2 塁が手作りのチョコを食べない理由
手作りのチョコは食べずに捨てている、だとぉ?
そんな女の子の恋心を踏みにじるような、ただのイケメン野郎ならそのチョコレート、全部俺にくれっ!
なんなんだ、この格差社会。
まだ俺高校生だぞ?
世知辛い世の中だな、おい。
また泣くぞチクショー!
と、思ったが、口にするのはなんとか思い止まった。
ふふん。俺って大人じゃね?
こんなに男の中の男、いねーよ?
さぁ誰か、俺にチョコをくれ!
いや、ください!お願いします!
現実逃避にそんなことを脳内で繰り広げていると、塁が深刻そうに眉をハの字にしながら溜め息をついた。
「トラウマなんだよ。・・・初めて貰って食べた手作りのチョコに、髪の毛が入ってたんだ・・・」
塁は珍しく、口にするのも嫌そうな顔をしていた。
「なんだ。髪の毛ぐらい、大目に見てやれよ」
俺ならパパッと取って気にせず喰うけどな。
ま、貰ったこと、ありませんけど。
「あと、爪も・・・」
ん?爪?
爪が入るって、どういう状況だ?
あぁ、もしかしてチョコを刻むときにうっかり爪も―――…って無理あるだろそれ!!
「あと、」
「塁、もう何も言うな!頼むから」
俺は咄嗟にストップをかけた。
なんか、ヤバくないか?ヤバいよな?
ホラーだよな、なんか。
いや、わかんねーけどなんか。
怖いんだけど、なんか。
「・・・だから僕、手作りのはちょっと生理的に無理で…」
「そうか」
俺は塁に理解したふりをした。
というか、俺はまだ女子からチョコを貰ったことがないんだぞ?
貰ったこともないのに、なんで既に手作りは怖いとかいう先入観植え付けられてんだよ、俺は!
これから先、俺はどうしたらいいんだ!
いや、貰える宛も無いんだけどねっ?
「あ、良かったら大輝くん、要「要らない。いろんな意味で。」
塁、お前は分かってない!
そんなおこぼれはな、男の中の男である俺の意思に反するのだよ!
それにな、今の話で俺も手作りは“無理”だ!
何より、このチョコの数。
圧倒的な恋愛格差を見せつけられた俺の・・・・。
俺のライフが限りなくゼロに近いことになっ!
「大輝くん・・・泣くか、怒るか、どっちかにしたら?顔面、ヤバいよ?」
あ。顔面偏差値の高い塁に言われると、グッサリ刺さるなー、それ。
「ちょ、大輝くんっ?どうしたの、大輝くん!大丈夫?」
はいこれで、ライフがゼロになりました。




