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「しかし……なんでここにいるんだろうね?」
俺は呪術師の所へ向かっている車の中で素直な感想を口にだした。
「俺もおかしいと思ったな。きっとここには何かがあるのだろう」
「そうね……《降臨の家》の呪術師なら本拠地に家を構えればいいのに」
「遠くないとはいえ信者はさして多くないよ、ここの市」
「呪術師個人の思惑だろうか?」
「あー、それなら解るかも」
俺の疑問に同意してくれたのは信兄。
言われてみればといった感じで考え出したのは浅井さん。
俺は展望レストランから見た情報も付け加えた。
俺達が今いる場所は《降臨の家》本拠地のある市ではない。
アゲハとタイヘーの拉致を指示していた呪術師は《降臨の家》と関わりが深いと思われる。
だが本拠地の側には住んでおらず離れた市に住んでいるのに違和感がある。
呪術師個人の思惑だろうか?……そう言った信兄に答える声があがった。
呪術師であるタイヘーからの声であった。
車内の人間からタイヘーに視線が集まった。
「呪術師ってのはさ、他人を信じない奴らなんだ。家族、恋人ですら疑ってかかるような奴らさ」
みんなが黙っている中、タイヘーが説明してくれた。
しゃべっている時の表情は自嘲しているかのようだった。
呪術師の家に生まれ育てられたというタイヘー。
そのおかげで若いみそらで呪術が使えているタイヘーだが呪術を嫌っているようでもあった。
家族、その単語を言った時に力が入っていたように思う。
実体験が籠っていそうだと俺は思った。
「お前は違うだろ?」
「俺?俺はあいつらを反面教師にしたからな」
「チャラいもんな」
「カズ、うるせーよ」
「ふふっ、確かに呪術師ってイメージではないわね」
「僕もそう思います」
「アゲハ、じゅぴたー……お前らもか」
「林です」
「あはっ」
「ぷっ!お、俺達はタイヘーを疑ったりしてないからな?ぷっ」
「信さん!笑いながら言わんでくださいよ!良い話っぽいのに!!」
シンラが真顔でタイヘーは違うだろと言った。
うわ、シンラ男前だな!
俺だったら照れてよう言えんわ!
そう言われたタイヘーはちょっとだけ表情を明るくして反面教師にしたと言い放った。
あいつらってのは、おそらく呪術を教えてくれたであろう家族だろう。
俺は茶化してやった。
タイヘーが重い空気を嫌がってると感じたからね。
俺の後にアゲハと林さんも乗ってくれた。
俺の思惑を知ってか知らずか……単純に思った事を言っただけかもしれない。
まぁ、チャラいタイヘーと暗いイメージのある呪術師ってのを同じモノとは思い難いのは解る。
俺達のやりとりを聞いて詩織が吹き出した。
信兄もだ。
ただ信兄は上司として言うべきことは忘れずに言ったね。
笑いを潰しきれていないけども。
それにツッコむタイヘー。
みんなが笑った。
車内の空気はすっかり軽くなっていた。
「話を戻すけど、今向かっている所にいる呪術師は仕事と割り切って《降臨の家》と付き合ってるんだろう。信者ではないね」
「話を聞くとそんな感じだな」
「仕事、金。そのために動いてはいるんだろうけどね。暴力団との付き合いもあったみたいだし裏稼業になれていそう」
「呪術師ってのは裏稼業なのか?」
「うーん。一概には言えないけど人を不幸にするのが仕事みたいな所があるからね」
「呪術師……そんなイメージだな」
「でしょ?大きくは外れてないと思いますよ」
「そうか……」
「で、これから向かう先なんだけど……たぶん呪術で守られていると思うんだ」
いつもの調子に戻ったタイヘーが自分の出番とばかりに説明を続ける。
そんなタイヘーに返事をするのは信兄で相槌を打っている。
呪術師は裏稼業?
信兄はそう言ってタイヘーに聞いているが、当然そうだよな?
