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俺達が無事に戻った翌日、フソウが揺れた。
同盟国、周辺国も揺れた。
総理大臣暗殺未遂事件、未遂だったが軽傷を負った総理大臣。
怪我人というならば総理大臣の護衛も怪我をしたという。
亡くなった者も出た。
総理大臣の護衛の射殺された犯人と、とある政治家の二名。
とある政治家は近々逮捕の噂が出ていた人物でもあった。
黒い噂の絶えなかった男。
そして犯人はその男の第三秘書という男。
政治家が亡くなったので事件は直ぐに表に出た。
何が起こるんです?
各地でそんな話がされていた……。
俺の周りは学生が多い。
そんな連中でも話をしていた。
遊び、恋愛……いつもの話がなりを潜めるほどだった。
ジョージは意味ありげに俺に視線を送って来たが無視してやった。
その代りか判らないがジョージは大友さんと話をしていた。
絵になる二人でしたね……。
『カズ、明日も学校だろうが放課後仕事を頼めないか?』
英二と一緒に夕飯を食べていると信兄からメッセが来た。
緊急の仕事……俺は総理大臣暗殺未遂事件に関わる事だと思った。
信兄は律儀だ。
それにお隣さんでもある。
頼みがある時は面と向かって言ってくる。
たぶんだけど、忙しいんだろう。
帰る暇もなくなったと見た。
だから大事件絡みだと思った訳だ。
「おにいちゃん、だれからー?お母さん?」
「うんにゃ、信兄からだった。急ぎの仕事だってさ」
「そっかぁ、おにいちゃんはたよられてるねっ!」
「おう!」
食後に返信しようと、少し親子丼を食べる速度を上げた。
ちょっと黄身が固まり過ぎたかな……鶏肉はいい感じなのに……次回は何とかしよう。
そんな事を考えていると口の中の物を飲み込んだ英二が俺に聞いて来た。
俺がスマホを見ていたからな。
俺は信兄からだと教える。
にぱっと笑った英二が俺を褒めて来た。
あー、英二は可愛いなぁ。
そして良い子だ。
うん、間違いない。
天使かも知れない。
男なのが残念なくらいだ。
いやサイコーか?
でも、やっぱり母親か……まだ英二は小学生だからな……。
今度、母親と相談しよう。
そうしよう。
一緒の時間を増やしてあげたい。
俺じゃ母親役は無理だ……。
『明日の放課後の件、了解なり』
『カズちゃん、えーちゃんはうちで預かる?おかーさんに伝えるよ?』
俺は麦茶を飲みながら、忙しいであろう信兄に返信をする。
了解と。
すかさず詩織からのメッセ。
詩織は優しい。
俺は嬉しくなる。
「英二、明日は織田さんちにお世話になってくれるか?
「うん。だいじょうぶ!おばちゃんやさしいもの!」
「それなら良かった。頼んでおくな」
俺は英二に聞いた。
俺の一存で決めるよりいいだろう。
英二は小学生とは言え男だ。
今から自分で決められる男になってもらいたい。
ん?俺?俺は自分で決めてますよ?本当ですよ?
『英二を頼む。おばさんによろしくと伝えてくれ』
『おっけ』
明日は忙しくなりそうだ。
懸念が一つ減るのはありがたい。
だが平日に仕事は出来るだけ避けよう。
俺のためにも英二のためにも……。
考え事を始めたら、色々な事が頭に浮かび出した。
学校、将来、仕事……そして《降臨の家》本拠地奥にいた異常殺人数の男。
『カウンター』で異常な数字を出した奴は男だった。
男子トイレの使用回数で判った。
始めにそこからスタートしたのが良くなかったかも知れない。
上手く個人情報を得られたので個人の特定に動いてしまったのだ。
《降臨の家》本拠地側の駐車場で警備の者が動くまでそこに掛かりっきりになったのは失敗だったと今になって思う。
一気に解決してやろうと焦ったのがいけなかった。
何をして来たのか?過去をもっと調べたかった……。
浅井さんが警備員の事を言い佐久間さんが車を出すまでに殺人回数で数字を固定はしたけどね。
位置情報の確認は出来る。
また調べる機会もあるだろう。
あー、麦茶うめー。
「おにいちゃん、あらいものするね」
「お、一緒にやるか」
「うん!」
英二も親子丼を食べ終わったようだ。
うん、サラダも全部食べたな。
偉いぞ。
でも親子丼とサラダ、麦茶だけってのは寂しすぎたかな?
