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Manipulated Intelligence Agent ~皇帝によって操られた諜報員たち……~  作者: 11月 ミツシ
第8章、【惑統連総会にて】
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第8章5話

 海軍元帥という階級がある。

 いきなり何を言い出すのだ? と言われそうだが、少し小話に付き合ってほしい。

 

 海軍元帥とは、陸軍元帥や空軍元帥と並ぶ従来の主力軍隊である陸海空の制服組……つまりお役所仕事をしないほうのトップである。

 制服組と背広組と呼ばれる二つの派閥……これは日本の防衛省でも同じである。

 基本的に背広組はトップを各軍大臣が担当し、副大臣、大臣補佐官、書記官、文官といった人たちのことを示し、ス連海軍省の場合背広組の大半は海軍軍事大学校ではなく、エリート大学卒業のエリートたちである。

 逆に制服組はトップを各軍元帥が担当し、海軍大将、海軍将兵、司令長官、参謀長官・参謀総長といった武官たちのことを示し、大半は海軍軍事大学校卒がなっている。

 

 そんな海軍省制服組のトップに一人の女性が君臨していた。

 名前はフランスィア・メルディエッタロード。階級は海軍元帥

 お嬢様ばかりが通う高等女学園を卒業後、海軍軍事大学校士官学部へ入部、この当時はまだ女性の士官どころか女性の兵士すらおらず軍隊自体が完全な男社会であったため、フランスィアさんは大変目立った存在だった。もちろん皇族というのは、知られていたが、軍隊内では階級が優先されるため、関係なかった。

 そんなパワハラやらセクハラが蔓延していそうな学部を首席で卒業後、海軍へ入隊。

 数年間の研修を終え、海軍少佐という階級を与えられ、当時最新鋭艦であった5km級空母ノーヴェンバーの離着水誘導艦の艇長を務めた。

 その後、順々に出世していき、数年ほど前に海軍では女性初の海軍元帥が誕生した。

 

 さて、海軍元帥フランスィア氏の誕生を少し語ったのだが、そんな彼女今現在胃が痛くなりそうな思いをしている。

 それは何故か?

 簡単だ、彼女が座っている座席を取り囲むように配置されている円卓……。そこに座る惑統連の列強諸国の国家元首や首相。

 そして彼女の正面には、顔ははっきりと確認することが出来ないが、200人近くの国家元首諸氏、それに首相または副官、秘書官などの人たち……合計400人以上が彼女一点を見ているからだ。

 所謂公開尋問……別名吊し上げの刑。

 その矛先が現在彼女に向いているのだ。

 

「はぁ……」


 誰にも聞かれないように、小さく溜息を吐く。

 こうなったのも無理はない。主な原因としては強硬派と言われた侍従武官の男と陸軍元帥と統合軍参謀総長の3名が反乱行為を働き、フェルトさんが鎮圧したものの、世界から何があったか洗いざらい吐けと言われて拉致されてきたのだ。


「せ、宣誓。私は今から行われようとする証人尋問並びに公開尋問の質疑応答を虚偽発言を無く、毅然とした態度で挑むことを誓います? 

 ス連邦海軍省海軍元帥。トップフランスィア・メルディエッタロード」


 正直言うとまったくもって意味のない宣誓を宣誓する。

 何が意味のないって、この雰囲気の中堂々と嘘がつけるものならついてみてほしい。後々バレれば世界からブーイングに加えまたも総会が開かれるだろう。それなら嘘をつかないほうがましだ。

 ちなみに中の人は、宣誓を宣誓するという場面の漢字を変換ミスで先生を先制すると打ち間違えそうになった。


「ではこれより、ス連邦海軍省海軍元帥閣下への公開尋問を始めます。なお、特にいうことはございませんので早速……では、中堂共産主義惑星連邦首相、どうぞ」


 首相の質疑応答の時よりも挙手は多かった。そりゃぁ出席できた軍部幹部の人なのだから……。残りの2名であるが、空軍元帥は惑統連にて絶賛取り調べ……もとい閉鎖空間にて尋問中で、もう片方は、歳なので免除された。侍従武官は……知らん。

 しかし、ヴェーレ首相が何やら悲しそうな表情をしていたのは何故だろう?

