第七話 自然に即位本番なんよ
天華の“自然”が即位式本番にまで広がるんよ。
三国の外交まで揺れて、式場が自然にざわつく回なんよ。
◆ 即位式本番、自然に始まるんよ
朝の光が高窓から差し込み、磨き上げられた黒漆の床に静かに反射していた。
式場中央には皇位継承の儀にのみ使われる 天鏡台 が据えられている。
天鏡台は、
初代皇帝が“天を映した”とされる鏡を祀った台で、
鏡面には参列者の姿が淡く映り、
“皇統の正しさ”を示す象徴だった。
金糸で雲紋を織り込んだ垂れ幕が静かに揺れ、
空気そのものが張りつめているようだった。
国内の重臣に加え、近隣三国の大使・特使が古装礼服をまとい整然と並ぶ。
• 蒼嶺(礼節の国):深い青の蒼紋礼衣
• 白嶺(効率の国):雪のように白い白嶺正装
• 紅蓮(勢いの国):鮮やかな紅蓮礼衣
式場右側には、剛明が昨夜必死で書き上げた 式次第の巻物 が掲示されていた。
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◆ 《即位式 式次第》
一、入場
二、宣誓
三、授冠
四、拝礼
五、退場
官吏
「この五つを順番どおりに進めてこそ“即位式”なんよ……」
兵卒
「本番じゃけぇ絶対に飛ばしたらいけんのんよ……」
外交三国も式次第を静かに見つめていた。
蒼嶺大使
「礼節の美がここにありますな。」
白嶺特使
「効率的で無駄のない構造ですな。」
紅蓮大使
「勢いがあって好きですぞ!」
官吏
「勢いは関係ないんよ!!」
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◆ 天華、自然に本番を壊すんよ
天華は天鏡台の前に立った。
その衣装は、
皇位継承者だけが許される「翠羽礼装」。
深い翡翠色の羽根飾りが肩口から流れ、
胸元には皇統の紋章が淡く光り、
裾には風を受けて揺れる翠羽の刺繍が重ねられていた。
その姿は、
誰が見ても“皇位を継ぐ者”そのものだった。
ただし、表情だけが違った。
天華
「自然に本番進めるんよ!!」
式次第が一瞬で意味を失った。
官吏
「天華様ぁぁぁ!!
式次第を全部すっ飛ばしたんよ!!」
兵卒
「本番じゃけん自然に進めんのんよ!!」
外交ゲストたちがざわついた。
蒼嶺特使
「礼節が……崩れましたな……」
白嶺大使
「効率が……消滅しましたな……」
紅蓮大使
「勢いだけが残っておりますぞ!!
好きですぞ!!」
兵卒
「好きじゃないんよ!!」
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◆ 剛明、自然に手順を提示するんよ
剛明が慌てて天華の前に立つ。
剛明
「天華! 本番には手順があるんよ!
一、入場。
二、宣誓。
三、授冠。
四、拝礼。
五、退場。
この五つが揃って初めて本番なんよ!!」
蒼嶺大使
「美しい構造ですな。」
白嶺特使
「それを自然に壊すのですね。大胆ですな。」
紅蓮大使
「勢いがあって好きですぞ!」
剛明
「好きじゃないんよ!!」
天華
「自然に全部できるんよ!!
自然に即位したら自然に国が始まるんよ!!」
剛明
「始まらんのんよ!!」
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◆ 宣誓・授冠・拝礼、自然に崩壊するんよ
官吏
「天華様、宣誓は“自然に”できんのです!」
蒼嶺特使
「宣誓は礼節の根幹ですぞ。」
兵卒
「授冠も自然にできんのんよ!」
白嶺大使
「冠は効率的に置くものではありませんな。」
料理人
「拝礼は自然にしたら腰痛めるんよ!」
紅蓮大使
「勢いで拝礼したら倒れますぞ!」
天華
「自然に倒れんのんよ!」
剛明
「倒れるんよ!!」
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◆ 蘭花、自然に宇宙化するんよ
蘭花が静かに現れた瞬間――
天鏡台の鏡面がわずかに光ったように見えた。
蘭花
「翠羽礼装の光……
天鏡台が……星々の呼応を……」
琴雪(薬師)が前に出た。
琴雪
「蘭花。」
蘭花
「……はい。」
蒼嶺大使
「見事な統制力ですな……」
白嶺特使
「宇宙を封じる薬師……興味深い。」
紅蓮大使
「静の圧! 好きですぞ!」
剛明
「宇宙が出る前に止めてくれてほんま助かるんよ……」
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◆ 大后、自然に式場を締めるんよ
式場の奥――
天華の背後に位置する 皇統座 に、大后おばあちゃんが静かに座していた。
紫紋礼衣。
白銀の冠。
皇統珠の光。
杖を軽く鳴らすだけで式場の空気が張りつめた。
蒼嶺大使
「……威厳が桁違いですな。」
白嶺特使
「この場の統制は、あの一音で成り立っていますな。」
紅蓮大使
「紫の圧がすごいですぞ!」
大后
「天華。
本番は自然に進めんのんよ。
参列者に礼を示し、手順を守るんよ。」
天華
「自然に礼できるんよ!」
剛明
「できんのんよ!!」
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◆ 天華、自然に即位できるんよ
天華は翠羽礼装の裾を揺らしながら、
天鏡台の前で宣言した。
天華
「自然に即位できるんよ!!」
式場の空気が粉砕された。
蘭花
「ふふふ……流石姫様……
即位すら……自然に従わせるお方……
天命の流れ……宇宙の理……翠羽の覚醒……」
官吏
「宇宙に行ったんよ!!」
牧玄
「従わんのんよ!!
自然は従うんじゃなくて“そのまま”なんよ!!
姫様が動かしたらそれは自然じゃなくて“天華”なんよ!!」
剛明
「ほんまそれなんよ!!」
外交三国が一斉に揺れた。
蒼嶺特使
「礼節が……揺らいでおります……」
白嶺大使
「効率が……消滅しておりますな……」
紅蓮大使
「勢いだけが残っておりますぞ!!
好きですぞ!!」
兵卒
「好きじゃないんよ!!」
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◆ 即位式本番、自然に外交ごと揺らぐんよ
官吏
「本番が自然に進みすぎて……手順が全部崩壊しております……!」
天華
「自然に即位できるんよ!」
宮廷
「できんのんよ!!」
こうして、即位式本番は“自然に”外交ごと揺らいでいった。
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本番は自然には進まんのんよ。
けど天華は自然に進むと思っとるんよ。
ここから即位式の混乱が、自然に外交ごと広がるんよ。