そう名乗って税金を払っている訳ではあるまいし……ってそういう意味じゃないね。
タイヘーが言う通り人を不幸に出来る力があるのが呪術師なのだろう。
人を幸せに出来るのが表の仕事なら、呪術師は確かに裏稼業なのだと思う。
タイヘーは自分の力をちゃんと理解していた。
でも信兄の下で働くタイヘーは人を不幸にする力を防ぐ方に回りたいのだと感じた。
表情が暗くないからね。
人を不幸にする以外で力を発揮できるのが嬉しいのだろう。
役に立つってのも大事だ。
俺もそうだから解る。
《降臨の家》関係者の呪術師がいるであろう場所には呪術による守りがあるらしい……。
少なくともタイヘーはそう確信しているようだった。
たぶん、って言っているが自信ありげだもの。
「ならタイヘーのお手並み拝見だな!」
「そう言う事だ!タイヘー、頼むぞ!!」
「へへっ、どんと任せてくださいよ!!」
今日のシンラは男前過ぎる……全然茶化したりしない……別人か?
いつもタイヘーをからかっているのに、おかしい。
あ、アゲハとタイヘーの拉致、救出、病院、そこ辺りが関係しているのかな?
タイヘーが身を挺してアゲハを守っていたというし、シンラもタイヘーを見直したのかも知れない。
それなら一応納得できるかな。
真実は解らないけども。
シンラ、信兄から頼りにされて嬉しそうに笑いながら胸を叩くタイヘー。
人から頼りにされるって気分いいよね!
解る。
凄く解る。
いい感じになった車内。
そんな中で佐久間さん運転のワンボックスカーは進むのであった。
商店街の端っこにある四階建てのビル。
俺が見つけた呪術師の数字はそこから伸びていた。
移動中から思っていたが街中だった。
敷地面積も結構あり、それなりにお金がかかっていそうな建物に見える。
一階は駐車場で、今も乗用車二台とワンボックスカーが止まっている。
自転車なんかも置いてあった。
上に行くための方法は階段しかなさそう。
「意外な場所だったな。カズ、中の人数はどうだ?」
「ちょっと待ってね。『カウンター』『人を殺した回数』……っと建物の中だった、もう一回だ。最初から天に伸ばしてっと……四人だね」
「呪術師を入れて四人か?」
「呪術師を入れると五人だね」
「カズ、サンキュー。打ち合わせ通りでいいだろう。行動開始!」
信兄が俺に依頼して来た。
建物の中には呪術師を入れて五人いた。
それを聞いた信兄が指示を出した。
それに従って全員が動き出す。
相手の人数が少ないので所轄からの応援は要らないと判断した模様。
もっとも荒事になっても浅井さんがいるからなぁ……。
階段に向かったのは信兄、浅井さん、林さん、アゲハとタイヘーであった。
彼らが主力だ。
責任者である信兄。
最大武力の浅井さん。
記録係兼戦力の林さん、林さんも俺達と一緒に浅井さんにしごかれているのだ。結構やるよ。
陰陽師のアゲハ。
そして対呪術師用のタイヘー。タイヘーは張り切っていたね。
佐久間さんは建物の裏に向かって歩き出した。
裏から逃げられないようにするためである。
俺?俺達?
俺、詩織、シンラはこのまま車で待機だ。
俺達はバイトの身だから危険な場所には連れて行ってもらえなかった。
情報収集で頑張ったから十分だと言われました。
シンラはいざという時のために待機。
治癒力がいる状況にならない事を祈るばかりだ。
詩織……詩織には力がある。とても強力な力。
だが詩織の『スリープ』は範囲攻撃なのです。
街中には車も走っているし火を使っている家庭もあるだろう。
その人達を眠らせる訳にはいかなかったのだ……事故につながりかねないからな。
人里離れた山の中なら遠慮は要らなかったんだがなぁ……状況が違うのだ。
そんな俺達は林さんが持っているデジカメ経由で状況を見るつもりだ。
データを飛ばしてもらっているしデータの保存もしている。
車内で危険なく見させてもらう。
ビルに入っていった主力に、ちょっと悪い気がした。
「結構綺麗に見れるもんなんだな……」
「ね!最近のは凄いね!」
「おう!ビックリだな」
林さんから送られて来た画像を見ながら感心する俺達。
シンラが言う通り綺麗な画質であった。
林さんのスーツ、その胸ポケットに収まる小ささなのにこんなに綺麗に撮れるとは……。
俺はスマホ程度しか扱っていないから他の機械には詳しくない。
大したもんだと感心してしまったね。
ビルの階段、その突当りで信兄がピンポンを鳴らしている後ろ姿が映っている。
「うぉっ!いかにもなハゲだ!」
「いかつい人だねー」
「どうみてもカタギじゃねーな」
扉を開けて顔を出したのはスキンヘッドの縦にも横にも広い男だった。
その後ろにネズミみたいな顔をした小男とガッシリした体と顎鬚が特徴的な男もいた。
揃って出て来た辺り、大勢の来客だと解っていた感じだ。
何処かに監視カメラがあると思われる。
監視社会だねぇ……。
『どちらさん?』
『こういう者だ。これが令状ね。田中一郎はどこだ?』
『……上だ』
『案内してくれ』
ちゃんと音声も拾っている。
臨場感はないが、凄い。
威圧的なスキンヘッドの男であったが言葉はわりと丁寧だった。
信兄が何かを見せていた。
後ろからの映像なので見えないけど、おそらく警察手帳と捜査令状か逮捕状とかかな?
