第6章2話
大規模変更のお知らせ。
フラッシュがたかれ、室内がすごくチカチカする会見場。
画面に映る壇上の後ろには、二つの旗が掲げられている。
一つは公安警察庁旗…。深い青色の色地日本でもなじみの深い旭日章の左右に剣が描かれている旗、剣が描かれているのはク連革命の時、重火器を少数しかもっていなかったス家は、鎮圧に来た武装高等警察(秘密警察)の銃剣に対抗するために用いられ、独立の象徴として描かれているらしい。
そしてもう一つの旗、国防総省外部組織である国防軍治安維持庁旗……。同じく深い青色の色地に黄色と白の五芒星、五芒星に隠れるように存在する鉄十字。そして左下と右下に描かれている2丁の自動小銃。
右の自動小銃は、国防軍の現役エネルギー自動小銃、SLE-33が……。左には革命の際ス家が使用したファブロック33が描かれている。
と、ようやく会場に二人の男が入ってきた。
最初に入ってきた男は、スーツ姿の初老の男。もう一人は国防軍制服である紺色の軍服と将校帽をかぶった30代前半の男だ。
おそらく最初に入ってきた男が、公安関係者で、後から入ってきた男が国治維庁の関係者だろう。……当たり前か、最初に入ってきた男が国治維庁の人間で、あとからの男が公安関係者なら、『制服交換する必要あるの!?』と国民からそうツッコミだろう。
その二人の男。スーツ姿の男は公安警察庁旗に一礼を、軍服の男は陸軍式敬礼を数秒し、壇上へと上がっていった。
それぞれ二人は、正面向かって右側に公安関係者の男が、左側に軍人の男が座る。
そして最初に口を開いたのは公安関係者の男だった。
「えー、マスコミ関係者の皆様お待たせしました。ただいまより会見をさせていただきます。えー、公安警察庁警備部部長の光風咲 浩二といいます。今事件の捜査本部長を務めております。で、こちらのお方ですが……」
「国防軍治安維持庁連邦治安局局長の旭光寺 秋です。よろしくお願いします」
二人とも何とも珍しい苗字である。
光風咲と旭光寺である…。つまり何が言いたいかといえば、特に何もない。
「えー、まず先日午前4時○○分過ぎ、スウェットハーヴェン特別自治区のビジネスホテルで発生しました皇帝陛下暗殺未遂事件ですが、昨日午前10時38分容疑者となった3人の男を国家検察庁に送検しました。男たちは過激派組織などの組員ではなく、単独的に火災を起こしたと話しております。その火災現場ですがそこらへんは旭光寺氏から詳しいことが聞くことが出来ますので、よろしくお願いします」
「はい、ではお手元の資料をご覧ください。」
記者たちは一斉に事前に配られていた資料に目を通す。
「火災現場は3階。丁度ボイラー室付近、火災原因はボイラーに仕掛けられた時限装置によって引き起こされた爆発火災によるものと判明しました。
なお、その際国防軍治安維持庁は大天皇帝陛下がいらっしゃるホテルでの爆発火災というのもあり国防総省の認可の元特務軍に出動要請をしました」
これには会場内も少しざわめいた。
さすがに特務軍が動いたという記録は公式文章にも彼らが手に持っている資料にも書かれていない。つまり旭光寺氏の言葉によってはじめて知った事実である。
ざわめいた会場を、光風咲氏が軽く咳払いして場を治める。
「えー、その後警察庁と国防軍治安維持庁は合同捜査本部を設置しまして、本事件の捜査に入りました。そしてえー…、あとでご説明しますが連邦捜査庁にて国家指定危険薬物所持取り扱い法違反で逮捕されていました、男がク連時代の貴族とDNAが一致したため、国家反逆罪で再逮捕しました。」
またしても記者たちはざわめきだした。それも先ほどより大きなざわめきである。
連邦捜査庁というわけもわからない組織が出来たこともそうだが、一番は国内に貴族残党が生き残っていたという事だろう。
貴族追放令は 民主主義を推し進めるためにス家の皇族以外の旧王侯貴族すべてをの解体し、悪政を導いた王侯貴族には国外永久追放・投獄・処刑などの厳罰を下していったが、ほとんどの貴族は国外永久追放であったため今も貴族の血を引いている人もいる。
そういう人たちがよくテロを起こしたり反乱を起こしたりしていたが、それらのほとんどは追放先から一時的にやってきた者たちであった。
なお政府は昨年ス連邦・連合圏内に入ろうとした元貴族は18人だそうだ。
なおこの情報は国家機密ではなく、普通に政府のホームページで公開されている。もしこれが国家機密なら中の人は逮捕される。……マジで!?
