アストラル学院に留学
子供達がアストラル学院に留学することになった。
早ければ10歳、普通は12歳で入学する
しかしプロイセン王国の王太子 王太子妃
公爵家公子など錚々たるメンバーの留学だ。
結局、期間は1年 12歳で留学し13歳で帰国することになった。
理由は簡単。13歳で婚姻したい男の子の希望が大きい。
大人達は12歳~15歳まで学院で学ぶことを推奨したが、頑として聞かない。
その代わり、1年で3年分履修すると言うので大人が折れた形だ。
テオドール・フォン・プロイセン王太子 12歳
ソフィア・フォン・フィクトス公女 12歳(テオドール王太子婚約者)
ラインハルト・フォン・ヴァレンティノ公子 12歳
リリアーヌ・フォン・ヴァレンティノ公女12歳(ラインハルト公子婚約者)
クラウス・フォン・フィクトス公子13歳
ステラ・フォン・ヴァレンティノ公女8歳(クラウス公子婚約者)が特例として入学が認められた。
ステラとクラウスの留学期間は2年。
2年後クラウスはフィクトス公爵家当主になることが決定しているためだ。
クラウス当主就任と同時にクラウスとステラは結婚する。
ステラが13歳になるまでは、白い結婚だが。
アストラル皇国とプロイセン王国は、幾重にも結ばれた婚約のおかげで
同盟国として周知されている。
「ようやくここまで来たわね」
「あぁラインハルトが15歳になるまで、公爵を続けなければならないが
それもあと、少しだ」
「そうね。あとはルーナの婚約者さえ決まればいいのに」
そう言ってリゼリアは手を繋いでいる娘、ルーナを見下ろした。
ルーナは6歳 ヴァレンティノ城で生まれた初めての娘だ。
母の言葉を聞いてルーナは、教えてあげた。
「ルーナの結婚相手なら、あそこに座っているよ」
ルーナが指さしたのは、退屈そうに皇帝の横に座っている皇子だ。
第一皇子だから、将来は皇帝になる。
全ての女性の憧れの的だろう。
幼い娘は現実と空想が区別できないのだろう。
リゼリアはたしなめようとしたところを、ニルヴァが止めた。
「待て!もしかすると……?」
「ルーナ。どうして知っているの?」
「見たから」
「どうやって見たのかな?」
「うーん、時々ね ふよふよが現れて
それを見ていると ふよふよがいろんな景色を見せてくれるの」
「そう。今までどんなふよふよが見えた?」
「んーと。お母さまのお腹からふわんと何か出て来たよ
そしたらそれがね、ちっちゃな青色の龍の子供になったの
可愛かったなぁ」
「それはいつ頃起きることか、分かる?」
「んーんと。すごく遠いよ。その時にはルーナは死んでるしねぇ
多分100年ぐらい先になるよ」
リゼリアはその話を聞いて、背筋が凍った。まさか、この娘は……。
異能。それも予知の力。
予知の力を持つ者は長生きできないと、言われている。
予知は神の領域だから。
リゼリアは喉がカラカラになって言葉が出ない。
そのうち皇帝たちが騒めきだした。
しまった!
マリー王妃は遠くのことが見えて聞こえる。
ルーナの言葉を聞いてしまった。
そして多分皇帝もルーナの力を知った。
ルーナの予言は当たるだろう。ルーナはアストラル13世の皇后になる。
皇帝が自分の息子レオニスを連れてやって来た。
レオニスは皇帝に言い含められていたのだろう。
ルーナの前にまっすぐに進むと跪いてこういった。
「ルーナ姫。どうぞこの私、レオニス・フォン・アストラルの妻になって下さい」
なんの熱も籠らない言葉。
当然だ。
だってレオニスはルーナの顔すらまだまともに見てもいないのだから。
リゼは止めようとした。
これは違う。
これではだめだ。
リゼリアが一歩踏み出そうとするのをニルが止めた。
その瞬間ルーナが問いかけた。
「あなたは、だぁれ? 私、あなたを知らないわ」
皇子は羞恥と怒りで真っ赤になった。
「知らないって!だってお前が!」
その先を皇帝は言わせなかった。
軽くレオニスに触れただけなのに、レオニスは崩れ落ちてしまったのだ。
皇子はすぐに部屋に運ばれ。皇帝が謝罪した。
「息子が怖がらせてすまなかったね。申し訳ない。
お詫びに入学式が済んだら、食事でもどうかな。美味しいケーキを用意するよ」
ルーナは頷いてこの場はおさまったが、噂は一瞬で広まった。
皇子が小さな姫に一目ぼれして、いきなり求婚してしまった。
どうやら失恋したらしい。
皇子はさらに屈辱を感じるだろう。
本当にルーナはレオニスの番なのか?
全く ただの入学式の筈がどうしてこうなったのだ。




