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Counter!!  作者: 大和尚
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 俺、詩織、信兄、浅井さん、タイヘーに林さんの五人でホテルの上層にあるレストラン、その個室に来ていた。

理由は俺が信兄に持ち込んだ話からだった。

話は大友さん絡みである。

彼女とメッセでやり取りをした結果でもある。

最初は詩織宛てだったんだけど、黒猫とケーキの話になってしまい、大友さんが俺にターゲットを変えて来たからなのだ。

《東洋会》

大友さんが所属している魔法使いの組織。

そこと俺達との会談の場を設けようという事になったのだ。

その場がここである。

俺の恰好はブレザー、詩織もそうだ。

信兄達は正装とまではいかないがカッチリしたスーツ姿だと言っている。

大人って凄いね。

大変そうだけど。

俺もこうなれるのかね。




「信兄、俺達が持ち込んだ話でなんだけど、いいの?」


「ああ。魔法使い!いいじゃないか!とても興味がある!ってのは半分冗談としてもだ未知の存在を少しでも知っておきたい」

「お兄ちゃん、半分は本気なんだね?」

「うむ!そこは否定しない!!」

「だよね」


「私も興味あるわ」

「浅井さんもですか?」

「なんだ意外そうな顔をして。私だって魔法に憧れがあった時代もあったのよ」

「「へー!」」

「ふふっ、二人は息があっているわね」


「認めん!詩織と息があっているのは俺だ!!」

「はいはい」


「浅井さん、お兄ちゃんのあしらいが上手いねー」

「中々だな」


「お前らー!」



 今更だが、俺は信兄に尋ねる。

《東洋会》という魔法使いの組織の者達に会うという事に付いてだ。

お互い得体の知れない間柄、危険かも知れない。

信兄は『特対』の課長代理でナンバーツーだ。

信兄の上司は報告を聞き総監と話し相談する役目だとか、だから信兄は実質トップとも言える。

その信兄が安全と言い切れない場所へ出向いた事が気になって尋ねてみたんだ。


 ラノベ好きな信兄。

魔法に興味深々。

それは理由の半分らしい。

残りは組織として対応する場面を想定しての情報収集だという信兄。

詩織が信兄に半分は本気なんだ?とツッコんでいる。

詩織にラノベを貸すくらいの信兄だからか、そこを隠したりはしていない。

潔い?

俺達の話に浅井さんも乗って来た。

魔法に興味があると。

それどころか魔法に憧れがあった時代があったと言う……カッコイイ系お姉さんの浅井さんにもそんな時代があったのか。

俺は思わぬ情報に感心の声をあげた。

それに詩織の声も重なった。

詩織も俺と同じ感想を持ったらしい。

浅井さんは、そんな俺達を温かい目で見て来た。

少し照れる。

詩織と息があってるというのもそうだが、浅井さんの視線にもだ。

シスコン兄が騒いだが放置。

収拾が付かなくなるからね。

信兄がこんな顔を見せるのは俺達にだけだ。

他の人には少し冷たく感じるらしいからね。




 そこへ個室の扉をノックする音。

俺達は静かになった。

そして視線が扉へ集中。

来たか!