後で見せてもらおう。
俺がそんな事を思っている間に信兄達が中へ入っていった。
アゲハとタイヘーを拉致監禁したチンピラが持っていた銃器の出元、その暴力団に指示を出していたのが田中一郎。
田中一郎は偽名っぽいが、呪術師らしい。
指示に使っていたと思われる携帯電話を未だ所持していた。
その契約者名も田中一郎だと調べが付いていた。
特に邪魔されずに進めている。
信兄達一行をすんなりと通すスキンヘッド達。
さすがに官憲には逆らわないか……。
そう思いつつもちょっと意外だったり、だって拉致や銃器の提供を指示したりするような奴の所だものね。
「なんだここは調べないのかよ?」
「呪術師が目的だから?」
「でもよー、絶対なんか出て来るぜ?こいつらうさんくせーもの!」
「俺も同意見。絶対なんかやらかしてるよな」
「だよな!」
「そう言われるともったいないね」
俺達は車内で信兄達の動向を伺っている。
スキンヘッドと他二人、それから恰幅のいいおっさんもいた。
ちょっと偉そうな感じに見える。
纏め役だろうか?
そんな奴らがいる部屋は素通りだった。
誰かの声は聞こえたが特に動きはない模様。
ちょっとドキドキする。
素通りしたのを見てシンラが不満そうな顔。
詩織が呪術師が目的でスキンヘッド達は目的じゃないと言う。
シンラが言う通り、スキンヘッド達は一般人には見えないし何か犯罪をしてそうに見える。
見た目だけで判断するなって?
調べるまでもないと思うけどな。
最後には詩織まで調べないのはもったいないと言い出した。
それだけうさんくさい奴らであった。
『止まって!!』
ビル内部の階段を更に進んでいた信兄達。
浅井さんが扉を開けた。
そしてタイヘーが手で示し叫んだ。
止まってと。
俺達、車内組は思わず引き込まれ、タブレットに見入った。
浅井さんが開けた扉の向こうをタイヘーが覗き込んでいる。
『何も置いてないな……』
『ええ』
『家具すらないですね』
『床……タイルの下に何かありますよ……たぶん陣ですね』
『じゅ、呪術のか!?』
『ちょっと調べます、時間をください』
『頼む』
信兄達は足を止めた状態で扉の奥を見ている。
何も置いてない広い部屋に見える。
あ、林さん、もっと見える場所へ動いてー!
林さんの位置取りに不満を持っているとタイヘーが説明しだした。
陣?呪術?
タイヘーは調べると言って部屋に踏み込んだ。
林さんは部屋の方を向いている。
その後ろでアゲハと誰かが話しているっぽい。
スキンヘッド達にこの部屋の事を聞いているのかな?
