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「大友さん!ねこちゃんは元気かな!?」
「え、ええ。今朝見た時は元気だったわね」
「また会いたいなぁ。カズちゃんの弟の、えーちゃんも話をしたら会いたいって言ってたよ!!」
「そ、そうなのね」
信兄からの依頼で魔法使いらしき大友さんを調べる事になった。
さてどうやってアプローチをしようかと思っていたら、詩織が特攻してた。
おかしいなぁ……詩織も信兄から説明を受けていたはずなのに、この行動。
黒猫>魔法は覆らなかったか。
机に向かっていた大友さんは詩織に話しかけられて対応しているものの、押されているのが解る。
いや引いてると言うべきか?
詩織、凄いな大友さんが知らないであろう英二の事を話すとか、世界は詩織を中心には動いてないぞー。
言って見て思った、いや詩織は主人公向きではある。
信兄と詩織の兄妹は主人公になれる存在ではないだろうか?
世界の中心は意外と近くにあるのかも知れない。
「詩織、大友さんが引いてるぞ?グイグイ行きすぎだ」
「えー、そぉ?」
「ちょっとだけね」
「そっかぁ」
「大友さん、おはよう」
「あ、おはよー!」
「はい、おはようございます」
まぁ、いいきっかけと思って俺も参加。
一応詩織を注意しておく。
そんな事ないよーって顔で大友さんを見る詩織。
だが大友さんはちょっとだけ引いてると素直に言っている。
それを受けても反省した感じのない詩織。
ハート強いな。
俺は大友さんに朝の挨拶。
大事だよね!
俺の挨拶で、自分も挨拶をしていない事に思い至ったのか、詩織も挨拶。
大友さんも挨拶を返してくれた。
折り目正しく、美しい姿勢。
座っているけど絵になるなぁ、大友さん。
「大友さん、昨日はごめんね?私、猫ちゃんに夢中で勧誘されてたのに後から気付いたよ」
「……そう、だったのね」
「だってぇ、猫ちゃん艶々した毛並でピンと伸びた尻尾は可愛かったしー、しょうがないと思うの!」
「そ、そうかもね」
「《東洋会》だっけ?俺もそこだけ聞いてた」
「斉藤君、聞いてたのね」
「うん。詩織と黒猫を探してて、そこだけね」
「そう……」
詩織は信兄からの依頼を忘れてはいなかったようだ。
ちゃんと勧誘の話に持って行った。
ここで魔法、魔力なんて言葉を出せないから、良い選択だと思う。
何の勧誘かなんて誰にも解らないだろう。
勧誘していた事に後から気付いたと言われ表情を暗くする大友さん。
あの時の話がほとんど無駄だったと解ったからかも知れない。
ご愁傷さまです。
そんな大友さんの顔を見たからか詩織が言い訳しだした。
猫を褒めているだけのような気もする。
大友さんも詩織が猫の話をしている時は何を言っても無駄という事に気が付いたのだろうか?適当な返事。
俺も詩織に乗っかった。
エロ話ではない。
昨日の校舎裏での出来事についてだ。
唐突すぎないようにさりげなさを装いつつ話す。
《東洋会》という名前を出して見た。
大友さんはどう反応する?
詩織から俺に視線を移す大友さん。
言葉に非難といった感情は乗っていない。
だが意外そうではある。
どうしようかな……もう一歩踏み込んでみるか?
いや急ぐと怪しまれるかな?
俺の『カウンター』で大友さんの情報を集めてからにしよう。
そうしよう。
エ、エロイ事なんて考えてませんよ?
ホントダヨ。
授業中にでも色々探ろう。
柴田と前田が大友さんと話している詩織が気になったのか来た。
それと入れ違いに俺は席へ戻った。
女だらけの所にいるのは辛いのです。
しかもクラスで人気のある女子達だから尚更。
野郎どもの視線から逃げたかったってのもある。
睨み殺さんばかりの視線。
俺のせいじゃないんだがなぁ……。
何とか戦場から離脱に成功。
大きく息を吐いた俺であった。
▼
『カウンター』
『今までに魔法を使った回数』
『カウンター』
『魔法で人を殺した回数』
『カウンター』
『魔法で人を傷付けた回数』
『カウンター』
『《東洋会》にいる知り合いの数』
『カウンター』
『知っている魔法使いの組織の数』
『カウンター』
『知っているフソウにある魔法使いの組織の数』
『カウンター』
『交際した異性の数』
数学の先生ごめんなさい。
脳内内職で忙しいのです。
授業中ですが、色々と調べています。
大友さん以外で魔法を使った回数が出ている者はいない。
詩織もゼロだ。
うーむ……大友さんの勘違いか?それとも個人の認識の違い?魔法を使っていると思わなければ魔法としてカウントされないとか?解らん。
そもそも『カウンター』で答えてもらっている数字はどこから引っ張って来ているのだろうか?