急激に緊張感が高まった。

俺だけではないはず。




「どうぞ」



 信兄がノックに答える。

直ぐに開いた扉。

ウェイターさんの姿。

店内だし、案内くらいはするか……。

魔法使いの姿を想像しすぎていたらしい。

ウェイターさんが扉の近くにいるであろう人物に声をかけて扉から遠のき姿が消える。

その代わりに現れたのは男……おじさん、黒い髪をオールバックにしている。

口の周りの髭はもみあげにも繋がっていた。

目つきは鋭い。

俺より目つきが悪いんじゃないか?うん、きっとそう。

三つ揃えのスーツに革靴……カタギには見えない。

目を逸らそうかと思ったら、男の後ろに大友さんの姿。

俺の顔見知りが出て来て、少し余裕が戻って来た。

あちらも六人。

大友さんとの打ち合わせ通りだ。

大友さん以外は男ばかり。

カタギじゃなさそうなおじさん以外で知らない顔は一人だけ。

前髪で顔が隠れているが若そう。

ちょっと暗い雰囲気。




「まだ握手をする間柄ではないので……気にせずお座りください」


「そうさせていただこう」



 信兄は席を立っていた。

そしておじさんに向かって声をかけた。

おじさんもそれに答える。

渋い声。

年相応って感じだ。

おじさんは後ろに付いてきていた人達に向かって座るように促した。

おじさんがあちらのリーダー格で間違いなさそう。

こちら側の席に六席。

あちら側にも六席。

どちらも中心の席にリーダー格。

信兄の隣には浅井さん。

あちらは大友さんが座った。

大友さん、偉いのかな?若いのに。




「自己紹介といきたいのですが……そちらに流儀があればそれに合わせます」



 信兄が話を進める。

自己紹介で何を言うのか?これについて信兄から話があった。

他所の組織とあまり繋がりがない俺達、いって良い事と悪い事が判らないから相手に合わせる。

そう言っていたのは、ここに来る前の話だ。

話から俺達に他所との繋がりがないと知られたくないとも言っていた。

たかが自己紹介で、そんな大げさなと思っていた。

だが、それだけでも判る事はありそう。

例えば、べらべら個人情報を出したら裏の組織として常識がないとか判断されるだろう。

ひいては他の組織と繋がりがない事まで解ってしまう。

そんな所と付き合う奴はいないだろうから。

俺はこの場に来てそう思った。




「ふむ……では私からいこうか。私はロトと呼ばれている。ここ(・・)にいるメンバーの中では一番上だ」


「……マナです」

「コウゾーだ」

「わが、ボクはユッキーと呼んでくれたまえ」

「……ヨッシーです」

「タイシ」



「私はシン。こちら側の代表です」


「私はナツ」

「……リンと申します」

「タイヘーだ」

「カズです」

「シオリです」



 あちらのおじさんから自己紹介が始まった。

始まったけど代表以外はあだ名が判っただけだな、これ。

大友さんと目が笑っていない吉岡さんは何か考え込んでいたように見えた。

大友さんはロトさんを見てから目を伏せていた……この間の自己紹介でフルネームを言っていたのが不味かったとか思ってそう。

大友さんに関してはクラスメイトだから隠しようもなかったろうが。

俺達も名乗ったしね。

吉岡さんは、あれだな……ラッキーとは名乗りたくなかったのだろう。

そしてユッキーこと眼帯君は我輩と言おうとして止めた感じ。

場の空気を読んだのか、口調が定まっていないのかは判らない。

最後のタイシって人は暗い感じの人だ。


 俺達も名乗った。

あれ?浅井さんはナツ?下の名前は何だっけ?浅井さんって呼んでるから新鮮だな。

林さんは……ぷぷっ!林だからリンか!

俺達はまんまだ。

それより気になったのはタイヘーだな。

相手側にいる人から視線を外さない。

タイシ……タイヘーは暗い感じの人を凝視していた。

知り合いなのかな?

睨んでるって感じではない。



 みんなの自己紹介が終わって直ぐに扉がノックされた。

料理が運ばれてくる。

サラダは普通。

子羊のロースト?

美味そう!

一品ずつ出て来なくて助かった。

お堅いのは苦手だからな。

信兄が俺達に配慮してくれたのかな?

でも平皿にご飯を盛るのは止めて欲しい。

あと箸をもらえませんかねぇ……。

大人達はお酒を頼んでいなかった。

お茶、ウーロン茶らしい。


 話の本題に入る前に食事になった。

敵対する可能性だってある。

そうなったら美味しい食事ではなくなるから先になったのかも知れない。

俺は初の羊肉で嬉しい。

落ち着いて食べられるのも嬉しい。

少々、場の雰囲気を和ませるために大友さんに学校の事で話しかけたりしておいた。

無難な返事の大友さん。

俺とじゃそんなもんだよな……場の空気に変更なし。

それでも詩織が黒猫の話をすると多少は和んだ。

可愛い、女の子、動物好き、どれが効果的だったのかは判らないが悔しい。

慣れない事はするもんじゃないね!


 黒猫の話の中で判った事が一つ。

カタギに見えないおじさんこと、ロトさんは大友さんのお父さんだった。

いつもの調子が出てしまったのか「おとう……ロト」とおじさんを呼んだから判ったのだ。

ロトさんは大友さんを怒ったりはしなかった。

大した問題ではないのだろう。

俺もちょっと気が楽になった。

クラスメイトのお父さんって考えると、カタギに見えないおじさんもあまり怖くなくなった。

それもこれからの話次第なんだろうけども……。


 あと……似てないね!









