棺桶を担ぐ少女3
「アーサー、昼食よ。早く起きてらっしゃい」
母さんの声が聞こえる。
僕はベッドからゆっくりと体を動かしてから、起き上がる。
時刻は昼時。窓に当たる風が少し強くなっているのが感じられる。
起きた僕は背を伸ばしながら、テーブルの方へと向かっていく。
テーブルには、朝に見た肉が調理されてテーブルに並んであった。
僕は驚きつつ、椅子に座った。
椅子に座った直後に父さんも起きてきて、椅子に座った。
父さんは眠たい目をこすりながら、テーブルに並んである肉料理を目にする。確認した後に父さんは母さんに聞いた。
「この肉料理って何だ?今日って何かあったか?」
僕も聞こうとした言葉だった。
でも、考えても考えてもわからないのだ。
記念日といえば、肉料理が出るのは夜だ。昼で肉料理が出るのはおかしいのだ。
母さんはちょっとした溜め息をついてから、笑みを浮かべて言った。
「今日は、アーサーの職業が決まる日でしょ?盛大に祝ってあげなきゃ駄目でしょ?」
それって、職業が判明してから祝うものでは無いのだろうか?
そう思って聞こうとした時、父さんがそのことについて話してきた。
「それって、職業が判明してから祝うものでは無いか?」
僕と父さんは心が通じ合っているのかもしれない。さすが親子と言って、疑っても仕方がないと思う。
でも、将来的に父さんみたくなりたくない。絶対にだ……。この決意は近い将来絶対に変わらないだろう。
「まぁ、良いじゃない?明日も祝うんだし、職業を授かる前、最後の祝いの席で良いじゃないかしら?」
二日も祝うのか母さん。流石に連日祝いは疲れちゃうよ......。父さんじゃないんだし。
笑いながら父さんが「それはそれで面白そうだなぁ」と言っている。この父親は頭がおかしいのだろう。そんな連日パーティーしてたら体力が持たない。僕はそれが目に見えている。
「とりあえず、おめでとうアーサー」
母さんは微笑みながら祝いの言葉を述べた。
「おめでとうアーサー!明日帰ってきたら、一番に教えてくれよ」
続いて、倒産も祝いの言葉を述べた。知らない約束を取り付けて......。
どうせ、家族の前で発表するだけなんだし、待てないのかな?父さんは。まぁ、そういう人間だからしょうがない。
そんなやり取りに面白くなり、自然と笑顔になっていく。
「ありがとう」
僕は小さな声で呟いた。
父さんはそれを煽るように、「お、何かいったか?」と耳を傾けている。
僕は一度大きく息を吸ってから、
「ありがとう母さん、父さん!」
小さくもなく大きくもない声で僕は母さんと父さんに感謝の言葉を告げる。
「さてと、じゃあ食べるか。早く食べないと冷めちまうぞ」
父さんが急かしてくる。
僕はテーブルにある肉にかぶり付く。肉の旨味が口の中に広がる。久しぶりの肉だからだろうか?