誰が表示してくれている?
神様?
仏様?
無神論者な俺でも、そういう存在を感じない訳にはいかない。
幽霊、妖、神様……一緒にしてすまないが、いたら面白いよね!くらいの認識だった。
本当に世界は謎に包まれている。
だいたい創作にしろ、噂話にしろ火のない所に煙は立たないんじゃないだろうか?
なにかしら元はあったんじゃないか?
ゲームだってそうだ。
あれらも異世界に行った人が持ち帰った情報から出来ていてもおかしくない。
よく考えると突飛すぎる設定とかあると思うんだ。
想像の域を超えているというかさ。
そう考えると感慨深い。
話を戻す。
大友さんは魔法で人は殺していないね。
ちょっと安心。
クラスメイトに人殺しがいたなんて知ってしまったらガクブルですよ。
セーフ。
あれ?魔法で人に怪我もさせていないな?
もしかしてそういう魔法はない?
ついゲーム的な魔法をイメージしてたが違うのかも知れない。
《東洋会》には最低でも十一人がいると解った。
だが全てが魔法使いとも限らないか……事務員とかいたりして。
しかし十一人か、多いと見るべきか少ないと見るべきか悩む。
信兄には報告しないとな。
大友さんが知っている魔法使いの組織は十五もあった。
条件をつけてフソウに絞る。
二。
急激に減った。
フソウは魔法後進国なのかな?
世界は広いって事か。
その代わりじゃないかもだが陰陽師や呪術師が活躍しているのかな?
フソウっぽくていいかも。
昨日の大友さんが言っていたが力のある魔法使いは多くないと言っていた。
組織に所属していない魔法使いもいそうではある。
公になっていない魔法使いだ、ひっそり大釜でも掻きまわしているに違いない。
うぉっ!?メガネで地味なあの子はビッチなのか!?
高校進学間もない時期に二桁の交際人数とか!!
おっ、大人っぽいあの子はゼロとか意外だ!
見た目で判断するのは愚か者って事か……。
前田並に大きい胸を持つあの子も交際経験アリか!
誰かに揉まれているのだろうか?
モヤモヤする……自分の彼女じゃなくても俺の精神衛生上良くないからこの手のはいけないかも知れない。
女子は数字がゼロ以外の方が多かった。
野郎どもの数字はゼロの方が多い。
ちょっと安心。
大多数を見て安心する俺はフソウ的だと自分でも思う。
しかし……魔法使いはいるんだなぁ。
攻撃魔法があるかは怪しくなったが大友さんは魔法を使っているのは確からしい。
詩織の勧誘話に絡ませて魔力や魔法の事を聞いてもらうか?
俺だけじゃなく信兄も聞きたいだろうな。
詩織を勧誘している大友さんは危なくないだろう。
だが物語とかだと、素質のある者を誘拐とかありそうだよな……。
迂闊に踏み込むべきではないか?
それも含めて信兄に報告と相談だな。
俺的には大友さんと仲良くなりたい。
魔法使いの世界を知りたい。
世界の魔法使いも知りたい。
何が出来るのか?何を成してきたのか?
とても気になります。
そう言う意味だと陰陽師、呪術師、それから強都や皇居を守っている人達の事も知りたい。
人知れず戦っているのかも知れないと思うとワクワクする。
ヒーロー。
逆に今まであった事件に関与して闇に葬られた事もあったかも知れない。
誰か知ってる人はいないかなぁ……いないだろうなぁ。
俺は思いを馳せる。
先生が睨んでいる気がしないでもないが、きっと気のせい。
俺の世界は広がりつつあった。
▼
でも、こんな広がりはいらなかったんや!
詩織が大友さんに放課後、お茶でもいかが?とお誘いを受けていた。
詩織は満面の笑みでそれを受けていたし俺の腕もとっていた。
そして喫茶店へ。
純喫茶?
大友さんが選んだのは、マスターって呼ばれる人がいそうな落ち着いた感じの喫茶店。
それはいいんだ。
問題はメンツ。
俺と詩織、それから大友さんがコーヒーやら紅茶やら、ケーキセットを注文した後に来た人達。
そう、それが問題。
スキンヘッドのガチムチ系。
眼帯に髑髏マークの卒業しろよ系。
にこやかだが目が笑っていない系。
後から三人の男達が隣の席に来て大友さんと挨拶しよった。
ハメられた!
しかし時既に遅し。
詩織は大物だなぁ……苺のショートケーキが楽しみとか大友さんに話しかけてる。
大友さんの方が動揺してんぞ?え、えぇとか微妙なお返事。
隣の席からの熱い視線。
俺は空気になりたい。