「そこまでお話ししていただけるとは思っていませんでした」

「公的機関ですからね、活動していれば表に出るのは時間の問題です」

「それもそうですな」



「拠点は旧州でしたか……意外です」

「発祥があちらだったのですよ。支部はこちらにありますがね」

「《東洋会》以外の魔法使いの集団もあるんですよね?」

「ありますが、うちが一番だと自負しております」

「ほう」



「やはり魔法は西洋伝来でしたか」

「そうです。昔、ある魔法使いが西を追われ大陸東部で活動したのが私達《東洋会》の元です」

「……今も大陸との繋がりはあるのですか?」

「まったくないとは言いませんが、今はないも同然です」



「あの飛行機事故ですか」

「はい。うちの案件になってます」

「火山の噴火もありましたね」

「霊障のせいではないかと聞いています」

「それは……厄介ですね」

「難航しています」

「ふむ……」



「クスリですか?」

「はい。魔法使いにもクスリは関係ありますよね?」

「ええ、もちろん。私達の仕事の半分はクスリですね」

「なるほど……」

「もっとも精力剤や睡眠薬といった薬剤師と大差ない程度ですがね」

「そうですか」



「魔法を使っている所を見せていただく訳にはいきませんかね?」

「見せられるモノもありますが……」

「こちらも何か見せるという事でどうでしょうか?」

「ふむ……それ次第で提携という事ですか?」

「どちらかと言えば、私の趣味、興味ですね!」

「ふふっ……正直な方だ」

「何せ魔法ですからね」



 食後に本題へと突入。

信兄とロトさんが中心になって話しをしていた。

結構情報をオープンにしている。

こちらもあちらもだ。

手さぐりながらも確実に情報交換が進んでいる。

割と良い感じなんじゃないかな?

少なくとも殺伐とはしていない。

和やかとまではいっていないが。


 俺や詩織なんかは信兄達の話を聞きながらデザートのアイスを食べコーヒーを飲んでいた。

まったり。

話し合いが終わったら夜景を見たいな。高層階だから綺麗なはずだ!

俺達が来た時は少し明るさが残っていたからね。

今は窓際に行ける雰囲気ではない。


 そんな中、他にも話をしている者達もいた。

タイヘーとタイシって人だ。

やはり知り合いだった。

と言ってもタイヘーが絡んでいった感じ。

どうやらタイシも呪術師らしい。

大友さんが言っていた呪術師ってのはタイシの事だったのだろう。




「お前、家はどうした?」

「知らん」

「知らんって、お前……」

「追い出された後の事なんて知らないし気にもならない」

「タイシ……」


「お前こそ、嫌っていた呪術を仕事にしているのか?」

「こっちにだって事情はあるんだよ」

「お互い昔の事は忘れたいって所か……」

「まぁ、な」



 タイヘーとタイシの話にも耳を傾けた。

俺と詩織だけではなく林さんや大友さん達も聞いている。

あまり個人の話をしていないのは俺達だけではないらしい。


 異能の力……それは普通の生活から切り離されてしまうモノなのかも知れない。

小さい時はそれで苦労したのだろうと推察される。

タイヘーとタイシには重そうな話がありそうだ。

しかしタイヘーは呪術師ながら呪術を嫌っていたのか……学生ながらも仕事にしているし、意外。

チャライ雰囲気からは想像もできなかった事でもある。

人に歴史ありか……。




 そこへ店の奥から悲鳴が上がった!

騒がしい声、音。

何かが起こった。

みなが反応する。

話は強制的に終了し、みなが席を立った。

俺と詩織は少し遅れて反応。

この手の組織に荒事は付き物って事かな?

慣れているように見えた。

もちろん組織ごとに固まっている。

まだ提携はしていないのだから当然だ。

視線は扉へ。

いつの間にか浅井さんは特殊警棒を取り出していた。

コウゾーは嬉しそうな顔で指をパキパキならしている。

店内の悲鳴が示すモノ……。



 誰も扉には近づかない。

いや浅井さんが動いた。

そして高まる緊張感。

俺の喉がゴクリと鳴った。

俺の後ろには詩織。

一体何が起こったというのか……




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