第3章6話、最終話
ハウニブ…。またを戦場で見かけられるフーファイターの正体だといわれている航空機である。
いや、航空機という表現は正しいのだろうか? 正確にはUFOと呼ばれているこれ…
かつてナチス・ドイツが極秘裏に開発していた軍事兵器で、隕石の墜落地点から作られたEMGエンジンが積まれている軍事兵器なのだが…
「これはね、私の祖父がドイツとの戦後すぐに秘密交渉によって手に入れた兵器だって。」
「これが…ハウニブなのか!?」
「いや、それはちょっと違うらしいよ」
「はっ? 違うとは?」
何が違うのか? これは明らかに資料や証言にもあったハウニブではないか…。と伍長はそう付け足そうとしたが、フェルトさんはそれを遮るようにこう答えた。
「祖父はね、この兵器、日、独、ス3か国の科学者によって作られたって言っていたよ。なんでもEMGエンジンの仕組みが知りたかったんだって。」
「……………えっ?」
なんと! このハウニブは日独スの共同開発品だそうだ。
「えっと、聞き間違いではないですよね。日独スといいましたか?」
「うん!」とフェルトさんは大きくうなずき「戦後の混乱のうち遣独潜水艦作戦の生存者や両国の技術者を本人家族同意で一家ごとス連邦に連れてきたんだって。」
もしかしたらこれは相当な国家機密品かもしれない。伍長を含めたヨシフと首相らはそう肝を冷やしたという。
「それでね、今回アドルフさんたちに来てもらったのはこれも関係してくるんだよ」
「はぁ…」
「君たちにね、私直属の諜報捜査機関の下で働いてくれないかな?」
「はぁ…はああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
聞き洩らしそうになったが、明白に言われたので伍長は素っ頓狂な声を上げた。
なおヨシフおじいちゃんは思考が停止し先ほどから完全に固まっており、首相はヨシフを起こすのに必死な状態な模様。
「えっとね、配属先は皇宮省の特殊諜報捜査局という外部部署になるけど、新たに新設する、連邦捜査庁へ配属されると思うの。内容はルール先生から行くと思うけど、基本的に私直属の諜報員兼捜査官。」
「それを私達にやれと?」
「うん!」
「身バレしている私達に?」
「そこは大丈夫、名前は出ているけど顔は出していないから…。あっ! そうそう、別に断ってもいいけど、このハウニブ、国会最重要機密に指定されているんだ!」
「えっ?」
「つまりね、関係者以外が見てしまうと…」
にっこり微笑むフェルトさんの意図をようやく読め、顔をうなだれ、
「図ったな、図ったなぁ貴様ぁ!」
と地下室内にこだます勢いで叫んだ。
なお、この国の法律により、関係者以外のものが国家最重要機密事項を見てしまうと、シベリアの永久凍土で魔法を組み合わせた生命活動永久停止という死刑よりもおそロシアな刑に処される模様…。何それ怖い
つまり! 彼らがこれを見た時点で断るという選択肢は消えていたわけである。
「あの…本当に拒否権はないですか」
「「「ないです」」」
「さ、左様ですか…」
フェルトさんの他にルーズルート夫妻からも言われたのでもう諦めた方がいいのだろうと薄々感じてきた伍長であったが、無駄だとわかっていてもあがいてみる。
「なぁルーズルート、庁と付くからには長官や役人が多くつくという事だよな?」
「そうですね。長官はもう決まっていますがお役人の人達は外務省とか皇宮省の人達が異動となりくると思いますが…」
「そうだよな、それなら私達もいらない…」
「それは無理ですね。ね~陛下」
「ね~」
なんだこの親子腹立つな…。そう伍長はうなだれながら思った。
実際そう思っており、彼の意見が一致したのはヨシフ、首相そして長らくフェルトさんのお世話係を務めているメイド長もそう思ったという。
なおメイド長の経歴もある意味やばいがそれはまたの機会になるだろう。……なんでや!
「陛下、ルーズルート…。私達にもう拒否権はないかね」
「ええ、ありませんね」
「うん! ないね」
二人ともきっぱりと言い切ったので、もう伍長は心がガラスのようにパリィンと音を立て崩れ落ちた。
うなだれほぼ放心状態に近い状態になった伍長は、うなだれたまま首相に…
「私はもう逃げ場がないことを知ったよ…。仕事もないしいいんじゃないか? というか私は諦めた。」
「…。そうか、君もおんなじことを思っていたか…。いいだろう、私も入る。閣下もそれで?」
「うむ」
ヨシフは軽くうなずき、同意をした。
これにより彼らは捜査官・諜報員になることを了承したのである。