もっと頑張ろう。
俺は食器を重ねてから、英二と一緒にシンクへ向かうのであった。
洗い物を溜めてはいけない。
直ぐに溜まるから注意だ。
▼
「こんちゃーす!」
「きたよー!」
「おいっす!」
「おーう!」
「こんにちは」
「あれ?信兄達いないじゃん」
「浅井さん、佐久間さん、じゅぴたーはずっと戻ってないぞ」
「忙しそうだな」
「ああ」
俺と詩織は授業が終わって直ぐに移動。
割と早く来れた。
道に慣れたっていうのは大きい。
部屋に入ると同時に挨拶。
人間関係の第一歩。
大事だよね?
俺と詩織に返事をしてくれたのはタイヘー、シンラ、アゲハの三人だけだった。
他の人は姿が見えない。
タイヘーが他の人の事を教えてくれた。
林さんがいないからって、じゅぴたー呼ばわりしてやんなよ……。
やはり信兄達は忙しいらしい。
「私から課長代理に連絡を入れるわ」
「頼んます」
「ええ」
信兄から頼まれていたのか、俺と詩織が来た事をアゲハが連絡してくれるという。
やってくれるというなら文句はない。
素直にお願いする。
スマホを取り出したアゲハは少し楽しげに見える。
あれ?もしかしてアゲハは信兄が好きなのかな?
何となくそう思った。
そう思ったらアゲハから視線が外せなくなってしまった……気になります。
やっぱり楽しそうだし嬉しそう。
役に立ちたい。
そんな気持ちがありそう。
でも、信兄は浅井さんが気になってるっぽいんだよなぁ……職場で三角関係か!?
経験値の足りない俺には踏み込めない領域。
遠くから眺めさせていただく。
ええ。
「緊急の呼び出し……昨日の事件絡みなんだろ?」
「聞いてないけど、そうだと思うぜ」
「昨日の今日だしな」
「だな」
「くっそー!悪いヤツを捕まえられる所まで来てたっつーによぉ!!」
「あのバカな圧力をかけてきたっていう政治家の話か?」
「おうよ!今週末には手配が整うって聞いてたんだぜ!?」
「むう」
俺と詩織はソファーに座った。
座ると同時にタイヘーが話しかけて来た。
今日の仕事の話。
俺と違ってタイヘーは学校がここに近いらしく、放課後来ている事も多いと聞いた。
緊急の呼び出しとは言ってるが、それほど緊急だとは思っていなそう。
そしてタイヘーも昨日の事件を知っていた。
まぁ、当然だろう。
バイトの身とは言え警察関係者だからな。
俺もだけど。
軽く話をしていると、シンラが怒った。
どうやら昨日亡くなった政治家の事で怒っているらしい。
色々無駄になったようだ……。
俺も手伝っただけにシンラと一緒に怒りたい所ではある。
だが亡くなったしなぁ……。
「来てくれたか!カズ!!」
お茶を飲んでいると部屋の扉が乱暴に開けられた。
そして第一声がこれである。
お疲れだな、信兄。
信兄の後ろに浅井さんの姿もあった。
俺達に小さく手を振ってくれている。
なんだか可愛い。
嬉しくなって俺も手を振った。
俺の隣で詩織も手を振っている。
俺より嬉しそうな詩織の顔。
浅井さんは憧れの人だもんな。
「さっそくだが、行くぞ!」
「お、おう」
「う、うん」
「ちょっと休む間もなくてね……」
信兄は俺を立たせ腕を引っ張る。
いつもと違う信兄だ。
俺は何とか返事をする。
詩織も動揺しているっぽい返事。
そこへ浅井さんの説明。
休む間もなく仕事をしていたらしい。
信兄の妙なテンションと、ちょっと疲れていそうな浅井さん。
「後は任せろ!」
俺は信兄に引っ張られながら言い放った。
お疲れの二人に代わって働こうじゃありませんか!
二人の様子を見てやる気が出て来た。
それくらいにはお世話になっている二人だ。
俺の兄貴分である信兄。
格闘の先生である浅井さん。
ただ説明くらいはしてほしいと思います。
どこへ行くんですかー?
何をすればいいのー!?




