第八話 白嶺歓迎会(午後)なんよ
午後の光が天鏡殿の白い床に斜めに差し込み、
反射がゆっくり揺れていた。
白嶺の七名──雪音、玲霞、氷華、揺間導師、揺記官、揺衛士、揺僧──は、
その揺れを読みながら静かに並んでいた。
天華が歩み出る。
袖がふわりと揺れた。
揺間導師「……揺れた……! 姫様の袖揺れ……“間”が整っております……!」
揺記官「揺れ角度二度……周期は短め……午後の揺れ……!」
揺衛士「揺れの間を守る……誰も踏み込むな……!」
揺僧「揺れが……揃いかけております……これは……心の整い……!」
雪音「……余白……深い……」
玲霞「静の美が……揺れに宿っております……」
氷華「姫様の自然……美……!」
天華「ほいじゃけぇ。今日は白嶺のみなさんを歓迎するんよ。自然に、静かに、余白を楽しんでほしいんよ」
揺間導師「“余白を楽しむ”……! これは白嶺の正義……!」
揺記官「余白の周期……記録します……!」
揺衛士「余白の乱れを排除する……!」
揺僧「余白の整い……天意の調和……!」
雪音「……余白……語る……」
玲霞「静の美が……さらに深まる……」
氷華「余白……美……!」
薄花は光の反射を見つめ、静かに息をした。
薄花「……光の余白が……小さく揺れて……午後の物語が息をしておるようでございます……」
雪音「……余白外交……! 薄花殿……余白が……語りすぎております……!」
玲霞「光の揺れ……静の美が……乱れ……!」
氷華「乱れ……美……!」
琴雪は静かに立ち、反射を受けた。
玲霞「……琴雪殿の静……美……!」
揺間導師「静の揺れ……間が整いました……式典開始……!」
兵卒「式典は始まらんでええんよ!! まだ挨拶なんよ!!」
揺衛士「揺れの乱れ……敵意……!」
兵卒「敵意じゃないんよ!! 揺れただけなんよ!!」
琴璃が袖を押さえると、反射が揺れた。
琴璃「……光……揺れ……?」
揺記官「揺れ角度三度……周期変化……!」
揺僧「揺れの乱れ……浄化します……!」
剛明「浄化せんでええんよ!! 揺れただけなんよ!!」
蘭花は反射の揺れを見て微笑んだ。
蘭花「ふふふ……光が揺れるたび、午後の理がひとつ形を成すのでございます……
姫様の御前では、余白すらも未来へ歩み始めております……」
揺記官「未来へ歩む余白……! 古来の揺れ礼と一致……!」
揺僧「未来の揺れ……天意……!」
薄花は反射の線を見つめた。
薄花「……光の線が……静かにほどけるたび……
白の物語が……小さく息をしておるようでございます……
美しゅうございます……」
雪音「……余白……殴り合い……」
氷華「美……殴り合い……!」
玲霞「静の美……揺れの美……衝突……!」
天華は、白い器に盛られた料理を見た。
薄い塩、薄い香り、余白の盛り付け。
天華「ほい、自然に薄いだけなんよ。白嶺のみなさん、余白が好きって言うとったけえね」
揺間導師「“薄い”……! 余白の極み……!」
揺記官「薄さの周期……記録……!」
揺僧「薄さ……心の整い……!」
雪音「余白……語る……」
玲霞「静の美……深まる……」
氷華「薄い……美……!」
文靖は器の余白を見て筆を走らせた。
文靖「余白……器の縁から一寸……記録します……」
揺記官「余白記録……揺れ礼の新項目……!」
兵卒「余白は記録せんでええんよ!! 食べるんよ!!」
揺衛士「余白の乱れ……敵意……!」
兵卒「敵意じゃないんよ!! 余白なんよ!!」
将軍が無言で一口食べると、反射が揺れた。
揺間導師「将軍殿の揺れ……姫様の揺れと……重なりました……!」
揺僧「揺れの重なり……天意の調和……!」
蘭花「ふふふ……揺れが重なるたび、白嶺の物語がひとつ結ばれていくのでございます……
姫様の御揺れは、余白の未来を静かに導いておられます……」
薄花「……光の揺れが……静かに寄り添うて……
午後の物語が……生まれておるようでございます……
美しゅうございます……」
天華は箸を置いた。
天華「ほい、自然に静かで、よう揺れてくれたんよ。白嶺のみなさん、ありがとうね」
揺間導師「……姫様の“ありがとうね”……! 揺れ礼の締め……!」
揺記官「揺れ礼の締め……記録……!」
揺僧「揺れの終わり……心の余韻……!」
雪音「余白……終わり……」
玲霞「静の美……終わり……」
氷華「美……終わり……!」
兵卒「揺れも余白も美も……全部勝手に終わらんでええんよ!! 終わるんは宴なんよ!!」
天鏡殿の反射は、午後の光の中でゆっくり薄れながら、
白嶺の七名は満足そうに席を下がっていった。
天華「ほいじゃほい、白嶺のみなさん、また来てね。余白、よう揺れとったんよ」
揺間導師「必ず……揺れを整えて参ります……!」
こうして、揺れで始まり、揺れで誤解し、揺れで満足した白嶺歓迎会は、
静かに幕を閉じた。




