第4章1話
ス連邦第2の都市、ルーストルーデンブルク。
この都市は人口約1億人が住むス連邦第2の都市だ。もともとはこのルーストルーデンブルクは旧ク連時代のかつての首都でもあり、ク連時代に建てられた歴史ある街並みが今も残っているというのもあり大変人気な観光地でもあった。
場所はスウェットハーヴェン特別自治区から直線距離で1万2000㎞ほど先にあり巨大な宇宙港もあるこの都市の路地裏で一人の男が全速力で走っていた。
「はぁ、はぁ、くそったれ!」
男は路地裏を右へ左へ必死になって走っていた。
「まてぇ! この野郎!」
だが後ろから聞こえてくる多くの足音。その数4人ほどだろうか? 黒いスーツで黒いサングラス…。何やら物騒なものを片手に持ち、必死に走る男を必死に追いかけていた。
「はぁ、はぁ、っと、次を右っ!」
男は路地裏を右に曲がった。だが…
「囲まれたかっ!」
別の男たちが先回りをしていたのである。その数3人。片手には後ろから追いかけてきた奴同様何やら物凄く物騒なものをこちらに向けていた。
「おい! おっさん。そこで手を上げ、例の物を出しな、さもないと撃つ!」
男たちが手に持っていたのはいわゆる自動拳銃。ポルトブルクトフ銀河皇国が軍用と警察用に作った自動拳銃であった。名前を確か…PO-32とか言っていたような…?
銃を向けられた男は観念したのか両手をゆっくりと上げ胸ポケットを探り出し…
「なに!?」
細長い筒状の物を自分の真下へと落とした。
そして…
「うっ! 眩しい!」
その筒状の何かが突然発光し、男たちの視界を奪ってしまった。
あまりにも眩しい光に銃を構えていた男たちは銃を持っていない方の手で目を覆った。
数秒が立ち、ようやく光が収まっていく。
ゆっくりと目を覆っていた手をどかしていった男たちは先ほどまでそこにいたはずの男がいないことに気が付いた。
「なに!? クソったれ! 逃がしたぞ! 探せぇ!」
リーダー格の男が周囲にいた男たちに怒号ともとれる指示を飛ばし、その指示に従い男たちはその場所からちりじりに去っていった。
そんな男たちを屋根の上から静かに見下ろす奴がいた。
30代後半だろうか? どこかの会社の社員のようにスーツをピシッと決め、同じくスーツ帽を深々とかぶった男がいた。
そんな男のもとに近づく物体があった。
全長は12mほどだろう。円盤状の飛行物体でそれも静かに屋根から少し浮く形で停止していた。
そこから出てくる一つの影。徐々にあらわになるその影は何と! 女性だった。
「お疲れ様です、アーゼスさん。いえ、アドルフ閣下」
「ああ、お疲れ様」
何と! あの30代後半の男はアドルフその人であった!
アドルフは首からかかっていたネクタイをほどく。すると、いつもの3:7分けに立派な髭の伍長さんへと戻った。
「あの、例の物は…?」
「おお、そうだそうだ、これこれ」
伍長は綺麗に3:7で分けられている髪の中から一つのUSBメモリーを取り出した。
「…どんなところにいれてるんですか? アドルフ閣下」
ジト目で見る女性。年齢はどこかの皇帝のお姉さんと同じ20代前半だろう。黒髪黒目の凛々しい女性だった。名前をシェリア・フレストリアント。そんな彼女も、スーツ姿であった。
「いや、そんなこと言われてもここが一番安全な場所でしょ。」
「まぁそうですけど…」
「まぁまぁ。それで? 任務終了ですかい?」
「はい、後の処理はB班の担当ですので。それにしてもアドルフ閣下を追いかけてきたのは何者なんでしょうかね」
「さぁ…っていうか初任務なのにこれは酷くないか?」
「まぁそうですね」
伍長は少々ご立腹だった。
というのも、3日前、特殊諜報捜査局に強制就職なされた伍長達は局長室で今回の任務を言い渡され、その時局長であるルーズルートから…『今回は盗むだけですので、すぐ済むと思いますよ』と言われ安心しきって、潜入先の会社からUSBを持ち出したのだが、その時にUSBが入っていた金庫に取り付けられていた警報装置が作動し、伍長が追いかけられていた訳。
しかも待ち合わせ地点のここまで逃走するために1時間ほど費やしたので、すぐ済むといったルーズルート局長に伍長は怒っている。
と、伍長達が持ってきていた無線に、
『あのぉ、伍長さん。確かに簡単といった私を責めるのは構いませんが、速く逃げないとそちらに攻撃ヘリが近づいていますよ』
伍長の怒りを買ったルーズルート局長からの無線だった。
「なに! それ早く言えよ!」
『いや、だって怒っている人に自分から話しに行く人なんていませんよ』
実に正論だったため伍長は反論する言葉を失った。
「…。ええい! ルーズルート! 後で覚えておけよ! シェリアさん行きますよ」
「はぁい」
伍長達は浮遊しながら待機しているハウニブへ乗り込みはるか彼方へと飛び去って行った。




