第4章3話
「っという事で、以上が今回の報告書です。陛下」
大天皇帝執務室で例の計画書の流出問題の後処理を伝えるルーズルート侍従長。
残念ながら伍長閣下はいない。というよりこの執務室は警備が厳重で、侍従長や侍女長、メイド長、皇宮省幹部職員、皇宮財閥本部役員そして陛下がお呼びした人間のみが入ることが出来る。
なお皇宮財閥は幹部役員全員が皇位継承権か皇族が100パーセントを占めているので、つまり公務員を除く一般人は入ることが出来ない。
「…。わかりました、お疲れさまでしたとアドルフさんたちに伝えておいてください」
「はい…分かりました。あの…陛下。実はですね…」
ルーズルートは伍長達に例の計画を見せたことを戸惑いながら話した。
静かに聞いていたフェルトさんは徐々に顔を険しくさせ何かを考えるように顔を覆った。
「…。見せてしまったのかい?」
「は、はい」
「…。まぁ別にそんなに害になるわけでもないし、見せたのは構わないんですが…。さすがに国会最重要機密文章を見せるときは私に一言入れといてくださいよ!」
フェルトさんはプンスカと怒ってしまった。いや、怒ったというより何か騒いでいるようにも見えなくもないのだが、だって腕を振り回して怒っているのだもの。それを慰めるようにするルーズルート。伍長がこの状態を見たならば、『本当にお前ら親子じゃね?』と〇 〇
― …こんな顔をしてみているだろう。
なんちゅう顔だ! 想像以上の変な顔に中の人も半分ジト目で見ていた。
「はぁ…。わかりました。伍長さんたちには口外しないようにしっかりと言っておいてくださいね…」
「わかりました。失礼しました」
ルーズルートは軽く一礼すると部屋を退出していった。
残されたフェルトさんは何かを思い残すように数分間ボーっとしてから急に机から一丁の銃を取り出し…
パーン
室内に置かれていた花瓶に向かって銃を発射した。弾は一直線に花瓶へと向かい……粉々に砕かれた。
フェルトさんはその砕かれた花瓶へ歩き、粉々になった花瓶の瓦礫から黒い小さな箱を取り出した。
「…。やはり盗聴されていましたか…」
それは盗聴器だった。
彼は報告を受けている間、この部屋で感じていた部屋の変わりように違和感を覚えていた。そして過去の部屋の記憶を掘り出してこの花瓶の模様が微妙に違う事に気が付いた。
彼が銃を撃ったのはただ単に動いて確認するのがめんどくさかっただけなのと…、まぁ、この理由にツッコんだら負けたかもしれない。実際中の人は負けてしまった。
「でも…何故花瓶の中に埋め込まれて…」
そう、銃を撃ったもう一つの理由として、この盗聴器は花瓶の中に埋め込まれていた。
フェルトさんは疑問に思いつつ、盗聴器を覆っていたカバーを取り中身を確認する。
「これは…。遠距離で聞ける奴ですか…。」
地面に盗聴器を放り投げると右足でそれを思いっきり踏んずけた。
♦♦♦
「よし…。報告は終わりましたし私も局長室へ戻りますか」
陛下に例の計画書奪還の事後報告をし終えたルーズルートは長く広い廊下を歩いていた。
上質な赤絨毯が廊下の奥まで敷き詰めらており所々置かれた机の上には美術品・花瓶・電話・花瓶・美術品の順番で並んでいた。
なお電話は地球製の大昔の物から、ス連や惑統連加盟国で使われている電話? 的なの物も置かれておりもう確実に美術館だった。
「…。何故こんなに電話があるんでしょう…? って、うわぁ、黒電話ですか…。懐かしい!」
ルーズルートは一つの電話の前で足が止まった。
それは明らかに真っ黒なダイヤル式の…黒電話だった。
「ふふ、この感じ、懐かしいですね。何度これで伍長さんたちと話したことやら…」
いやまぁ確かに彼らはこれで云百回も電話会談をした(プライベートで…)
と、その噂の伍長とヨシフ祖父孫コンビが皇居の廊下の奥から楽しそうに話しながらやってきた。前まであれだけ喧嘩していた二人だが、まさにこれこそ喧嘩するほど仲の良いというものだろう。
「あっ、伍長さん! ヨシフさん!」
「よぉルーズルート、今報告が終わったところか?」
「ええ、報告が終わった帰りですよ。伍長さんたちは何処へ?」
「ああ、ちょっと皇宮財閥の技術部の人から御呼ばれしてね。なんかハウニブⅡの性能はどうだの、乗り心地はどうだの聞いてきた」
「技術部…ああ、あの変じ…ゴホゴホ、天才たちが集まっているあの技術部ですか。なんて答えてきたんです?」
「ふふふ、シェリアさんがやってくれたことをすべて話したよ。問題点としてはあんな操縦されても酔わない機体が必要といっておいたさ」
あれ相当根に持っているんだろうな…。とルーズルートとヨシフはともに苦笑いを浮かべていた。
というかルーズルート、しれぇっと技術部の人達をディスったよな…。変人たちの集まりって言いそうになったよな…。
「…? あれヨシフさん、杖いらないんですか?」
「ほっほ! いやぁス連邦の医学はすごいのぉ、ほれこんな風に杖なしで動くことが出来るようになった」
ヨシフがその場でスキップしながらはしゃいでいた。
正確に言えばス連邦は医学技術で言えば中の上ほど…最先端とは言えなかった。最先端は惑統連およびポルトブルクトフ銀河皇国あたりが一番医学技術が発達していた。
なおルーズルートの足の痛みはただただぐねっただけでまぁすぐに治る。訳2日ほど…。
「ああ、ヨシフさん。あんまり無理されるとまた腰痛めますよ…」
「はっはっは! 大丈夫大丈夫、そんな急に痛むわけないじゃないかーーーーーっ!」
ヨシフおじいちゃんは何やら険しい顔になっていって真っ青になっていった。
「おいおい、爺ちゃん…。まさかとは思うが…」
「あだダダダダ、ちょ! アドルフ! 手を貸してくれ!」
どうやらヨシフさんはお腰をお痛めたようでございます。
………何故敬語になっているんだ?
その後、ヨシフおじいちゃんは救急車で連邦総合病院へと搬送されていった。
とりあえず2日ほど治療入院だってさ…。結構かかるんだな! おい!




