第3章5話
「えっと、アドルフさんでいいですか?」
「はい」
「私がアドルフさんやヨシフさんなどをここに連れてきた理由をお見せしますね」
そういい、フェルトさんはすたすたとかすかに見える暗室の奥にある脚立の方へと小走りで向かい、その脚立を登ろう…としたところで足を滑らした。
そのままぶつかるかと思った伍長たちは、痛々しい場面を見ないために目をそらせようとしたところで、衝撃的な技を見せつけられた。
なんと、脚立から足を滑らせたフェルトさんはそのまま体をひねり無理やり頭を地面へ垂直にしてから…天井へと足をつけた。
「はぁ!?」と愕然となる伍長
「ええ!?」伍長と同じ表情な首相
「フッ…」苦笑いをしながら鼻で笑うヨシフ
「へ、陛下! あんまりそれをしてはいけませんよ!」と何か秘密を知っているルーズルート。
「そうですわ! まだ赤の他人にそれはいけませんわよ!」ルーズルート同様に焦っているアリスティン
最後の二人の言葉を聞いたフェルトさんは、はっ! となり慌てて天井からふわふわと降りてきた。
それを見た一同は、『なんか神様の降臨の演出みたいだな…』と満場一致で感じた模様。後光なんかは出ていなかったのだが…。
「えへへ、確かにそうだですね」
「そうですわ、あんまりあれをお使いになるとメイド長からの説教地獄が待っていますわよ」
「そうですよ、メイド長から念を押されていた私たちの立場もなくなっちゃうではありませんか」
「ふえぇぇぇん! そんなあああぁぁぁぁ」
涙目でポカポカルーズルート(夫)をたたくフェルトさん。夫婦で説教する姿を見ている伍長以下3名からはなんであの夫婦はそんなに怒っているのかと、本当に仲の良くて…そうまるで親子のようだな…。とそこそこ複雑な気持ちで見ていた。
なお、ルーズルート夫妻にはお子さんはまだいらっしゃらないので、夫婦はフェルトさんを我が子同様可愛がっている模様…。それも実の親、つまりフェルトさんのご両親も完全に二人に子育て全面を任せているらしい。
親なら自分でやれ! と言いたいが、お父さんは病気で療養中兼隠居中だし、お母さんはそれに付き添っているし…。
本当にどうでもいいが、隠居場所は日本の大阪府内にあるス連軍の駐屯地付近の模様。
……結構重要じゃね!? 特に日本とス連邦が国交あるところとか!…
ス連邦及び惑星統合連盟と日本国とは1890年に明治政府ひそかに接触し、日ス友好条約を締結した。
だが第1次世界大戦や不景気の嵐、そして軍部が実権を握ったことから日ス両国は一時的に条約を破棄し、惑統連及び地球国家接触代表国であるス連邦は撤退した。
再交渉が始まったのはソ連崩壊直後の1991年12月26日。当時の日本国首相である宮丘内閣と秘密裏に交渉し、日ス惑相互援助及び安全保障条約を締結した。
だが、軍事基地の建設のための土地を選ぶ際、住民やマスコミなどに惑統連やス連の存在が明らかになる恐れがあるので1992年3月19日に同宮丘内閣がス、惑の両国の承認を得て条約及びフェルトワンの存在を明らかにした。
ス連邦は大阪湾の沿岸に作られた人工島を基地としている。
ただ国際社会は、惑統連及び地球国家接触代表国ス連邦の国際的な国交と国連の加盟と軍事技術の共同管理を猛烈に押したが、惑統連は世界各国との国交樹立は認めたものの、国連の加盟には反対した。
これが2000年の元日だった。
と、すっごい大事なことを聞きそびれそうになりそうなので、伍長はルーズルート(夫)の方を陛下から引きはがし羽交い絞めを3人でしながらルーズルートに尋問を始めた。
「(おい、ルーズルート! 今のは何だったんだ!?)」
「(…言わなければだめですか?)」
「当たり前だろ!?」
ついつい小声で話すのを忘れてしまった伍長は素っ頓狂な声を張り上げたが、怪訝なまで見てくる陛下とアリスティンがいたため、ゴホンと数回咳ばらいをし羽交い絞めをされたルーズルートの尋問へと戻っていった。
「(っで、なんだったんだ? あれは…)」
「(そうですね…。私もはっきりわからないのですが、神学と魔学の掛け合わせた技だと陛下御本人はおしゃっています。)」
「(そうなのか? しかし神学とはなんだ? あと魔学も…)」
「(えっとですね、神学っていうのはスウェットフェルクロード家が代々学ぶようにされている学問の一種ですね。まぁ言い換えれば皇帝学ともいわれていますが、『戦術』『戦略』『国防』『軍の機能』『人事』『技術』『自己防衛』の7つのことを徹底的に学ぶらしいです)」
他にも『外交』『社交辞令』などもあるのだが省略する。
「(なるほど…。であれはその中の自己防衛と?)」
「(はい、それに魔法科学を掛け合わせたのがあの業だそうです。ただ魔力と神力の使用量がえげつないので、使用は控えるように言われていたのですが…)」
「(なるほど…)」
本当はよくわかっていないが、なんかめんどくさそうなので、追及するのをやめた。
ちなみに魔法科学は、聖と国名につく惑星で使用されている技術で、有名なのは非科学兵器の惑う軍事衛星だろう。
かつてス連邦と別の領土問題でもめていた国家がその領土に軍事衛星を投入したため大苦戦したというので戦史では有名な話だ。
「えっと…話は終わったの?」
「あっ、はい。終わりましたよ」
「なら、ちょっと電気を…」
「あっ! いえ、私が…」
またしても同じようなミスをするかもしれない…そう直感的に感じたルーズルートは自分が代わりに脚立を登り電気をつけた。
なお、伍長たちが話している間に、実は一回登っていたのだがその時もまぁ見事に落ち、運よくアリスティンにお姫様抱っこされる形で助かったが、アリスティンはこの時、『陛下ってもしかして、ドジっ子属性があるのかしら…。男の子ですけど…』、そう思ったという。
パチ パッ パパパ
暗室だった室内…いや正確には階段付近は蛍光灯の光が入り彼らはさっきからそこを中心にしたいたのだが、ようやく地下室内に明かりがともり、部屋の全貌が明らかにされた。
と同時に、伍長、首相、ヨシフは絶
「なっ! なぜ!」
「そんな…そんな!」
「…!」
彼らが見たもの…それは…
知っている人は知っているし、ある意味有名でもある、
『ハウニブ』
出会った。




