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Manipulated Intelligence Agent ~皇帝によって操られた諜報員たち……~  作者: 11月 ミツシ
第8章、【惑統連総会にて】
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第8章4話

 ジリリリリ


 惑統連臨時総会の再開を告げるベルが惑統連全土で鳴り響く。

 15分間という休憩時間が終了し、総会大会議場にはそれぞれ充てられている貴賓室および客室にてティータイムと勤しんでいた王侯貴族や国家元首、首相たちが自分の国家の代表席に次々に着席していった。

 休憩時間を終えるとス連邦行政トップであるヴェーレ連邦政府首相が、そしてその後に海軍省の制服組のトップである海軍元帥閣下の公開尋問を控えている。

 

 さて、ス連邦現在の首相であるヴェーレ氏を軽く紹介しておこう。

 本名、ヴェーレ・D・ヴィクリア……。年齢はおよそ60代後半、総白髪の髪と上唇も見えないほど立派な髭に暗視装置付きの老眼鏡をかけたこの男。

 ス連邦ヘルヴィエント星間共和国最大都市、ヘルヴィーの市長という裕福な家系に生まれ、ヘルヴィエント星間共和国代表・国家評議会下院議員となったのち、上院選に立候補、1回の落選後内閣の不祥事によって緊急で解散総選挙を行われ、首都第2区にて無事に当選。(結構僅差だった)

 最大野党であり、現在の与党である”ス連共栄党”の党首に就任、その後2年先であった上院選挙にて単独過半数を獲得、汚職などのスキャンダルによって支持率急落中の左派政権であった”国際社会のための世界共同党”を政権の座から引きずり下ろし、与党そして政権獲得をした。


 やり手かと思われがちだが、意外と弱腰で、世論にはビクビクしているそうだ……。

 そんな人が首相になれるのかと思ったが、そういえば大昔、自称宇宙人と公言している人が首相になったんだから大丈夫か。……地球にもいたような気がする……。

 いや? フェルトワン自体が宇宙なのでこの首相も国民すべて宇宙人になるのか? 


 そんな弱腰ヴェーレ首相は、先ほどまでフェルトさんが座っていた演説台のほうへと向かい、何も言わず、あたりを見渡しもせず、静かに着席した。

 フェルトさんと同様、宣誓を宣誓し、それを終えると、首相(四条)が叫ぶ。


「休憩時間15分を過ぎたため、これよりス連邦首相、ヴェーレ・ヴィクリア氏への公開尋問を開始いたします。なお、国家機密等に振れる質問をすることはお控えください。では……」


 首相への公開尋問には興味がないのか、質問がないのかわからないが、国王諸氏席で挙手している人は少ない。

 パッっと見ただけでは、12人ほど?


「では……ヴィルヘルム惑星大公国公王陛下」


 首相はあたりをキョロキョロ見渡し、列強国席の丁度フェルトさんのお隣に座っているス連・ヴィルヘルム惑星大公国の元首であるヴィルヘルム2世(仮名)を指名する。

 なお、ドイツ帝国のヴィルヘルム2世とは全くの別人であり、こちらのヴィルヘルム2世の全名は、アルバード・フェル・スウェット・ヴィルヘルムである。

 ちなみにお隣で、真剣な眼差しで演説台に座っている首相を見ているフェルトさんとは、ご親戚であり、何代か前に戦略結婚によって親戚になったそうだ。


「うむ……。ヴェーレ首相、久しぶりじゃな」

「はい、陛下もお元気そうで」

「うむ、元気そうで何よりじゃよ。さて、首相、儂からは2つ質問がある」

「ええ、どうぞ。」

「まず、首相が反乱軍のペルシアント惑星王国侵攻をいつ知ったのかね?」

「えっとですね。あぁ、確か私が首相邸宅で夜のい……あー妻と睡眠中に国防大臣である新部先生に電話で起こされましてね、その時に事を知ったんですよ」


 淡々とした口調で首相は答える。

 ……なんか聞こえたような気がする……。まぁ、何をしていたかはあえて言わないでおくが……


「そうかい。……じゃぁもう一つの質問じゃ。確か連邦最高憲法では、国軍の最高司令官である大天皇帝陛下の意に反する行為……つまり今回のような反乱行為が起こった場合、その鎮圧は国防軍が担当するはずじゃったが?」

