第九話 紅蓮歓迎会(夕夜)なんよ
夕陽が天鏡殿の金の柱に反射し、
赤い光が床に揺れていた。
紅蓮の七名──焔砂、香羅、烈風、光戦団長、光記官、光衛士、光僧──は、
その光を読みながら天華を待っていた。
天華が歩み出る。
髪が夕陽を受けて、ふわりと光った。
光戦団長「……光った……! 姫様の髪光……勝利……!」
光記官「光角度五度……強度高め……夕陽勝礼……!」
光衛士「勝利の反射を守る……誰も踏み込むな……!」
光僧「光が……揺れております……これは……天意の勝利……!」
焔砂「勢い……来た……!」
香羅「香の気配が……光に乗っております……」
烈風「光の勢い……強い……!」
天華「ほいじゃけぇ。今日は紅蓮のみなさんを歓迎するんよ。自然に、楽しく、勢いで食べてほしいんよ」
光戦団長「“勢いで食べる”……! これは紅蓮の戦勝礼……!」
光記官「勢いの周期……記録します……!」
光衛士「勢いの乱れを排除する……!」
光僧「勢いの揺れ……天意の勝利……!」
焔砂「勢い……最高……!」
香羅「勢いの香……美……!」
烈風「勢いの光……強い……!」
薄花は夕陽の反射を見つめ、静かに息をした。
薄花「……光の影が……小さく揺れて……夕の物語が息をしておるようでございます……」
香羅「……香の影……揺れ……! 薄花殿……香が……語りすぎております……!」
焔砂「語る勢い……好き……!」
烈風「語る光……強い……!」
琴雪は静かに立ち、光を受けた。
烈風「……琴雪殿の静……光と真逆……衝突……!」
光戦団長「静の光……勝利の対極……!」
光僧「対極の揺れ……浄化します……!」
兵卒「浄化せんでええんよ!! 光っただけなんよ!!」
光衛士「光の乱れ……敵意……!」
兵卒「敵意じゃないんよ!! 光っただけなんよ!!」
琴璃が袖を押さえると、光が揺れた。
琴璃「……光……揺れ……?」
光記官「揺れ角度三度……周期変化……!」
光僧「揺れの乱れ……祝詞を唱えます……!」
剛明「祝詞は唱えんでええんよ!! まだ勝ってないんよ!!」
蘭花は光の揺れを見て微笑んだ。
蘭花「ふふふ……光が揺れるたび、夕の理がひとつ形を成すのでございます……
姫様の御前では、光すらも未来へ歩み始めております……」
光記官「未来へ歩む光……! 古来の勝礼と一致……!」
光僧「未来の光……天意……!」
薄花は光の線を見つめた。
薄花「……光の線が……静かにほどけるたび……
紅の物語が……小さく息をしておるようでございます……
美しゅうございます……」
焔砂「……勢い……殴り合い……!」
香羅「香……殴り合い……!」
烈風「光……殴り合い……!」
天華は、紅蓮の料理──香辛料の強い肉、甘い果実、香りの酒──を見た。
天華「ほい、自然に香っとるだけなんよ。紅蓮のみなさん、香りが好きって言うとったけえね」
香羅「“香る”……! これは紅蓮の言葉……!」
光記官「香の周期……記録……!」
光僧「香の揺れ……天意の勝利……!」
焔砂「香……勢い……!」
烈風「香……光……強い……!」
文靖は酒の反射を見て筆を走らせた。
文靖「光の揺れ……酒の縁から二寸……記録します……」
光記官「光記録……勝礼の新項目……!」
兵卒「光も香も勢いも……記録せんでええんよ!! 飲むんよ!!」
光衛士「光の乱れ……敵意……!」
兵卒「敵意じゃないんよ!! 光っただけなんよ!!」
将軍が無言で酒を飲むと、光が強く反射した。
光戦団長「将軍殿の光……姫様の光と……重なりました……勝利……!」
光僧「光の重なり……神託の勝利……!」
蘭花「ふふふ……光が重なるたび、紅蓮の物語がひとつ結ばれていくのでございます……
姫様の御光は、勝利の未来を静かに導いておられます……」
薄花「……光の影が……静かに寄り添うて……
夜の物語が……生まれておるようでございます……
美しゅうございます……」
天華は箸を置いた。
天華「ほいじゃほい、自然に楽しく、よう光ってくれたんよ。紅蓮のみなさん、ありがとうね」
光戦団長「……姫様の“ありがとうね”……! 勝礼の締め……!」
光記官「勝礼の締め……記録……!」
光僧「光の終わり……祝詞の余韻……!」
焔砂「勢い……終わり……!」
香羅「香……終わり……!」
烈風「光……終わり……!」
兵卒「光も香も勢いも……全部勝手に終わらんでええんよ!! 終わるんは宴なんよ!!」
夜の灯火が天鏡殿に揺れ、
紅蓮の七名は満足そうに席を下がっていった。
天華「ほいじゃほい、紅蓮のみなさん、また来てね。光、よう走っとったんよ」
光戦団長「必ず……光を連れて参ります……!」
こうして、光で始まり、光で誤解し、光で勝利し、光で満足した紅蓮歓迎会は、
夜の灯火の中で静かに幕を閉じた。




