子供達の名前
ゆっくりと朝日が昇る。
すやすやと眠る我が子を見守るあまりにも若い王と王妃。
「ありがとうマリー。お手柄ですね」
「まぁ これで陰険な年寄りどもからせっつかれなくてすみますね」
「陰険な年寄りの名前。教えてくれる?」
「ばかね。それよりも私たちの子供に名前を頂戴してもよろしくて?
偉大なる国王陛下」
「もちろん、我が王妃のお心のままに」
そう言ってレオンはくすぐったそうな顔をした。
王になって一年以上経つというのに、
マリーから陛下と呼ばれると照れてしまう。
大抵はカールと呼ぶから慣れないのかもしれないが。
「第一王子はテオドール、愛称はテオ。
第二王子はラインハルト、愛称はライ。どう思う?」
「テオドール。テオ。ラインハルト。ライ。
素敵な名前を頂いたわね
お父様にお礼を言いなさい。テオ、ライ」
嬉しそうに我が子を呼ぶ妻は16歳
普通なら社交界にデビューしたばかりの年齢なのに。
こうして王妃としての役割をこなし、母となった。
大切にしよう。妻も息子達も。
レオンは会ったことのない王と王妃を想った。
愛されていたのだ。きっと。
我が子を得て、それが素直に受け止められる。
子供というのは凄いものだなぁ。
「何を考えているの?レオン」
小首をかしげて愛らしく尋ねる妻
「愛してる。マリー君も、子供達も」
そう言ってレオンは妻をぎゅっと抱きしめた。
蒼天宮でも、名前で悩む父親がひとり
「ねぇ、リゼ。君が考えてくれない?
考えれば考えるほど、決められないんだ」
「おかしな事言わないでよニル
あなたいつも王様に名前を授けているじゃない。
なのに愛する娘に名前を授けない気なの?」
「違うよー。王様なんてどーでもいいけど。
見てよ この愛らしい姿 可愛らしい顔 小さな手
これにふさわしい名前なんて!」
ニルは身もだえしていたが、氷の様に冷たい妻の視線に気がつくと黙った。
こほんと一つ咳払いをすると重々しく告げる
「龍の娘はリリアーヌ 愛称はリリー。可愛らしいだろ?」
恐る恐るリゼの顔を見るとリゼは顔をほころばせた
「リリアーヌ リリー。素敵な名前だわ。
蒼天の王ニルヴァさま 素晴らしい名前をありがとうございます」
その言葉を聞いてニルヴァは途端にご機嫌になった。
大変な仕事を成し遂げたのだ。
今日はお仕事をお休みしても良いだろう。
「素敵な朝ですね。民も喜ぶでしょう
あなたが悠々と空を飛べば、王子も 龍の娘も無事に生まれたのだと」
王妃たちが産気づいたことは、瞬く間に民たちにも広がった。
民は思い思いに祈りを捧げてくれたのだ。
無事に生まれてくるように。
ニルヴァは本当は妻と娘の側を離れたくなかったが、
民のこともかなり気に入っている。
だまって朝日がのぼる美しい空をかけていった。
「あぁーニルヴァ様だ。赤ん坊がうまれたんだなぁ」
「神龍さまがお姿を見せてくださった。」
「世継ぎがうまれたんだ!」
「龍の姫君も」
「良かったなぁ」
「安心だね」
「蒼天の王ニルヴァさまだ」
「王子さまが生まれたんだ」
そんな喜びの声を聞いて、人間は不思議な生き物だとニルは思う。
龍はどんな生き物が生まれても、全く気に留めないのに。
人間たちは違うらしい。
ちょっとばかり嬉しい気分のニルであった。




