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アドフル辺境伯家

 ゆっくり進む馬車は領地の半ばまで進んだ。

 ここは、辺境へ進む街道と、王都に進む街道の合流地点。

 だから宿も多く栄えている。


 アルヴィス侯爵家の一族の館があるので、ここで一泊する予定だ。

 そこに使者がやって来た。

 アドルフ辺境伯家が宿泊したいと言ってきたのだ。


 家格で言えばアドルフ辺境伯家の方が上。

 血筋で言えばアルヴィス侯爵家の方が上という微妙な位置にいる。


 しかもアドルフ辺境伯家も騎士団を率いているので、

 とても全員の宿泊は難しい。

 そこで、両家ともに騎士団は、

 街道沿いにある簡易宿泊施設を使うことになった。


 やがてアドルフ辺境伯爵家の一行がお見えになった。

 一家勢ぞろいでお迎えする。


 どうやらおじい様とアドルフ辺境伯は旧友らしい。

 おじい様と辺境伯

 おばあ様と辺境伯夫人が仲良く談笑している。


 辺境伯家の長男のテオ様はレオンが

 辺境伯家の長女マリーさまは私がお相手を務めることになった。


 初めての社交だ。

 ちょっと緊張する。

「初めましてマリーさま。私、リゼリア・フォン・アルヴィスでございます」

 そう挨拶するとマリーさまは

「あら、あなたが瑠璃姫ね。へー魔力も瑠璃色なのね。

 魔力の色に合わせたのかしらね。

 私は藤姫よ。ライバルね」


 なんだろう?

 宣戦布告かな?

 それにしては敵意がないような?


 ちょっとへどもどしながら、お部屋に案内する。


「藤姫さま。こちらのお部屋をお使いください」


「ありがとう。侍女に部屋を整えさせる間、お話できるかしら?」


 ぐいぐいくるけれど、なぜだか憎めない方だ。


「はい、では私のお部屋にいらっしゃいませんか?お隣なのです」


「まぁ、よろしくて」


 と、言いながら既に入ってきている。

 辺境では、これぐらいの行動力が必要なのかも。


 さっき、魔力の色の話をしていたから、見てみると

 確かに藤姫は藤色のオーラを纏っている。

 少し、私の色と似ている。

 藤姫の方が明るいけれど。


 私が藤姫を観察したのを、ちゃんとわかっていらっしゃる。


「ねぇ、似ているでしょう。私たち。

 お友達にならない?」


「はい。よろしくお願いします」


 それで色々な話をした。

 えーと

 話をしたのは藤姫で、私はほとんど頷くだけだったけど。


 それでも凄く勉強になった。


 今回の7色の姫は古式にのっとった形らしい。

 今代の王が王妃しか娶らず誠実王と言われているけれど、

 本来は正妃1名

 妃2名 側妃4名の合計7人が王に仕えていたらしい。


 なぜなら、王家は魔力がとても高い。

 魔力が多いから王として選ばれたともいえる。


 そうして魔力が多いと子供が出来ずらいのだとか。

 7名の妃がいても、先代の子供は2人 一人は死んだらしい。

 現王にも子供は1人。

 本当に少ない。


 信じられない。

 それじゃぁ妃候補ではなくて、

 妃になることは決まっている訳じゃない。


「そんなの無理だわ。私結婚を約束した人がいるもの」


 そう叫ぶと、藤姫はあきれたような顔をした。


「貴族の結婚は自分で決めるものじゃないわよ」


「でも、約束したもの。妃にはならないわ」


「あなた貴族なのよね。平民からの養子とかじゃなくて」


「貴族よ。ローゼンベルク伯爵家の長女でおじい様の養女になったの」


「あぁ、あのローゼンベルク伯爵家」


「惨い罰だったけれど、あなたの妹も非常識すぎたわよ。

 ローゼンベルク伯爵家って、どうなっているの」


「エリーゼは我が儘に育って、私は放置されてたわ」


「なるほど。ともかく王宮では絶対に妃になりたくない、って言っては駄目

 処刑されちゃうわよ」


「本当に?」


「本当よ」


「私は13歳、あなたは?」


「11歳。」


「私があなたのお姉さんになって、色々教えてあげる。

 あなた危なっかしいもの」


「ありがとう。藤姫っていい人ね」


「そうやってすぐに人を信じては駄目よ」


「はい。でも藤姫のことは信じる」


「なんでよ」


「なんででも」


「意味わからない」


「いいの。私はわかるもの」


 そう言うと、とうとう藤姫は笑いだした。


「本当の事いうと、王都に行きたくなかったの。

 私は自然の中で伸び伸び育ったから」


「でも、瑠璃姫がいて良かった。

 少し呼吸ができる気がする」


「私もよ。藤姫も好きになる人が現れるかもよ。

 そしたら恋バナしましょう。

 とても楽しいのよ」


「無理ね。私恋なんてしたことないもの」


 私は知っています。

 そんなことを言えばフラグが立つ。

 この後、すぐに藤姫は恋を知ること

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