 でもなんかその理由を探ると夜な夜な公安警察が家のドアをノックしてきて、開けたら最後……きゃぁあああぁぁぁぁっっっ!! ってことになりそうだな。


「初めまして、元帥閣下。中堂共産主義惑星連邦首相の高石とも押します。以後お見知りおきを……」

「え、ええ、こちらこそ……」

「さて閣下、切腹自決した2名とはお知り合いだそうですが、なぜ彼らはこのような強硬な手段に走ったのでしょうか? 心当たりはございませんか?」

「そ、そうですね……。統合軍参謀総長閣下とは仕事以外の関係はありませんが、陸軍元帥閣下とは私が海軍元帥になったときから、色々教えてくださりました。たまに予算配分を巡って争っていましたが……ただ、ある時から閣下は御変りにあられました。強硬的な主張をよくとるようになりまして……」

「ほぉ? それは興味深い。それは何時ごろですかな?」

「えっと……それは……」

 

 言葉を濁し、おもむろにフェルトさんのほうをチラチラ見ている。

 何かの意思疎通なのだろうか? フェルトさんは数刻黙り込んでいたが、頷き何かの発言を許可するような口ぶりを見せた。


「……どうかされましたか?」


 言葉を濁しているフランスィアさんのことを怪訝そうな表情で見つめる首相。

 ……首相多いな! 3人目だぞ!


「いえ……、そうですね……丁度陛下が即位された時でした。……そういえば……」

「何か?」

「丁度陛下が即位されたあたりから陸軍元帥閣下・統合軍参謀総長閣下両名の両目が血塗られたような真っ赤な目で統合軍作戦指揮参謀本部に来ていました。丁度あの日も……。げっそり痩せていたものでしたから、体調が悪いのかなと思ってその時はスルーしていたんですけど……」

「何!?」


 首相がいきなり大声を上げたため、周辺にいた人たちがビクッとなっていた。


「いや、失敬。実は我が国でも同じようなことがあったのだよ。数年前だがね、対ス連強硬派と呼ばれる軍部の派閥が、息のかかった政治家や軍を動かしクーデター未遂事件を起こしたんですよ。

 何とか鎮圧できたんだけど、その首謀者というのがね、周りからの人望が厚かった人なんですよ。

 ただ、責任を取ってか、拳銃自殺してしまいましたけど、不審な点があったんですよ」

「不審な点ですか? どういう点でですか?」


 ……………。

 中の人の問いかけはともかく、フランスィアさんは首を横に傾げ問う。


「まず、体と頭が離れていた……つまり誰かに死後首を切られたんですよね。そして心臓そのものが死体から消え去っていた。さらに目が真っ赤に染まっていたんですよ」

「えっ?」


 偶然にしては出来すぎている。

 というか死体から心臓が消え去っているってどんな感じなのだろうか? ……想像したらSAN値が世界大恐慌の時の株価の大暴落のような勢いで下がっていった。

 

「ふ、まぁそれは情報共有という事で……。あぁ、首相、私からは以上です」


 逃げるように質問を終えたため、フランスィアさんは腑に落ちなさそうな顔をしていた。


「え? あ、そ、そうですか。え、えーでは……亜米利加(アメリカ)中央合衆共和国大統領閣下、どうぞ」


 国名を聞いて何人かが首を傾げただろう。……何故アメリカがあるのかと。

 正直言うと地球のアメリカとは全くの別物である。亜米利加とアメリカの違い。

 ちなみに地球のアメリカも漢字で当てはめると亜米利加になるそうだ。……ってことは違いなくね!?

 関係ないけど、伍長閣下本章出てこなくね!?


「初めまして閣下……挨拶もなんですし、早速本題に入ります。閣下、何故貴女は今回の作戦に加担しなかったのですか?」

「あ、はい。いろいろ理由はありますが、本作戦が公式的な作戦ではなく誰からも称賛されない作戦であったことが上げられますね。軍に入ったものですから、最高司令官である陛下のご命令出ない限り賛成することが出来ませんでした。」

「なるほど……。いえ、結構です。どうもありがとうございました。」

「えーでは……質疑もなさそうなので、閉廷します。1時間後、最終尋問として陛下への質疑応答を行います。では、閉廷!」


 小槌を鳴らし閉廷を告げた。


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