表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/55

恋人たち

 晴れて恋人となったニルヴァの一日は

 リゼを朝、起こすところから始まる。


「おはようリゼ」


「ん-ん、おはようニル」


 朝の身支度は侍女たちのお仕事だ。

 ニルは大人しくリゼの準備が整うのを待つ

 朝食が運ばれてきたらそこからがニルの出番


 目のやり場に困る食事風景が毎朝繰り広げられる

 膝に抱え込んだまま、一つ一つリゼの口に持っていく。


「あーん」

「美味しい」


「これも」

「口を開けて」


「もうひと切れ食べる?」

「食べる」


「野菜ばかりではだめ。お肉もね」

「あーんして」


 セーラやノーラが文句を言いたくても

 龍の給餌は本能だから許されている。


 食事の後はお勉強なのだが……。


「リゼ、学習室に行くよ。おいで。遅れると先生に叱られるんだろ?」


「あのね、ニル。私はひとりで歩けるから」


 抱っこされながら文句を言っても説得力はない。

 そうして授業が終わるまで大人しく待っている。

 リゼが教室から出ると扉を開けた瞬間には、抱きかかえられる。


 セーラもノーラも厳しくニルを監視している。

 恋人同士でも節度は求められる。

 そしてどうもニルは怪しいのだ。

 確かにキスはしていないし、不自然な接触もない。

 なのにどうしても、甘すぎると感じてしまうのだ。


 だけどリゼは知っている。

 ニルは抱きかかえながら、つむじや髪や頬に素早くキスをする。


 食事の時だって、食べ物を口にいれるふりをして、

 指で唇や顔にとても優しく触れる。

 そうするとリゼはキスされているみたいだと思う。


 それにふたりでデートしている時は

 いつもこっそりキスしているのだ。

 そしていつもこういう


「あー僕のお姫様は、早く15歳にならないかなぁ」


「ニル、焦らなくても、毎日いつも一緒なのだから、

 結婚しているのと変わらないでしょう?」


 リゼがそう言うと、ニルはリゼの頭を優しくなでで


「結婚はねぇ、今よりも、もっともっと甘いんだよ」


 そうしてまた叫ぶ


「早く結婚したいなぁ~」


 リゼはそんなニルが可愛いと思う。

 神龍さまを可愛いだなんて!

 きっと自分だけの特権だとリゼは少し誇らしく思う。


 おかげでアルヴィス侯爵家では、あちらこちらで恋の花が咲いていた。

 なにしろ、ニルとリゼリアが甘々で当てられた独身男たちが

 果敢に意中の女性にアタックし始めたのだ。


 女性陣も負けてはいないから、困ったのはアルである。

 なにしろ幼子を抱えた男やもめ。

 落としやすいと思われたらしい。


「おい、ニル。お前、いい加減にしろ。

 おまえのせいで、ゆっくり道も歩けやしない」


「お義父さんも、再婚すればよいのさ、シオン坊だって母親が必要だろう」


「何がお義父さんだ!結婚を認めた覚えはないぞ!」


「頼むから娘に求婚してくれと頼みこんできたのはそっちだろう?」


 アルとニルはこんなじゃれあいを楽しんでいる。


 でもニルは知っている。

 アルフレッドとノーラがお互いを意識しているのを。

 ノーラは子爵令嬢だ。

 跡取り娘でもないし、今のところ縁談もない。

 だけどアルフレッドは平民の騎士だから

 ふたりとも何も言わない。


 ただ、二人の会話は少しだけ気安い。

 そして少し優しい。

 それでいいと思っている。


 だから多分

 アルフレッドもノーラも結婚はしないんじゃないかとニルは思う。


 リゼの専任侍女の片割れセーラは少し違う。


 セーラの休日。

 騎士のオットーはいつもセーラをデートに誘う

 そんなある日、美しい泉のほとりでオットーは跪いて求婚した。


「ねぇ、セーラ結婚してください。絶対大切にする。

 それに僕と結婚したら、リゼリア姫にも一生お仕えできるでしょう?」


「あのね、オットー。私、リゼリア姫より先に結婚する気は無いの」


「じゃぁ、僕と結婚する気はあるってことだよな!」


 セーラが真っ赤になったので、オットーは大喜びだ。

 こうして一組のカップルが誕生した。


 オットーとセーラは結婚の約束をしている。


 そうすると、恋人のいない騎士たちは次は自分だと奮い立った。

 けれども、なかなか出会いがない。

 そこでリゼは地域を巻き込んでお祭りをすることにした。


 お祭りともなれば、心も浮き立つし

 騎士たちも女性を誘いやすくなる。

 名目はリゼが養女になったお祝いだ。


 アルヴィス家に新しい姫が誕生した。

 費用は全部ニルがだしたから、領土は大いに盛り上がった。

 お祭り開催中の3日間で、恋人が出来た若者も多かったから

 リゼリアは恋のキューピットとして領民に愛されることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