詳しい事を知っているとは思えないけども……賢そうに見えなかったからな。
「うぉー!直接見てみたいぜ!」
「気になるー」
「タイヘーが感じたモノを俺達でも感じられるのかな?確かに気になる」
「ジッとしてるのは苦手だぜ!!」
「そんな感じだよな、シンラは」
「ふふっ」
画像でしか見れない俺達。
役に立てないのと実感できないのがもどかしい。
ジッとしてるのは苦手だといって激しく貧乏ゆすりをするシンラ。
イライラしてそう。
気持ちは解る。
俺もどっちかと言うとそっちタイプだと思う。
考えるより動きたいのだ。
お、林さんが扉に一番近い所へ行ってくれた。
記録のために動いたのだろう。
ありがたい。
部屋を調べると言ったタイヘーは部屋の隅をウロウロしていた。
だが視線は床、そして部屋の中心部へ向いている。
そこに何かがあるのだろう。
タイヘーの言葉を借りるなら呪術の陣かな。
「タイヘーがしゃがみ込んだぞ!」
「ペンを取り出したね!」
「床、タイルを剥がそうってのかな?」
タイヘーが動いた。
「おー!剥がれたぜ!」
「他のも剥がそうとしてるね」
「全部剥がそうってんじゃねーだろうな……」
タイヘーの作業は続いた。
次々とタイルを剥がしている。
部屋の中心に向かっているようだ。
そんなタイヘーが動きを止めて扉の方へ振り返った。
一度目線が来たね。
林さんの胸ポケットから撮影しているのを知っているな?
今の主役はお前だぜ!
みんなが見守っている。
『やっぱり床の下に仕込んでありましたよ!』
『さすがだな、タイヘー』
『でへへ。解除に入ります』
『大丈夫か?』
『今持って来ているモノで何とかなりそうです』
『そうか……無理するなよ?』
『任せてください!』
タイヘーと信兄が話している。
どうやら床のタイル、その下に陣があったようだ。
信兄に褒められて嬉しそうなタイヘーが頭をポリポリと掻いている。
タイヘーが呪術の陣を解除するらしい。
腰に着けてあるサイドバッグを漁りだした。
タイヘーの声から察するに解除には自信ありそう。
薄暗い部屋なのにタイヘーの顔が眩しく見えた。
働く男の自信ありげな態度がそうみさせたに違いない。
ちょっとカッコ良かった。
タイヘーは部屋の隅を通って部屋の反対側にある扉側から作業を開始した。
扉近くの床を気にしてもいたので、その付近にも何か仕掛けがありそうに見えた。
また床のタイルを剥がす作業からであった。
「なにしてるかわかんね」
「床を剥がした以外さっぱりだねー」
「直接見てもわからねーんだろうな」
「だな」
「ちょっとおっさんに連絡いれておくわ」
「おう」
「そうだね」
俺達はタブレットを通してタイヘーの様子を伺っていたが何をしているのか解らなかった。
シンラは飽きたのかスマホを取り出していた。
建物の裏にいる佐久間さんに連絡をするのだと言う。
信兄から連絡はいってそうだが、無駄ではあるまい。
そういえば固定してある数字が細かく動いている。
信兄達のいる部屋の上にいる呪術師が落ち着かなく歩き回っているのが想像出来た。
信兄達が来ているのは解っているはず、だがナニカ結果が出ない事にやきもきしているのだろう。
タイヘーがいなければそうならずに済んだろうに。
ただの落ち着きがない人って可能性もあるけどね。
▼
『もう大丈夫っす!部屋に入って来ていいですよ!』
車内でだれていたら、タイヘーの声が聞こえた。
急いでタブレットに目を移す俺達。
どうやらタイヘーの作業が終わったようだ。
床のタイルがかなり剥がされていた。
部屋の中心辺りは全部剥がされていたね。
灰色の床、黒い粉みたいな物が撒かれていたのが見えた。
よく解らないけど、タイヘーが頑張ったのだろう事は解る。
『タイヘー、よくやった!』
『うっす!』
『頑張ってたわね』
『うっす!』
『やるじゃない』
『やる時はやる男なのよ!』
『いつもやりなよ』
『要らん事ゆーな!大人しく褒めとけじゅぴたー!』
『林だ』
部屋に入った信兄達が口々にタイヘーを褒めた。
林さんは素直じゃない。
いやタイヘーの日ごろの行いが悪いのかな?
