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警視庁 不可能犯罪係の 奇妙な事件簿  作者: 夢学無岳
第七話 インタールード「エリちゃんと魔法のコンペイトウ」
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6.Among Friends


「おい」


 ヤクザさんが言う。

 わたしは「はい」と返事しようとしたけど、出て来た声は「ひい」だった。


「先輩! もうちょっと優しく! エリちゃん、大丈夫、この人、剣崎さん、刑事だから。恐いのは、ほんと顔だけ。女の子にはすごく優しいよ。ほんと、前に、乱暴されている女の人を助けるために、犯人を半殺しにしたこともあるし……」


 半殺し!

 どういうフォロー!


「お前は黙ってろ」


 怖い刑事さんはマホトーンをとなえた!


「はい……」


 猫屋敷さんはしゃべれなくなった!


「コンペイトウで願いが叶うって思っていたんだってな」


 はい……、思っておりました。


「安心しろ、すべて裏はとった」


 はい?

 なんのことでございましょう。


 刑事さんは警察手帳を開いて言った。


「期末テストで百点を願っただろ」


 しかり。

 頷く。


「百点だ。全科目じゃないが、三科目とも百点とっている。それから、歌手の桃城裕二に歌ってもらったのは、これも事実だ。SNSにお前と二人映った写真が残っている。彼のスケジュールとも一致する」


「え?」


「他にもあるが……、つまりだ……、もし本当に願いを叶える魔法のコンペイトウだったら、最後に願いをなかったことを願えば、お前が願った、それらの事実もなくなるはずだ。おい、俺は間違ってるか?」


 ひいっ! 怖い!


「ま、間違いございませぬ……」


「幻覚剤を服用した上で、強力な自己暗示にかかっていただけだ……。だいたい、魔法のコンペイトウなんかあるわけないだろ」


 きっと、魔法使いとか、ドラえもんなら持ってますぅー。


 ぎくっ。


 察したのか、恐い刑事さんイラっとしたみたい。


 このうつけが! とか思われてそう……。


 でも、刑事さんは声を和らげた。


「だから……、お前は悪くない。もし自分を責めているのなら、それは誤りだ……、元気を出せ。いいな」


 あれ? ? ? 


 この人……、いい人?


 よこ見て頬をかいてる。なんかかわいい?


 わたしは「はい」と返事した。


 電話の呼び出し音が鳴ると、二人の刑事さんは去ろうとする。何かの捜査中だったみたい。


 ステージでは「胡椒芸術」っていう、変な名前のおじさんジャズバンドが演奏をはじめた。


 わたしは何度も何度も刑事さんにお礼を言って見送った。


「そうだ、あの公園にいってごらん」


 人ごみの中に消えて行く猫屋敷さんが、最後に手を振りながら言った。




「エリぃ」


 香織がおたおたと駆けてくる。


「大丈夫だった?」


 香織、わたしがヤクザに、いちゃもん付けられてると思って、何かあったらすぐに通報しようと携帯を持って、離れて見張ってたみたい。


「うん、ぜんぜん大丈夫、ありがと、心配してくれて」


 なんか、いいな。心が温かくなる。


「あれ、エリ、なんか、変わった?」

「え? 変わったように見える?」


 必殺、質問返し!


「ううん、なんでもない、あの人たち、何だったの?」

「うーん、あとでゆっくり話すよ」

「そう……、じゃあ、エリ、とりあえず、これからどうしようか?」


「うん、じゃあ、遊ぼっか、そのあと、一緒に公園に行こ」


 香織は、すこし間をおいてから、元気よく「うん!」と言った。




 二か月ぶりくらいに公園に来た。


 入り口に花束が置いてあったので、二人で合掌して黙祷する。


 ブランコに並んで座っておしゃべりしていると、砂場の方から三毛猫が歩いてきた。


「ミケ?」


 目をこすっても、やっぱり、いる。


「ニャア?」


 猫は足を止めて、わたしを見た。


「ミケだよね?」

「ニャア」


 そうか!


 ミケが死んだのが悪夢みたいな幻覚だったんだ!


 わたしはミケに駆け寄って、ぎゅっと抱きしめた。


 ミケ、ミケ、わたしのミケ。

 生きてて、ありがと。

 また、いっしょに遊ぼうね。


 腕の中のミケは「ニャア」と鳴いた。


「ねえ、香織」

「なに?」


「うん……、王子様って……」


 香織が不思議そうな顔をする。


「ううん、何でもない!」


 そう言って、わたしは香織を駄菓子屋さんに誘った。


 甘いものと、あと、ミケにおやつ買ってあげよ。



 ミケを抱えて、二人で路地裏道を歩く。


 空は透き通るように青い。太陽の光はとても暖かかった。








 第七話 了









メリークリスマス&よいお年を!


第八話「殺人者は、未来から……」は、元旦公開。



サンタさん! 来て! プレゼントちょうだい!

(#^o^#)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 衝撃の結末と、さらなる結末の圧巻ホラーでした。 [気になる点] この作品、2020年のミステリーツアーで、とても印象に残っていたものです。シュークリーム大好きな中学三年生の女の子、森野こみ…
2021/01/03 17:30 退会済み
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