この肉料理は、いい意味でも悪い意味でも、僕の頭に記憶されるのだった。
肉料理を食べたあと、僕は護衛のために夕方になるまで休息をとることにした。
それはもちろん寝ることだ。
寝て体力を回復させて、睡眠をとり、夜に十分に活動できるようにしたい。
昼食を食べた後、水で口の中をゆすいで洗い、ベッドに直行する。
そして僕は疲れた体を休ませるべく、ベッドに横になって目をつぶったのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
冷たい風が寝ている僕の体にあたる。
寒さで僕の体は身震いし、寒さに対抗しようと体を動かす。
体が十分に温まった頃、僕はゆっくりと目を開ける。意識は覚醒し、僕は体を起こした。
時刻は夕方。日が暮れかかっている最中である。
僕は壁に立てかけていた剣を持って、護衛の依頼主との待ち合わせ場所である村の門に向かおうと家を出る。
農作物を届けるための馬車はまだ着いていないだろう。着いていたら、家にいる母さんが起こしてくれるだろうから。
こういうところは母さん頼みである。
村の門に着いた僕は馬車が車で素振りをすることにした。護衛のため、体を温めるためである。
一、二と剣を振り始める。集中はせず、剣の形を確認するためだ。
小一時間経ったぐらいだろうか、村の門へと向かってくる馬車を僕は発見した。
素振りをやめ、僕は今日の夜の門番の人に馬車が来たことを伝え、村長を呼んでもらった。
村長がくるまでの時間僕は、日が暮れているのを確認してから、用意してあった松明を持って、火をつける。火は激しく燃え、日が暮れて、暗闇になっていく辺りでは目立っていた。
馬車はこちらの明かりを見つけ、向かってくるように見えた。なので僕は門のそばにある松明置き場に松明を置いて、村の門においてある椅子に座る。
依頼主が来るまで僕は椅子に座って待つ。
少し経つと馬車が到着し、依頼主と護衛の人が出てきた。
若い青年は依頼主だろう。その両隣にいるのが、護衛の二人。二人は対照的で、一人は戦士風の男、もう一人は魔術師のロープを着ている痩せ細っている男だ。
依頼主であろう青年が椅子に座っている僕に話しかけてくる。
「失礼致しますが、貴方が護衛のアーサー殿でしょうか?」
「えぇ、そうですが……」
すると、依頼主の青年が、護衛である二人に「休憩です」と命じて、笑顔で話しかけてきた。
「いやぁ、どうもどうも。私はコビヤと申す者。しがない運び屋であります」
どうやらこの青年は依頼主で合っていた。
「私はアーサーです。よろしくお願いします」
自己紹介をして、護衛の内容を話し合う。
護衛の内容を話し合った後、僕は村長がもうすぐ来ますと依頼主のコビヤさんに伝えて、また椅子に座る。
椅子に座った後に、タイミングを見計らってか、護衛をしていた二人組が近づいてきた。
「よぉ、俺の名はセンだ。……で、こいつがツシだ。短い付き合いだが、よろしくな!それであんたの名前って何だ?」
戦士風の男の第一人称は明るいだ。それと対照的に魔術師風の男は暗い。
戦士風の男は父さんの三人分の元気があるだろう。いや、それ以上かもしれない。対して、魔術師風の男は喋らない。沈黙な男というのが印象的だ。
それで、名前を聞かれたら、答えるのが当然だ。
「僕はアーサーと申します。剣と弓を使いますが弓はあんまり得意ではありません。それを踏まえた上でよろしくお願いします」
名前、使える武器を答える。護衛のための配置や役割についての話し合いだろう。僕は椅子から立ち上がる。何故、二人が来た時に立ってなかったのか、わからないが、怒ってなさそうだから、大丈夫だろう。
それから、護衛の二人と配置や役割について話していると、村長と村人達が倉庫にある農作物を持ってきた。
数があるため、護衛の人も手伝って運んだ。
そして、馬車の荷台は整頓された木箱で埋め尽くされていた。
僅かだが、人が二人座れるスペースはある。それが護衛するときの救いだった。休憩できる場所があるということは。
出発前に護衛達だけの話し合いが行われた。
その話し合いで決まった配置と役割であるが、僕が担当することは見張りだ。
見張りは、話し合いの結果、僕、センさん、ツシさんの順になった。
見張りの仕事は馬車の上に座って、魔物、盗賊、山賊がいないか確認することだ。
隣村までの時間はだいたい二刻程。一人半刻程見張りをすればいい簡単なお仕事である。
最初の見張りのため、僕は場車の上に乗る。続いてセンさんとツシさんが荷馬車の空いたスペースに腰を落とす。
いざ、出発!と馬車が出発したとき、村の方から大きな声が聞こえてくる。
「アーサー!少し早いけれど15歳おめでとう!」