「あぁ、なるほど。ええ確かに、国軍の反乱は国防軍が鎮圧する。逆に国防軍の反乱は国軍が鎮圧するというのがありますが、正直申し上げますと、それは不可能に近いことです」

「ほぉ?」

「現在国防軍の主力武装は、国軍の旧式を譲り受けたものがほとんどです。国防軍には国軍のようにポンポコ生産できる工場を持っていません。さらに師団数も違います。現在国防軍には6つの総軍、12つの軍団、22つの師団を持っていますが、第1総軍は本土防衛、第2総軍はシベリア連邦防衛、第3総軍はヘルヴィエント星間共和国、第4総軍は陛下のいるヴィルヘルム惑星大公国の防衛に当たっており、残りで国軍を鎮圧することは不可能です」


 もし2つの総軍で、フェルトワン最強の軍隊を制圧出来たら、それは最早人間ではないと思う。

 どれくらい凄いかというと、物量を誇る中国の人民解放軍と異常な兵器の質を持つ米軍の連合軍に自衛隊が挑むようなもの。

 その無理難題をやれというをヴィルヘルム2世はうなずくき同情し、


「いや、すまんかった。確かにそれは無理難題であったな。それじゃぁ儂からの質問は終えるよ」


 そう言い残し、質問を終えた。


「えー、では……はは……」


 次の質問者を指名しようとした首相だったが、国王諸氏席からの挙手が無くなったので、困惑の笑みを浮かべる。

 というか首相は実際何も関係ないに近いのだから、正直言って聞くことがない。


「……。わかりました、では首相、私からよろしいでしょうか? と言っても質疑というより、要請といったほうが正しいのですが……」


 四条首相が惑統連代表としてヴェーレ首相に質疑を始める。


「ええ、どうぞ」

「……。……現在国内調が国軍将兵に対し内偵捜査を実行して、危険思想家を捜索中ですよね?」

「あぁ、はい。特定危険思想家……極左思想や極右思想、軍部独裁主義思想、反民主主義的思想、覇権主義思想など国軍の中立性を保てない思想の持ち主を洗いざらい捜査中です。」

「その捜査に監視委員会を付けてくれませんか?」

「……なぜ?」


 微妙に表情が険しくなったような気がする。何かやましいことでもあるのだろうか?


「そうですね……。主な理由としては、国際人道条約上巨大組織への取り調べ及び内偵捜査の際は、捜査側への賄賂などが内容に監視するため……ですかね」


 賄賂を受け取り、捜査対象者を除外、黙認するといった行為は地球でも行われている。

 

「……わかりました、国防総省へ打診しておきます。」

「お願いしますね」


 首相が首相へと質問するというパッと聞いた感じ訳が分からない状況を終え、首相(四条)は国王諸氏席や列強国席を見渡すが……


「み、皆さん? どうしましたか? お通夜みたいですよ!?」


 そう、お通夜のごとく誰もざわめかず、しゃべらず静かにしていた。 

 惑統連総会……一部の業界からは、問題国家同士の集まりと呼ばれているこの総会において、静寂な空間が訪れるということは、宇宙の果てで超新星爆発が2つ同時に起きるほど稀というか、ありえないのである。 

 そんなありえない状況が今まさに起こっていた。

 このままでは本当に超新星爆発が二つ同時に置きそうだったので、首相は小槌を鳴らし


「す、少し早いですが閉廷します!」


 ようやっと静寂な空間が打ち破られた。





 ス連邦の首相名が、ヴェールと表記していましたが、正しくはヴェーレ首相です。失礼しました。

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