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Manipulated Intelligence Agent ~皇帝によって操られた諜報員たち……~  作者: 11月 ミツシ
第3章、【伍長さんは遂に仕事についたようです】
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第3章4話

「痛ててて」


 伍長は腰をさすりながらようやく止まった階段状の滑り台の終着地点を見渡した。

 相変わらずの真っ暗な部屋である。部屋の広さは…どうだろう? 先ほどまでいた赤レンガ倉庫のような建物の半分くらいだろうか? それでもそこそこ広い部屋なのだが…。

 伍長は立ち上がろうとすると、


「ぐっ!」


 と音がした。

 そして気が付いた。自分は何やら柔らかく温かいもの上に乗っていることに気が付いた。

 その柔らくて暖かいものが、むくっ! と動き、


「こぉらぁ! アドルフ! 痛いではないか!」


 そう怒鳴った。

 怒鳴ったのはもちろんヨシフのおじいちゃん。とりあえずものすごい剣幕だということははっきりしていた。

 

「いや、爺ちゃんがあそこにいたのが悪いんだろ!」

「いや、アドルフ! 貴様が避けようとしないのが…」


 伍長とヨシフが喧嘩を始めてしまった。二人は滑り台の終着地点で睨み合いいがみ合いそうになった時…


「お~ふたぁ~りさぁ~ん。喧嘩はぁ~やめましょうぅ~、あとぉ~どいてぇぇええええ!」

「「えっ!?」」


 首相とアリスティンが滑り台を滑ってきた。

 ただ…その…首相が滑ってくる場所が彼らを直撃する進路だった。

 伍長閣下はその…首相を確認した瞬間、すぐさま避けたのだが…。ヨシフおじいちゃんは…歳というのもあるし確認するのも遅れたから…


 直撃した。

 しかも首相ときたら足から滑ったものだから、ヨシフおじいちゃんの腰にクリティカルヒットしてね…。先ほどからヨシフおじいちゃんの反応がない。そう! まるで屍のようだ。……言ってる場合か!

 本当に動きのないヨシフを心配した伍長以下3名が、ヨシフおじいちゃんのもとへ駆け寄った。


「爺ちゃん! 大丈夫か?」

「ヨシフ閣下!? 大丈夫ですの!? 救急車を…」

「いや! よく見ろ…。もう息がない…」


 3人は絶句した。

 先ほどまであんなに元気だったヨシフおじいちゃんが本当に屍になってしまうとはだれも思ってはいなかったのだろう。


「そんな…爺ちゃん!」

「ヨシフ閣下!」

「閣下…。」


 3人は涙を流した。

 涙は地面へと落ち、ヨシフおじいちゃんの手に当たった。

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

「って! 生きとるわぁい!」


 むくりと立ち上がったヨシフ。なんと! ヨシフおじいちゃんは屍になっておらず、生きていた!


「大体、私がそんなことで妻のところへ行ってたまるものか! もうちょっといい土産が出来てから行くわ! 確かに私も調子に乗って息を止めたのも悪いぞ! だがそれぐらいで死んだと判断するんじゃない! 特にチャーチム! お主はなぜ私の脈拍を測らなかったのじゃ!? お主アフリカ戦線では衛生兵として戦ってもいただろう! あとアドルフ! お主は早う結婚して孫の顔を見せんか!? 妻への土産話が無くなってしまうだろうが! 大体なぁ…」


 ものすごい勢いで説教を始めたヨシフ。だがぶつぶつ文句を言うように説教しているヨシフに歯向かおうとしているものがいた。

 伍長である。


「爺ちゃん! 最後の結婚話は関係ないでしょうが!」

「なにをぉ! 大体な、お主が結婚せんから私は今なお生きているんじゃ!」

「知らないよ! ってか私かって結婚していたよ!」

「ほ、本当か?」

「本当だよ! でも子供が生まれそうなときにこの世界にやってきたんだよ! ってかあんた私が結婚してたのも知らなかったのかよ!? 私電報であんたの家に、『爺ちゃん! 喜んでください! 孫が出来ました!』って電報を打ったのに受け取ってないのかよ!」

「なっ! 来てないぞ! そんな電報!」

「はぁ!? そんなはずはないぞ! 私はちゃんと電報を貴方の家に打ちました! あんたちり紙と間違えて捨てたんだろ!」

「そんなことをするか! 第一そんな電報来てないぞ! ってかさっきっから聞いてみればあんただの言葉使いが荒いんじゃよ!」

「知らんわ!…」


 まったく収まりそうもない喧嘩に、アリスティンは先ほどからどうすればいいのか右往左往していた。 首相に助けを求めようにも、もう諦めた表情を浮かべるだけで何も動こうとはしなかった。

 いや本当は止めようにも止めれない状態だからである。

 とその時、


「はぁ、本当に2人とも変わっておられませんね」

「先生、彼らはいつもああなのですか?」


 2人の声が階段から聞こえてきた。

 そちらを振り向く一同。ってかいつの間にか滑り台から階段へと戻っていた。


「陛下、ああいう大人は気を付けた方がいいですよ…」

「ほぇ? なんで? ルール先生」


 会話からでもわかる通り、彼らの正体それは…


「あらフェラン…。それに…! へ、陛下!」


 アリスティンが突然直立不動のまま敬礼をしていた。

 『なぜ敬礼なんだ?』と首相は思いながらも同じく敬礼をした。

 まぁ無理もないだろう、こういう時って平伏しながら…とかがいいのかもしれないが、いかんせんス家は

古来から軍の家系らしく、女性も含め陸、海、空、宇航、統合の5軍の伊豆かには属しているちょっと不思議な家系で、フェルトさんは陸軍参謀だったわけ。

 で、そのこともあって非公式の場合は敬礼で言い分け。もちろん公式の場ではきちんと形は取るそうですが…。


「あっ! アリスティン筆頭事務次官! こんな場所までご苦労様です」

「いえ…そんなことわ」


 階段を降りてきた陛下はアリスティン筆頭事務の労をねぎらった後、伍長とヨシフの二人へ視線を移し…


「伍長…あっ、いえ、アドルフ・アルベルト閣下、先の件で貴方にいろいろとご迷惑をおかけしまして、国家の長としてお詫びします。ごめんなさい」


 可愛く律儀にお辞儀をした。

 

「いえ、そんな…」


 伍長は戸惑い躊躇い脳内でじゃんけんを始めた。

 2人の伍長がじゃんけんをし、右の伍長がパーを出して勝った…いったい何を言いたいのだ?ってかなぜ唐突にじゃんけんをし始めたのだ?! 

 右の伍長じゃんけんに勝ったので伍長はなにも返す言葉が思いつかずアワアワしていたのでヨシフは自分の孫を変な目で見るのであった。


 


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