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アルヴィス領の子供達

 アストラル帝国のシステムが画期的だったので、

 王家との話し合いが必要になった。

 マリーの鳥を1匹預かっていたので、すぐに鳥を飛ばす。


 マリーからは、すぐに行くと言う返事が返ってきたけれども

 王と王妃が公式にアルヴィス領に来るなんてことが可能だろうか?

 レオンはなんと避暑の名目でやってくることになった。

 正式な行事にしてしまったから、取り巻きも引き連れてくることになる。


 アルとノーラから、ヴァルト・フォン・シュタイン公爵家が激怒して、

 無理に同行をもぎ取ったと連絡があった。

 シュタイン公爵家は表向きはレオン派を主張しているらしい。

 旧フリードリッヒ11世の政策を弾劾。

 政策と言っても、アルヴィス侯爵家とアドルフ辺境伯家に権力を集中させて、

 王権を私物化したと言っているらしい。


 両家に操られる王をお救いすると激を飛ばしているのは、

 私も見聞きしている。

 大体において、人が激怒するのは、実はその人がやりたい事だったりする。

 つまりシュタイン公爵家は王家を牛耳りたいのだ。

 そのような人物に誠実王が、息子を託す筈はないのに。


 面倒だなぁとしみじみ思う。

 今回ニルと私は爵位を貰わないといけない。

 恒久的に龍の血を王家に繋ぐために。

 すぐにラインハルトが受け継ぐのだし、

 これから王妃を排出する家ともなれば、どうしても公爵位は欲しい。


 きっと大揉めるに揉めるだろう。

 ヴァルト・フォン・シュタイン公爵家は、

 きっと私たちが権力を望んでいると思うだろう。

 彼自身がそれを望むから。


 黒龍は本当に人間のことを良く分かっている。

 龍が表にでないことで、フィクトス家は無謬(ムビュウ)のフィクトス家と言われ

 尊敬を集めている。

 今回の話を権力争いにさせてはならない。絶対に。

 一体どうしたら良いのだろう。


 一方子供達はすっかりアルヴィス領になじんでしまった。

 ステラはまだまだ寝ていることが多いから、

 クラウスも子供達と遊ぶようになった、

 クラウスが遊び仲間になると、遊び方が変化した。

 だって鬼ごっこしても、クラウスは空に逃げてしまう。

 ずるいと言えば、お前たちも飛べばいいと返す。


 そうして子供達は自然に浮遊の魔法や隠蔽の魔法を覚えた。

 ケガをするような魔法は禁止だから、

 水をかけあったり、小さな雷を撃ったり、転移したり、転移させたり。

 およそ龍の使う魔法は、皆が使えるようになった。


 大規模な魔法はクラウスしか使えないだろう。

 けれどもクラウスはそんなことはおくびにも出さずに子供達と遊ぶ。

 さすがにシュヴァルツ老の息子だけある。


 そんなことをしているうちにレオン達が到着した。

 私とニル、そして子供達はさっさと離宮に逃げ込んだ。

 ここからは、いわば大人の時間。

 表向き、私たちは政治にかかわらない。


 大変なのは、お祖父さまとお祖母さまだけど

 彼らの猫は完璧だ。きっと100匹以上いるに違いない。

 別の言葉を使えば老獪だ。だから知らん顔しておく。


 離宮にテオドールが連れられて来た。

 来たくなかったと顔に書いてある。

 けれど……。


 「遊ぼうぜ」


 屈託なく言ったクラウスが

 さっさと空を浮遊し、ラインハルトにリリアーヌ

 果ては従者のシオンまでが、一緒に空を飛び

 水を撃ちあったり、転移したりしているのを見て唖然とした。


 「おい、待て!お前たち。一体何をしているのだ!」


 そう言われてきょとんとしたラインハルトが

 

「鬼ごっこですよ。兄上

 今はクラウスが鬼です。捕まったら鬼になりますよ」


 「違う! どうやって空を飛んでいるんだ。

  お前、何を隠している」


 「何も隠していませんよ。

  遊んでただけ。兄上が来なかっただけじゃないですか?」


 そう言われてテオドールは愕然とした。

 自分が王宮で勉強に励んでいる間に、弟たちは魔術を極めてしまった。

 出遅れてたまるか!

 テオドールは必死になった。

 クラウスを捕まえて魔法を習う。


 一所懸命勉強しているのに、クラウスはすぐにステラのところに行ってしまう。

 ステラにミルクを与えたり、抱っこしたり、

 とても甲斐甲斐しくお世話をする。


 「そんな赤ん坊なんて放っておけ!」


 そう言うときょとんとした顔をする。


 「ステラは僕の大事な番なんだ」


 どういうことだろう?

 ライはリリーと結婚して公爵になると言う。

 クラウスはステラと結婚する。

 だったら僕は?僕の番はどこにいるのだろう?


 おかしいなぁ。テオドールは気分が悪くなってきた。

 王様になるのは僕なのに。なんだか少しも楽しくない。

 何がいけなかったんだろう?テオドールにはわからない。


 クラウスが無邪気に言った。

 解らなかったらお父様に聞けばいいんだよ。

 父上に?

 僕が父上に質問したことあったかな?

 僕はいつも正解を知っていたから、質問したことなかったな。

 僕が質問してもいいのだろうか?


 当たり前だろクラウスは言う。だってお父様なんだから。

 そうか……。

 王様じゃなくて、お父様なんだ。

 なんだ。そうだったのか……。


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