を出して声を枯らしてはいけないのだ。


 つまり、奏者にとって体育というのは最も心配事の多い授業なのだ。

 勿論この事について教師陣も最前の注意は払うだろう。けれど教育の一環として、成長期真っ只中の高校生の彼らを運動不足にさせることは出来ないのだ。


 だから、体育の授業は外すことは絶対にしない。その変わり授業中は基本見学自由で、音楽科は激しめの運動は控えるようにしている。

 ところが体育委員となるとそうもいかない。体育の授業に関わるのだから最低は出なければならない。

 運動はしなくとも重い用具で手を怪我する恐れがある。


 体育祭のための準備にもわざわざ出向かなければならない。

 私なんかよりもよっぽど、水紋の方が心配だ。


「大丈夫だよー!私運動大好きなんだ。これでも結構鍛えてる方なんだよ!」


 無いであろう腕の筋肉を強調させたポーズをしながらドヤ顔でそう言いのけた彼女に、更に心配になってくる。

 私は私で、実は運動苦手とは言えなかった。


「まぁ...これから2人で頑張ろね」


 心配事は多いがまあいいかと諦める。


「うん!頑張ろ」


 鼻息を荒らげながら元気そうにしている彼女を横目に、次の係決めはちゃんと自分で決めようと胸に誓った。


 無事決まった係は英語だった。

 幸か不幸か一緒だったのは秋蔵杏。嫌そうな彼の顔を見ながら溜息を一つついて、改めて乙女ゲームの運命を呪った。


 そんな彼が、後日一緒に英語の教師に挨拶に出向き、外国人教師に流暢な英語で話す私を見て、驚き過ぎて自分の自己紹介でらしくないあたふたした様子を見せることになるのはまた別の話。


高校の委員会や係決めなんて懐かしいですね。

青春の一大行事の一つですよね!


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