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子供達と公式発表

 シオンが子供部屋に行くと、いつものメンツが揃っていた。


「なんだシオン。結局洗脳が効かなかったんだって?」


「ローゼンベルクだもの。野生児なのよ」


「野生児って言葉を誉め言葉みたいに使うなよ、リリー」


「えっ!私、褒めてたの?」


「おまえら……」


 シオンは絶句するが、いつもと変わらない様子に安心する。

 少し違うのはテオが仲間の顔をして、のんびりこの場にいることだ。


「テオドールの奴、変わりやがった。いつもピリピリしていたのに」


 そのテオが聞く。


「シオンは皇国の学院に留学するのか?」


「留学?なんの事だよ」


「10歳~15歳までの子供が、魔法を学べるところだそうだ。

 シオンは12歳になるだろう?早い方がいいと思う」


「しかし俺は侍従の仕事が……」


「シオン、行ってこいよ。僕もいずれいく場所だ。様子を知っておきたい」


「ラインハルト王子」


「行った方が良いよ。お前、まだ番がいないだろう。

 学院にはフィクトス公爵家の傍系の娘たちが何人か通っているよ」


「べ、別に 俺焦ったりしてないし」


 シオンが顔を赤らめたので、みんな大笑いだ。


「焦っているのは僕さ。僕も番がいないんだ。ライは婚約するっていうのに」


「まだ4歳で焦ってどうするのさ。僕の妹がフィクトス公爵家にいるよ。

 4歳だから学院に行けば同級生だろ?可愛いぜ」


「龍の娘なら可愛いに決まっているさ。」


 テオドールが顔を輝かせて言う


「私も龍の娘なのに、テオは可愛いって言った事ないじゃない」


「あのなぁ、お前とラインハルトが両想いなのすぐに分かったのだからな。

 だからずっとラインハルトが王になるんだと思ってたんだ」


「兄上ってば。けっこうひとりで思い込む性格だよね。

 自信家だと思ってたのに」


「そうよねぇ、固有魔法も咆哮とか威圧とか完全に王家の魔法なのに」


「待って!固有魔法ってなんだよ」


「あっ、そうか。シオン 解放してあげる 手出して」


「大丈夫なの?リリー」


「血縁者なら大丈夫。シオンは私の叔父上だから」


「叔父上ってちょっときつくない?」


 騒いでいるうちにシオンも固有魔法に目覚めたようだ。


「あぁ、なるほどね。」


「シオン、教えてよ。」


「僕はスキャンだね。鑑定もできるけど」


「鑑定とスキャンて違うの?」


「うーん鑑定の上位バージョン。人間にも使えるよ」


「でも上位者には使えないみたいだ。クラウスには弾かれた」


「それ、かなりスパイ向きだね。学院に1年間留学しておいで」


「はい、殿下」


 シオンは素直にテオドールに頭を下げた。

 テオを主と認めたのだ。

 ラインハルトはほっとした。

 長い間シオンがテオを値踏みしていたのを知っていたから。


 しばらくして王国は大騒ぎになった。

 もう派閥争いどころではない。

 なにしろアストラル皇国が、とうとう王国に牙をむいたのだ。


「いくら自治権を認めるとはいえ、全国民の検査など許されるのか!」


「しかし貴族階級は除外された。それだけでも僥倖だ!」


「戦えば王国は滅亡するしかない」


「国力が違いすぎる」


「ヴァレンティノ公爵が娘を人質に出した。まだ生まれて半年なのに」


「気の毒だか第二王子を婿にとったのだ、それぐらいの犠牲は払ってもらわねば」


「ローゼンベルク伯爵が跡取りを学院に留学させるそうだ」


「体の良い人質だろ。ローゼンベルク伯爵はアルヴィス侯爵の婿だ。

 アルヴィス侯爵家の手配だろう。あの家は王室に忠実だからな」


「アドルフ辺境伯家が急におとなしくなったな」


「軍事担当だからな。勝ち目のないことがわかっているからさ」


「ふん、役立たずめ。辺境にすっこんでろ」


「しかしこの時期に立太子とは、もう少し様子を見ると思ったが……」


「王国内で争う余裕がない。王太子を決めてしまえば安定するさ」


「しかしヴァレンティノ公爵も、とんだとばっちりだ。

 あと10年ほどか?引退させられるまで。まだ20代だろ?公爵は。30代で引退とはなぁ」


「ヴァレンティノ公爵って偉そうだったけどな。

 王室も第二王子をさっさと臣籍に落としたかったのだろう。火種になるからな。」


「4歳で王宮を離れて王子の称号もはく奪されるらしい。王室も本気みたいだな」


「国が生き残るかどうかの瀬戸際だ。王子は可哀想だが仕方ない」


「実の息子ですらこれだ。いま下手に派閥抗争などしてみろ。

 家ごと潰されるぞ」


「どうだろう?王太子妃は?」


「しばらく決めないらしい。空白にしておけば場合によってはアストラル皇国の姫を」


「多分、それ狙いだろうな。

 アストラル皇国が弱小国に姫を降嫁させるかどうか?」


「空白位であることに意味があるんだ。成人してからの嫁とりでも構わぬだろう」


「貴公、最近までは早く王太子妃を決めろと煩かったであろうに」


「言うな。皇国に睨まれたいのか?」


 こちらはアドルフ辺境伯とアルヴィス侯爵


「どうだ?貴族会議の様子は?」


「概ね、こちらの想い通りだ。今回は粛清の必要が無くて助かったな」


「皇国のおかげだ。とことん悪役をかって下さる」


「ありがたいことだ。レオン王が皇国を訪問するのは3月後か?」


「あぁ、国王夫妻にテオドール王子もご一緒だ。

 黒龍さまが自分の娘を紹介してくださるらしい。

 しかし、黒龍さまもお年だろうに。随分お盛んだな。ありがたいことだが」


「確かにな。テオドール王子が龍の娘を娶れたら、万々歳なのだが」


「こればかりは縁じゃよ」


「確かにな」


「そういえばお主の婿どの。再婚するらしいじゃないか」


「あぁ、娘の侍女を長く勤めてくれたノーラとな。

 ノーラの家は子爵家だから、後妻なら問題なかろう。少し寂しくはあるがな」


「家が栄えるのは良いことじゃよ。」


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