第四章 エピローグ
天華のお気に入りの私室には、昼のやわらかな光が静かに差し込んでいた。
三国訪問で慌ただしかった日々がようやくひと息つき、
天華は縁側のぽかぽかとした座敷に、ふわりと心地よさそうに腰を下ろしていた。
天華「ほい、なんか静かで気持ちええんよ!」
蘭花はすぐさま横に添い座り、愛おしそうに天華の艶やかな髪をそっと指先で整えた。
蘭花「ふふふ……姫様の髪は……降り注ぐ昼の光を受けて、美しい天意の流れを描いております……。こうして整えて差し上げるのは、蘭花にとりまして当然にして最高の務めでございます……」
天華「ほい、なんか気持ちええんよ!」
薄花は反対側から天華の袖をそっと持ち上げ、小さな皺をひとつひとつ丁寧に伸ばした。その指先は、天華の着ている金糸の刺繍が施された袖がこの世の何よりも尊い宝物であるかのように、うっとりと優しく滑らせるのだった。
薄花「……そうでございます……姫様の袖が……静かに揺れるたび……新しい物語がやわらかく息を吸うようでございます……。形を整えるのは……自然の流れでございます……」
天華「ほい、なんか楽しいんよ!」
蘭花は冷えぬよう天華の肩に上質な羽織をそっとかけ、
薄花は天華の足元にふかふかの座布団を優しく差し出す。
蘭花「姫様の笑みは……この国全体をやわらかく温かく照らす至高の光でございます……。本日はこのまま、ゆっくりと休まれるのがよろしゅうございます……」
薄花「……そうでございます……姫様の呼吸が……静かに整うたび……世界中の角が取れてやわらかくなります……美しゅうございます……」
天華はお日様のように微笑んだ。
天華「ほい、ぽかぽかなんよ!」
その無垢で眩しい笑顔を見た瞬間、蘭花は胸にそっと手を当て、感極まったように目を細めた。
決して大げさではない。蘭花にとっては、ただ姫様の笑顔そのものが“偉大なる天意の兆し”に見えるのだ。
蘭花「ふふふ……姫様の笑顔は……天よりぽかぽかとした陽気を呼び寄せるのでございます……。光がこうして姫様に集うのは……すべて天意の流れでございます……」
薄花はそっと天華の袖をもう一度愛おしそうに整える。
薄花「……姫様の笑顔が……光の強ささえもやわらかくするのでございます……。ぽかぽかの陽気が……姫様のあたたかい呼吸に静かに寄り添うのでございます……」
蘭花「姫様の笑顔は……国を照らす慈愛の光でございます……。ぽかぽかとした陽気も……姫様を中心に世界を巡っているのでございます……」
薄花「……そうでございます……姫様の笑みが……世界を優しく包むのでございます……。光の眩しさも……姫様の紡ぐ物語を祝福して照らすのでございます……」
天華は、蘭花と薄花が織りなす甘やかな結界の中で、燦燦たる日差しをダイヤモンドの飛沫のように浴びていた。
その姿は国の至宝そのものであり、ただただ愛らしく、見る者すべての心を融かすような至高の笑みを零し続けていた。