「えー、そして、本日を持ちまして、皇帝陛下暗殺未遂事件の公安警察庁と国防軍治安維持庁との合同捜査本部は犯人の逮捕により解散します。」
フラッシュが一斉にたかれ、画面を見るのがだんだんと辛くなっていく。
「えー、ただいまよりマスコミ関係者様からの質疑応答をさせていただきます。なお時間の都合上各社2問まで受け付ける形になります。
質疑がある方は、挙手を願います。私と旭光寺氏交互にできるだけ全社指名しますので、指名された方は所属の報道機関名と名前を付けてから質疑を願います。
では、さっそく質問のある方はどうぞ。」
配列的には、奥の壇上に2人が座っており、その手前に各マスコミ関係者や記者が座り、その後ろにテレビカメラが並んでいる。
その座っている記者たちが一斉に挙手を始めた。
「えー、ではそこのあなた」
光風咲氏は、適当に目を付けた記者を指名する。
「毎連新聞の山崎です。警備部長質問なのですが、先ほど出てきました”連邦捜査庁”について詳しい内容をお聞かせ願います」
「……はい、連邦捜査庁ですが、現在我が国では、警察庁、公安警察庁、国防軍治安維持庁など国家の治安維持部隊が存在しますが、連邦捜査庁はス連邦・連合の総捜査や初動捜査等を担当します。なお管轄ですが総督省ではなく皇宮省になります。」
はっきり言って連邦捜査庁自体が大天皇帝直属の諜報・捜査機関である。思いっきり皇宮省傘下であるし陛下自身、連邦捜査庁の首席顧問である。
首席顧問というのは、表向きは連邦捜査庁の監視団の代表という形だが、実際は依頼人ともいえる。ただそれを言ってしまえば三権分立どころか、三権いずれの関与も大きく規制されている大天皇帝陛下が三権の一つの司法分野の直属組織を作ったと分ければ、国家評議会では大波乱状態だろう。
それだけは避けなければならない。……と、光風咲氏は後々このことを部下に語ったという。
「なるほど……。ではもう一つよろしいでしょうか?」
「どうぞ、」
「犯人たちはどのようにス連国内に入国したのでしょうか?」
「それにつきましては、旭光寺氏から詳しい話あ聞けると思えます」
「…はい、その件につきましては現在国防総省が国土運輸省合同で調査中です。宇宙港の入国管理局や宇宙航空港などで調査中ですが発見できていないことから、密入国したと考えるのが妥当と判断しております。」
「わかりました。ありがとうございます」
「では、次にそこの貴方」
その言葉を待っていたかのように、座っている記者たちが勢いよく手を挙げる。
今度は旭光寺氏が、適当に指名した。
「旭東週刊誌の志摩です。犯人の一人が元貴族とおっしゃいましたが、なんという貴族なのでしょうか? あと犯人たちの裏に何か組織とか国家がかかわっているのでしょうか?」
「犯人の男は、旧ク連時代公爵家だったバルスティアフロード家の子孫で、先ほど説明しました通り、DNA鑑定の結果一致したため逮捕しました。
なお、2つ目の質問の回答ですが、現在公安警察庁にて捜査中ですので詳しい話は後日になりますが、国内の組織がかかわってという情報はありません。」
「ありがとうございます」
その後ほぼ全員に指名しその都度応答していった。




