↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/59

白亜のヴァレンティノ城

 プロイセン王国は鉄と炎の国。

 王の金髪も太陽のようにきらめいている。

 リゼリアの祖父が紅蓮侯と呼ばれるように火の魔法が得意なものが多い。

 ここヴァレンティノ領の中心にあるヴァレンティノ城。

 前王妃によって焼け落ちた城は、今は見事に復元されている。


 ニルヴァは水の魔法が得意な青い龍。

 城は広大な湖の上にその姿を現した。

 白亜の城

 青い海のような広大な湖。

 そして城と領地とをつなぐ空中回廊。


「なんて綺麗なの。

 たった10年しか住まないのに、ニルは贅沢だわ」


「これは、リリアーヌへの贈り物さ。

 龍の娘ならこれぐらいの城に住むべきだ。」


「当然婿どのは、これ以上の贈り物を寄越すだろうさ」


 あからさまな当てこすりにラインハルトは悔しそうだ。


「ライ、聞き流して頂戴。大人げない方がダメなんだから。

 でもここはいずれ王妃の実家になるのだから、

 優美なお城でも構わないかしら?ラインハルト。

 ラインハルトが築城するなら、砦を兼ねる城になるのじゃない?」


「はい、お義母様。僕は砦がすきです。

 でもここは、あくまでも龍の娘を受け入れる城

 王妃を育てる城です。

 お義父さまのセンスは素晴らしいと僕は思います。」


「ライ、あなたの常に公正であろうとするところ、ニルに見習って欲しいわ。

 ところで、肝心のリリアーヌはどこにいるの?」


「リリアーヌはステラのところです。最近姉の自覚が出て来たらしくて

 しょっちゅうクラウスとステラの取り合いをしています。」


 あぁ、確かにリリーはステラに夢中だ。

 ステラが1歳になって、よちよち歩きをするようになったので、

 構いたくてしかたがないらしい。

 それをクラウスががっちりガードしている。

 クラウスが良くステラを攫って帰らないものだと感心している。


 クラウスもラインハルトも実に温厚だ。

 どうやらここヴァレンティノ城では、男の子たちが男どもより立派なようだ。


「リリアーヌとクラウスを呼んで来て。

 好きなお部屋を選びなさい。

 早い者勝ち。

 ステラの部屋はクラウスに選んでもらってね。」


 それを聞くなり、子供達は飛び出した。文字通り飛んでいく。

 全部の部屋を確認したいから、とても忙しい。

 初めての場所は転移出来ないから余計に目まぐるしく飛び回るしかない。


「それで、僕のお姫さまはどの部屋にするつもり?」


「私はねぇ 1階にするつもりなの。

 知っているのよニル。あなた城の西側に温泉を引いているでしょう。

 冷たい泉の水と熱い温泉水がうまく交わった部分が、広いテラスから

 入れるようになっていたわ。」


「おやおや。僕の姫君はなんでもお見通しだね。

 ステラも1歳。リリアーヌは5歳になった。

 僕らも次の子供を考えても良い時期じゃない?」


「公爵さまは職務に忠実なんですね」


「残念。僕の忠誠は君にだけ捧げているのさ。

 ねぇ、僕の忠誠を受け取ってくれる?」


 夕焼けと湖と白亜の城。

 ロマンチックなムードは、子供達の乱入でお終いになった。

 それぞれ自分が選んだ部屋を自慢したいらしい。

 ニルはきっぱりと言った。


「ここからは、お父様とお母さまの時間だ。

 君たちの部屋は、側仕え達に整えさせなさい。

 明日の夕方、全員で皆の部屋を廻ろう。

 誰の部屋が一番上品で、美しく、機能的か。

 コンテストを開催する。猶予は一日しかないぞ!」


 子供達は一瞬で散ってしまった。

 そうしてニルは自分の番を、うっとりと見つめている。


「そうね。大人の時間だわ」

「温泉に入る?」

「新婚の時みたいに」

「そうだね」


 ふたりはクスクス笑いながら、湖の温泉に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。