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Counter!!  作者: 大和尚
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「英二、嬉しいのは解るがユキを撫でまわしすぎんなよー?」

「うん!ユキー、ユキはかわいいねー」


『ふふっ、聞いておるのかおらんのかわからんのにゃ』


「ユキと子猫達が可愛すぎるのがいけないと思いまーす!」

「マタさん、俺も詩織に同意なり」

「かわいいの!」


『ユキも喜んでるにゃ』




 神社前のお屋敷、門の外に来ています。

マタさんが連れ出して来てくれたユキと子猫達と戯れているのは俺、英二、詩織、それから英二の友達が三人。

三人のうち二人は女の子です。

英二も隅に置けませんねぇ。

まぁ、英二は可愛らしいから放っておかれないのはわかってた!

みんなで子猫達と遊んでいます。

え?

《降臨の家》?

松永さん?

呪術師?

はて?なんのことやら……。


 嘘です。

覚えていますし、怒りも治まっていません。

調査待ちなのです。

アゲハとタイヘーを拉致したチンピラ達が持っていた銃器の出元を刑事さん達が洗ってくれています。

こういう地道な調査は俺より刑事さん達の方が断然上です。

俺の力は便利なのは間違いない。

だが偶然目の前で事件が起こるか、適当に調べていくしかないのだ。

この件で力を発揮するためには絞り込みが必要なのです。

少なくとも犯人が住んでいる地域辺りが解っていないと厳しい。


 そう言う訳で荒んだ気持ちを穏やかにしようとやってきているのです。

英二にも喜んでもらえるしね!

家で文句も我儘も言わない英二、良い子すぎて逆にこっちが辛かったり。

兄として出来る事はしてやりたいのです。

マタさん、ユキ、可愛い。

ユキは白い毛が伸びて地肌の肌色が少なくなって来た。

かわいい盛りですよ、奥さん!

ユキのストレスにならないように軽く撫でさせてもらう。

温かい、小さいのに生きてるんだよなぁ……ここの所、殺伐としていたのでとても癒されます。

ふと隣を見ると詩織の顔がえらい事になってまっせ?

緩み切っている。

しょうがないやつだなぁ……。




「お兄ちゃん、酷い顔になってるよ?」


「ほんとだー。おかしいね、えーちゃん!」

「あはっ」



 英二から指摘を受けました。

しょうがないのは俺もだったらしい。

しかし英二よ……酷い顔はなくね?凄い顔とか緩んだ顔って言って欲しい。

兄のハートがブルブル震えてますよ?悲しくてさ。

しょうがないやつ一号である詩織からも追撃。

英二と詩織は楽しそうに笑いあっている。

あー、そこの幼女?少女達よ、人を指差さない!!英二の友達だからって許しませんよ!?

マタさんまで笑ってる気がする……顔を逸らしてくれているのは気を遣ってくれているのだろうか?



 傷心の俺は、ユキの毛並に癒しを求めるのであった。

もふもふ。

英二はユキに首ったけだ。

ユキも前に助けてもらったのを覚えているのか英二の手に頭を擦りつけている。

英二撫でる、ユキ目を細める。

幸せループ。


 他のみんなも、もふもふ。

マタさんに止められるまで癒されましたとも!!












 心が癒されたりされなかったりした翌日、信兄から連絡が来た。




『例の呪術師と関わりの深い暴力団までたどり着いた』

『既に令状をとって踏み込んだ』

『取り調べとスマホの履歴から呪術師らしき奴の居所も解った』

『今度の休みに動くぞ』



 アゲハとタイヘーを拉致した連中が持っていた銃器の出元を突き止めたらしい。

さすがだ!いい仕事をしなさる!

みなが怒りを溜めこんでいた相手、ついにぶつけるべき相手が見つかりそうだ!

張本人でない俺ですらやる気に満ちている。

アゲハとタイヘーのやる気はどれほどのものだろう?

俺の比ではなさそう。


 詩織がサムズアップをして来た。

俺もやり返す。

詩織も気合入ってそう。

でも、まずは数学の授業かな……試験も近いのよね……。

俺は詩織と違って余裕なし!

そのくせ家で勉強はほとんどしていなかったり……忙しいからさ……すみません、俺が怠惰なだけです……。











「へー、こんな所があるんだぁ」

「な!」


「珍しいってほどではないですよ」


「せっかくだしなんか食おうぜ!」

「シンラ……」

「なんだよ?展望レストランだぞ?食わねーでどうすんだ?」



 詩織が楽しげな声で呟いた。

俺も同感だった。

思った以上に興奮していたらしく、ちょっと返事の声が大きくなってしまった。

詩織に返事をしたのは俺だけではなかった、林さんも俺に続いた。

市役所の上に展望レストランがあるってのは珍しくないのかな?

林さんが珍しくないと言うならそうなのだろう。

間違いなく俺より物知りだからな!

もっとも俺は市役所に来ること自体が初めてなんだ!だから初めてってのと見晴らしの良さのせいで興奮してしまった。

そんな俺達の横でシンラがメシにしようと言い出した。

元気な姿のタイヘーが目を細めてシンラの名前を呼んだ。

仕事で来たんだぞ?何言ってんのお前……そんなニュアンスだ。

言葉って凄いね!

そんな事まで伝わるんだからさ!

別に俺とタイヘーがツーカーって訳じゃないはず。

たぶん。

そんなタイヘーもシンラの言う事も一理あると思ったのか黙り込んだ。

よわ。

昼飯まで後一時間くらいあるぜ?





