第11話
私が学校に行かなくなってから3ヶ月。今は12月の下旬で、受験日まであとわずかになってきている。この3ヶ月ただ何もせず時間を持て余していた訳ではない。
あれから私は、多くのコンテストに応募しては受賞を繰り返している。多くの経歴は後々きっと役に立つ、かつお金を短時間で稼げる方法でもある。そうやって稼いできたお金は皆作曲機材を買うのに使っている。
部屋の無駄な家具も売ったため、今じゃお姫様ルームから作曲の作業場へと変貌をとげた。
両親は何を予想していたのか、紫苑の部屋の壁は初めから防音性になっていた。そのため、私の部屋は編集機材だけでなく楽器までも置かれ、広いはずの部屋はあっという間に狭くなってしまった。
ベッドと勉強机は新しく小さなものに変えたため、既に部屋の半分以上を埋めつくしている。
余りにも貴重なものが沢山置かれているため、私の部屋への無断立ち入りを禁止した。部屋に鍵をかけ、私がいない間は人が出入り出来ないようにしている。
こんなことが両親の耳に届かないはずもなく、立ち入り禁止をしてから一日もたたずに両親と優希までもが部屋に入れろといいだした。しかたなく中に入れてやると両親は感動のあまり泣きながら抱きしめられた。すかさず優希に助けを求める眼差しを向けると、何かを悟った目をして「負けないから」といって立ち去っていってしまった。
こうしてあっとゆう間に月日は流れ入試日当日を迎えることになった。
この前期入試を乗り越えればいよいよ乙女ゲームが開始する。あまり興味はないのだが、こっちにまで火の粉が降りかかるのはごめんだ。一応警戒はしておく。なんてったってこの学校にはあの生徒会3人組も入学するのだから。
「次の方~」
っと、そうこうしているうちに出番が来たようだ。
今からやるのは二次試験のアピール面接。面接をした後にピアノを演奏することになっている。
私自身の曲を今から相手に聞かせるのだ。私という人間を音で分からせてやる。
全力で...。
**************
嬉しいことに結果は見事に合格。希望の音楽科に行けることになった。念願の高校生活が待っている。
けれど一つ問題があった。なんとこの度、私が主席を取ってしまったのだ。
テストは全教科満点。面接の詳細は不明だが、前期なのに首席という異例が起きた。流石にその知らせには驚かされた。前世から全く勉強してないと思って入試1週間まえから寝る間も惜しんで勉強してしまったのだ。久しぶりにやっただけに余裕がなかったから本気を出しすぎた。
首席なんて一番目立つのになるつもりは本当になかったのだ。
合格通知と一緒に届いたその知らせを見て、またまた両親が大泣きし出して、その場はもう大騒ぎ。優希は届いた通知書を見ては唖然となるという動作をずっと繰り返していた。両親はそのあと慌てて親戚中に報告の電話をかけていた。本当に騒がしい家族だよ...。
けれどそれだけ、紫苑の合格はありえない話だった。ゲームでの紫苑は勿論音楽の才能なんてこれっぽっちもないというのに、親に我儘を通して裏口入学。もと庶民の私には考えられない話だ。
お金持ちの考え方がにまだまだついて行けない。ついて行きたくもない。
「そうだわ、この事を司にも伝えましょう。きっとあの子、驚いて飛んで帰ってくるわ!」
「そうだな。早速電話しよう。」
「え?つかさって?」
突然の両親の言葉に思考がフリーズする。
「何言ってるよ、あなたのお兄様じゃない。」
となるとあの冷血鉄仮面、雪織司がこの家に帰ってくるのか。彼は確か紫苑を相当なまでに嫌っていた。鴻崎学園では生徒会長に入り、時期生徒会長という噂も高いとされている完璧超人である。
あの紫苑はに向けるあの虫を見るような目をこれから目の前にしなければならないなんてお断りだ。
攻略対象者を相手にするのでさえ大変なのに、せめて入学するまではゆっくりさせてほしい。
「せっかくだからまた家族全員でお食事にでも行きましょうか。久しぶりにお兄様に会えて紫苑も嬉しいわよね。そうだわ、入学準備のこともあるし、司には早めに来てもらいましょう。楽しみね!」
「........」
「あら、どうしたの紫苑?」
「お...。」
「お?」
「お、お断り...しまーす。」
遅くなってすいません




