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Manipulated Intelligence Agent ~皇帝によって操られた諜報員たち……~  作者: 11月 ミツシ
第9章、【アドルフ・アルベルトは諜報員だった?】
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第9章8話

「ない……」


 何もなかった。

 寝室に来た伍長閣下は、ベッドの裏からシーツの中、テーブル、椅子の裏から引き出しの奥のほうまで懐中電灯を照らしくまなく探したのだが、なにもなかった。

 ちなみに寝室には他に金庫がテーブルの下に置かれてあった。

 ダイヤル式のとっても面倒くさいタイプの鍵であったが、実は上側から開けられる仕組みだった。

 そして金庫の中には……


 CC自動小銃M型が1丁、自動拳銃が2丁、組み立て式ライフル&銃剣、対戦車爆弾、その他弾薬パックなど様々な銃火器が置かれていたのだ。

 さすがの伍長も、この銃火器やら爆発物の数には怯みそうになった。

 例えテロリストだろうが、さすがにこんなに品ぞろえはよくはないだろう。

 

「ど、どうすんのさ、この量……」


 いったいこの量をどこから手に入れてきたのだろうか? そしてどうやって保管しようか、伍長は悩みに悩んだ結果、


「よし、銃火器は連邦捜査庁の持ち物として押収しよう。奴は……まぁ銃砲刀剣対爆荷超無許可所持法違反で緊急逮捕でいいか」


 もう、これだけでも逮捕できそうだ。

 ちなみにじ銃砲刀剣対爆荷超無許可所持法とは、銃火器、主砲・野砲・迫撃砲・臼砲・対空砲、刀、剣・ナイフ、地雷・機雷・爆雷・対戦車爆弾・対歩兵用爆弾、荷電粒子砲、レールガンといった軍事兵器指定されたものを、無許可無断で所持していることを示す。

 ただ、護衛用の申請漏れということもあるので、発見された武器の押収と、武器所持の一定期間禁止、罰金、数日間の拘留のみという異例の刑罰で済まされる。

 もちろん、民間人にけがをさせたり、殺してしまうと、極刑に値するが……。


 ちなみに伍長さんはこの法律に地味に違反していたりする。

 だって、任務とはいえ他国で銃火器ぶっ放して、更に今も容疑者だからと言え、銃をぶっ放して安眠させるという恐ろしいことをしているからな……。

 

「ま、とりあえず押収、押収」


 やけにテンションが高い伍長さんは、口笛を吹きながら武器類の安全を確認してから軽量段ボールにしまい込む。

 ……そんなに連邦捜査庁の使用可能武器が増えるのがうれしいのだろうか?

 

「さて……一通り見て回ったが、どうするか?」


 銃砲刀剣対爆荷超無許可所持法違反で逮捕は出来そうだが、肝心の諜報員という証拠が一切見当たらなかった。

 伍長は改めて寝室内を見渡す。

 高級感漂うダブルベッドに窓際に置かれた椅子と机のセット、これまたおしゃれな電灯……ボサボサ頭にTシャツ姿だったあの男の家とは思えない立派な家具がそろっている。

 金回りがいいのか、危険な仕事をしているのでその分多くの報酬をもらっているのか……。まぁ、恐らくは後者だろう。銃火器ある時点で……


「まぁ、何はともあれ、詰め込み作業が行えばいいんだよな?」


 伍長はそのまま安眠状態の男のもとへ向かい、玄関先に置いておいた台車を男のすぐ隣に引っ張る。

 そしてそのまま男を台車の上に座らせた。

 男は相当気持ちの良い眠りに落ちているのか、よだれを垂らし、伍長が誤って背中に台車を当ててしまったのだが、そんなものは気にしまいと、ぐっすり眠っている。

 そりゃぁそうか。

 だって、電磁麻酔弾……下手すれば永久に安眠させることが出来ることから、国際的に使用が禁止されている銃弾を使ったからな。


 台車に座らせた男を拘束していた紐を外し、台車の持ち手部分と男の両手両足を手枷足枷を使い拘束しその上から男を覆いかぶせるように軽量段ボールを組み立てかぶせていった。

 台車ぎりぎりの大きさにできる軽量段ボールを丁度3つ使用し完全に男を段ボールにすることが出来た。段ボールの中に人がいる、何かのドッキリかな?