「ここで邪魔になるのも何だな、席を使うためにも軽くメシを食おう」

「さんせー!!」

「そうですな」

「ええ」



 信兄がシンラの提案に乗った。

ガッツポーズと嬉しそうな顔を見せてくれたのはシンラ。

佐久間さん、浅井さんも文句はなさそう。

他の面々も信兄に反対はしなかった。


 タイヘーの言った仕事とはここら辺にいる呪術師を探す事だ。

刑事さん達が調べてくれたので場所としては間違っていまい。

後は俺の仕事だ。

見晴らしのいい高いビルの上から力を使うのだ。

コツコツ頑張ればいけるはず!

条件検索って技も出来るのに気が付いたのは大きい。

必ず呪術師を見つけてみせます!!


 でもメシからね。




「カズちゃん、何にする?ちょっと交換しようよ!」

「ええでー。俺は……オムライスにしようかな」

「いいね!私は……月見そばにしよっと!」


「卵は先に崩す派?」

「後に決まってるよ!!」

「だよねー」

「汁に溶けださない程度に固まったのをおそばに絡めるのがジャスティス!」

「わかるー」


「お前ら、仲良いよな」


「うん!」

「それが何か?」


「なんでもねーよ……」



 食べ物の見本と券売機の側で詩織が聞いて来た。

何を注文するのかと。

初めての場所、外食で浮かれている詩織。

俺も同じだけども。

そんな詩織は色々食べたいらしく、交換しようと持ちかけてきた。

俺に異存はない。

俺も色々食べたい。

今日はオムライスの気分。

ケチャップライスにカッチリ焼いた薄焼き卵。

肉はハムかな?

安っぽい感じだがたまに食べたくなるやつだ。

でもグリンピースは要らないと思う。

ええ。

俺がオムライスを頼むと伝えると詩織は月見そばに決めた。

スープ的な感じで良いと思います。


 月見そば……これは難しい問題を抱えた食べ物だ。

主役ではないが脇役ともいいがたい卵。

それを崩すタイミングは議論を呼ぶのだ!

だから先に聞いてみた。

卵はいつ崩すのかと。

詩織は俺と同じだった!!

さすが詩織!!

さすしお!!

思い入れがあるのか熱く語ってくれました。

そうかジャスティスか。


 そんな俺達を見てシンラがボソリと言った。

仲良いよなってね。

照れずに答える俺達。

シンラがなぜか呆れた感じに見えた。

解せぬ。



 信兄は親子丼。

佐久間さんも月見そば。

浅井さんは目玉焼き付きハンバーグ定食。

アゲハも親子丼。

林さんは天ぷらうどん。

タイヘーはカツ丼。

シンラは……カツカレーにそば。

シンラ結構食うんだよ。

焼肉の時もすげー食ってた。

俺も頑張って食べたが負けていたね。

肉食系女子、シンラ。



 あれだ……人の食べている物って美味しそうに見えるよね。

オムライスは不味くなかったが普通すぎだった。

むしろ月見そばの方が美味しく感じられた不思議。

そば屋のそばじゃければ大差ないはずなのにねぇ……なんだろ。

詩織はオムライスも月見そばも美味しそうに食べていた。

得な人かも知れない。

食べながらそんな事を思っているが、仕事もしていた。

だって俺のためにここへ来たようなものだもの。

一面ガラス張り、そこから外を見ながら力を使う。

『カウンター』『呪術を使った回数』

条件を想う前に数字がゼロでないものだけ出るようにした。

天にも伸ばす。

これで広い地域を一度に探せる。

あ、そばつゆ美味しい、最後に混ざった卵がまたいいんだよ!


 んー、こっちの窓の方には見えない。

いないようだ。

食べ終わったら違う面に向かうとして、他の条件でも調べておくか……定番の殺人回数かな。

『カウンター』『人を殺した回数』

うっ……思ったよりいるな……四か所から天に数字が伸びた。

赤くして置こう。

でもこれって過去に罪を償っている場合もあるんだよね。

目星がついていて調べてくれって依頼以外は色を付けて固定だけしている。

世の中、犯罪者って多いのよ、ホント。

落ち着いたら一つずつ調べていくつもりではある。

長い仕事になるだろうがね。




 みんながお茶を飲みだしたので、俺は席を立った。

他の面でお仕事さ。

付いて来ようとした詩織を手でおさえる。

食休みしていてくだされ。


 子供連れだったりスーツを着てなかったりと市役所の人以外でも利用しているのが解る。

市内を一望しながらのご飯ってのはいいものだった。

それなりに人気があると思われる。

これから昼時だし席をとりっぱなしってのも悪い。

だから急いでここの仕事を終わらせます。



 こっちにもいない。

後、二面。


 お、遠くに山々が見える。

天気がいいから良く見える。

下を見たら人がゴミのように見えるのかな?

空から女の子が振って来たり?


 いた!!

女の子じゃない!呪術を使った回数三桁の奴がいた!!

あれだろう!アゲハとタイヘーの敵は!!

良かった、俺は役に立てた。

安堵の息とともに達成感が湧いてくる。

見つけただけで終わってはいないが次に進む準備は出来た。

思わず頬が緩んだね!

俺はこっちを見ていた詩織にサムズアップ。

向うも返してくれた。

「ッシ!」「おう!」ってな声が漏れ聞こえた。

周囲のお客さんに見られてますよ?あなたたち。



 念のため、最後の一面へも向かう。

いない。

さっき見つけた呪術師で間違いないだろう。

後は固定した光の柱に向かって近づき、対象を見つけるのだ!

逃がさないぜ?

まってろよ、呪術師!

ちゃんとアゲハとタイヘーを連れて行ってやるからな!!


 もう使ってないかも知れないが電話番号だって知ってるんだからな?

メリーさんしちゃうぞ?

私いま市役所の展望レストランにいるの。



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