そして奥に見えた扉を浅井さんが蹴っ飛ばした。
どうやら鍵がかかっていた模様。
頑丈そうなのに凄いな浅井さん。
でもいいのかな?
いや妨害の排除だからいいのだろう。
扉の奥にあった階段を更に上っていく信兄達。
ドキドキする。
この上に呪術師がいるのだ。
俺は天に伸びている数字を見た。
いる。
動いてはいないが間違いなくいる。
『警察だ、開けなさい』
『頼む』
『ええ』
信兄が最後であろう扉をノックしながら告げる。
扉を開けなさいと。
ここも鍵がかかっているようだ。
またノックをしたが反応なし。
信兄の声で浅井さんが動いた。
頼む……さっきの扉と同じ事になった。
『グハァッ!』
扉が蹴り飛ばされると同時に誰かの悲鳴。
『あー、ここで最後の抵抗をしようとしてたな』
『そうなのか?』
『書きかけの陣があります。これは問題ないっす』
『そうか』
『私がいって大丈夫かしら?』
『そのままいけます』
『それじゃ』
どうやら扉の側で呪術師が最後の抵抗をしようとしていたらしい。
それをタイヘーが指摘した。
浅井さんが大丈夫かと聞いたのは呪術師をそのまま捕まえてもいいかと言う事だと思う。
タイヘーからいけるとの返事、浅井さんが動いた。
呆気なく捕まる呪術師。
ボサボサの長い髪の毛、白いシャツにスラックス……髪型がまともならただの社会人に見えたろう。
最後は呆気なかった。
『お、ハゲ達が逃げ出した。佐久間さんにも伝えて拘束してくれ』
信兄がカメラに向かってそう言った。
成り行きを見守っていたスキンヘッド達が逃げ出したらしい。
きっと呪術師の力をある程度知っていたのだろう。
だが全て突破されて慌てて逃げ出したと思われる。
「よっしゃ!出番があったぜ!!」
「詩織は俺達の後ろな」
「うん!」
「おっさんにはあたしが連絡を入れるわ」
「おう」
俺達は車から出るのであった。
信兄の様子からして俺達で十分なのだろう。
俺達は全員鍛えられているからな、鬼の浅井さんに……。
階段は一か所。
俺達の方が早く着ける。
シンラが佐久間さんに連絡しているのを聞きながら向かうのであった。
バンッ!
上の方で凄い音がした。
ずいぶん乱暴に扉を開けたらしい。
「なんであいつら無事なんだよ!?おかしいだろ!あっ……」
「っち!」
「くそっ!」
「他にもいたのかよ!」
「おうおう!来たな、悪党!!」
「シンラ、イキイキしてんな……」
「ね」
「お前さん達は後ろで対応な」
「あたしは前な!」
「……ふぅ」
階段の上に現れたのはえらそうなおっさんだった。
ぶつくさ文句を言っていたが俺と目が会うと黙り込んだ。
あいつらって信兄達の事だろうな。呪術師の力が発揮されなかったのを不思議に思ってそう。
舌打ちをしたり悪態をつくスキンヘッド達。
うちにも似たようなのがいたり……シンラが嬉しそうな声をあげた。
佐久間さんが前に出た。
シンラは下がらない。
えぇ、ボコボコでしたね。
なんせ殴り掛かってきてくれたんだもの。
当然やり返しますよ。
大丈夫かな?ちょっとそう思っていたけど、まったく問題なかった。
詩織ですら足払いして倒して踏みつけていたよ!
ネズミっぽい小男が少し嬉しそうに見えた。
特殊な性癖の持ち主だったのかも……気持ちは解らないでもない、だって詩織は美少女だからな。
階段下で一番輝いていたのはシンラでした。
それはもう嬉々として暴れてましたね。
佐久間さんが止めるまで続いた。
「他の仲間はいねーのか!」
シンラが叫ぶがスキンヘッド達が揃って頭を左右に振った。
こうして呪術師の件は終わった。
いや仕事は残っているけど、後はタイヘーを含む信兄達と刑事さんの仕事なのです。
タイヘーも凄かったが一番の功労者は警察の方々だと思う。
地道な捜査のおかげというものだ。
美味しい所を貰ってしまい申し訳ありません。