「えっと、何か重しになりそうなものは……ガムテープでいいか」


 そういい、玄関の壁掛け型の帽子立てになぜかかかっていたガムテープを取り出し……


 ボト


 何かが落ちたような音が書斎のあたりから聞こえてきた。


「なんだ……?」


 訝しみながら先ほど確認したばかりの書斎へと足を踏み入れる。


「ライト……ノベルか?」


 タイトル”私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ… ”という魚村 光志氏の作品が床に落ちてあった。

 ページ数は531ページ。

 結構分厚い……文庫本と言えばいいのだろうか? それが落ちていた。


「科学異世界に転移した元西ドイツの首相や元ソ連邦の重鎮が元アメリカ大統領と元英国首相と共に新国家である新興国家を作り、世界の波乱情勢の中生き抜いていく物語……。……う~ん、何だろうか、デジャヴというか、なんというか……私たちと設定が同じなような……」


 確かに超科学未来国家であるス連邦に転移したアドルフとチャーチムとヨシフがなんやかんやで世界情勢の中諜報活動にいそしんでいる。

 ……似てるか? てか、設定言うな!


「しっかし、なぜこんなクソそうな作品が落ちてきたんだ? こんなもの落ちていなかったはずなのに……」


 クソ言うな!

 いや、中の人が言う必要はこれっぽっちもないはずなのだが、何となく言っておいたほうがいいと思ったから言った。……なんでだろうか?


 まぁ、でも確かに伍長が先ほど書斎を捜索した時は、本は多少乱雑ではあったものの、本棚には並べられており、こんな風に床に置かれているものは一つもなかった。

 

「えっと、これはどこにあったのか……?」

 

 伍長は本棚の棚一つ一つを見渡し、丁度伍長の身長あたりにある本棚の一部分が欠けてあることに気が付いた。

 しかも丁度この品が入りそうな幅である。


「ん?」


 本を押し込もうとした伍長であったが、奥に何か引っかかっているのに気が付き周辺の本も取り出して奥の引っ掛かる部分に懐中電灯の光を当て、何があるのか確認する。

 そこには、テニスコートのネットとかを上げ下げするときに使いそうな、クールクルするものが壁の奥から飛び出していた。

 クールクルするものであって、決して語彙力がないわけではない。


「なんだこれ? 防火シャッターでも降ろせるのか?」


 といいつつ、クールクルする奴に手を伸ばし左に回そうとする伍長。

 だが、何も起こらない。

 というより左に回そうとしてもこれ以上回らなかった。


 ならばと右回す。

 すると、


 ガガガガ


 そんな擬音が合うようにゆっくりとゆっくりとクールクルが飛び出している本棚とはちょうど真反対の本棚がせり出してくる。

 それが丁度本棚一つ分の空間が裏に出来たあたりで、動かなくなてしまった。


「うはぁ、絶対何かありそうな空間ができたなぁ……」


 その手前に出ている本棚を体当たりで右側にスライドしようとしてみる。

 すると……


「くっそ! 重い!」


 ずっしりとした重みがひじにかかるので、ひじは痛いしびっくりするほどその場から動こうとしなかった。

 本棚の中に入っている本が重いのか? と思った伍長は、本棚からすべての本を取り出して、また右側に押し出そうとするが、全然動く気配がなかった。

 逆からも押してみるが、ピクリともしない。

 

 まさかと思った伍長は、本棚を手前に引いてみることにした。

 すると……


「そっちかい!」


 手前にズブズブと動かせることが出来た。

 今までの苦労とは何だったのだろうかと、うなだれてしまう伍長。

 しかし、そんな伍長の感情は、あるものを見た瞬間180度変化した。


「隠し金庫!?」


 そう、この本棚のみ奥には板が貼ってあったのだが、その貼ってあった板の丁度真後ろにご丁寧に隠された金庫が壁に埋められていたのだ!

 しかし、面倒くさいことがまた一つわかってしまった。

 この金庫、ダイヤル式と鍵を両方を使って開けないと開かないタイプの金庫であったのだ。

 しかし、ダイヤル式はまだしも、鍵のピッキング道具は残念なことに伍長は持ってきていない。それどころかピッキングできる技術もない。

 かといって、本部からピッキングのプロを呼ぶ時間も、待つ時間もない。

 

 ならば、どうするのか?

 ゴソゴソと伍長は持ってきた鞄の中をあさり、一つの道具を取り出した。

 そして、こう述べた。


「壁があるなら破壊すればいいじゃないか」


 そして、持ってきた道具……通称ハンマーを金庫の埋まっている壁に殴るように壊し始め……


 20分後には書斎に瓦礫の山が出来上がったとさ。



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