サミスの声だった。村の方から走りながら声を出している。
馬車の上に乗っている僕は、身を乗り出して大きな声で言う。
「ありがとう!」
透き通った高い声だ。見送ってくれる人達に手を振り続ける。
だんだん、遠ざかって村が見えなくなるまで、僕はずっと手を振り続けたのだ。
村が完全に見えなくなった頃、仕事である見張りに専念した。
一時も集中力を切らさず、僕は見張りをする。四方八方いつどこに魔物や山賊が現れるか分からない。不安や不満が僕に襲いかかっている感じだ。
そんな状態が、一刻半過ぎたとき、荷馬車に乗っているセンさんと交代した。僕はセンさんと入れ替わるように荷馬車に乗る。
荷馬車は農作物が入った木箱で埋めつくされているが、荷馬車の入り口だけ小さなスペースがある。だが、そこには壁に寄りかかって寝ているツシさんがいた。僕は、寝ているツシさんを起こさないようにして、隣に座る。
それから僕は隣村に着くまで、荷馬車の中で寝ることにした。
だが、寝ているときに遭遇してしまったのだ。
それは、いやその人達は、頭に布を巻いた人達だった。赤色、青色、緑色の布を巻いた三人組の人達だ。手には武器を持っているが、一人一人持っている武器は違く、赤色の布を巻いている人は剣を、青色の布を巻いている人は槍を、緑色の布を巻いている人は棍棒を持っている。
その人達の正体は──山賊だ。いや、山賊か盗賊しかいない。
山賊と言えば、集団をイメージするだろう。森から飛び出したり、道中に罠を仕掛けて大人数で襲ったりするだろう。だが、この山賊達は違った。真っ正面から正々堂々襲ってきたのだ。
最初は僕も護衛の人達も罠と疑っていたのだが、人数の不利上、近づいてきたら負けてしまうかもしれないので、目の前の三人の山賊を片付けようとした。
まず、魔術師のツシさんが魔法の詠唱を開始した。その間に僕とセンさんは、いつでも攻撃できるように馬車の前に武器を持って構える。
三人の山賊が馬車に向かって武器を構えながら進んでいると、僕の後ろから魔法が放たれた。
「ファイヤーボール」
放たれた魔法は、青色の布を巻き、槍を持っている人に当たった。
その人は吹っ飛ばされて転んだ。でも青色の布を巻いた人は立ち上がった。だが、手に持っていた槍がなかった。手に持っていた槍を道中の隣にある森の中に落としてしまったのだ。
青色の布を巻いた人は、その場で槍を探している。なので、馬車に向かってきてるのは、剣と棍棒を持った二人になった。
僕とセンさんは山賊の二人が近づくにつれて、一歩づつ山賊に近づいていく。ツシさんに山賊が行かないように距離をとるために。
センさんと確認して、僕が棍棒を持っている人、センさんが剣を持っている人と対峙することになった。
先に剣を持っている人とセンさんが対峙した。
僕はセンさんが対峙している横を通って、棍棒を持っている人と対峙する。
剣と棍棒がぶつかり合い、棍棒を使っていた人が体勢を崩す。
対峙した相手が体勢を崩したのを見て、僕は剣で叩きつける。その衝撃で相手は棍棒を離した。
僕はそのまま剣で相手を叩きつける。
何度も何度も相手に剣を叩きつける。相手が戦闘不能になるまで……。
十回くらい叩きつけた後には、相手は気絶していた。
血は出てないが、身体中に叩きつけられた跡が残っている。
僕の戦闘が終わったので、次にセンさんを確認する。
そこには、センさんと対峙している人がいる中で、後ろから棍棒を持って向かってくる青色の人が見えた。きっと、緑色の布を巻いていた人が手放した棍棒を拾ったのだろう。
僕はすぐに棍棒を持っている人に向かって、そこら辺にある石を拾って投げた。
投げた石は吸い付くように青色の布を巻いた人の頭に当たる。その際に持っていた棍棒を手放した。
剣を持って棍棒を手放した人に向かって走った。が、後ろから火の塊が飛んできた。そして、その火の塊は青色の布を巻いた人に命中した。
「熱いぃぃ!!水ぅ!水ぅ!」
火の塊に当たった人は叫び、衣服は燃え、体は黒くなった。
息はしていない。恐らく死んだのだろう。
「おっし!勝ったぞぉー!」
センさんが雄叫びをあげる。どうやら赤い布を巻いた人との決着がついたそうだ。
とりあえず生きている山賊を縄にくくりつける。逃さないためにでもあるし、運ぶためでもある。
山賊達全員を縄で結んだ後、荷馬車には乗せず、引きづるように荷馬車に括り付けた。
隣村までの道中、山賊達が、『痛い』などと言っていたが、それなら山賊なんてしなければいいのに、何故、分からないのだろうか?真面目に働いていればこんな事にならないのに。
この山賊は馬鹿なんじゃないかと、僕は思った。
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