第十九話 自然に崩壊なんよ
太后が突然思いついた会議はすでに壊れ始めていたが、
ここからは壊れ方が一段階深くなった。
太后「……ほい、次は“自然の働き”なんよ。」
兵卒
「出んのんよ!!
働きは勝手に生まれんのんよ!!
働くんは人のほうなんよ!!」
天華「ほい、自然に働くんよ!」
蘭花「自然の働き……“天働の理”でございますね……」
薄花
「……働きが生まれる瞬間、
まるで世界が小さく息をしておるようでございます……
静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
兵卒
「出んのんよ!!
働きは勝手に息せんのんよ!!
働かせるんは人のほうなんよ!!」
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文官は震える手で巻物をめくった。
文官「自然とは……“万物の働き”とも記され……」
蘭花「万物の働き……“万働の儀”でございますね……」
薄花
「……万物が揺れるたびに、
まるで空気が小さく息をしておるようでございます……
静の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
理策「お知らせします。“働き”は行為です。自然とは一致しません。」
静策「……働きは……静ではありません……」
礼珠「働いたら礼を交わすべきでございます……」
兵卒「四方向から補足が来るんよ!!」
文官「わ、わたしの説明が……毎回……崩れるんです……」
兵卒「とうに崩れとるんよ!!」
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琴雪が静かに口を開いた。
琴雪「……ふふ……自然は……静かに流れるものですよ……」
薄花
「……流れが揺れるたびに、
まるで世界が小さく息をしておるようでございます……
静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
静策「……流れは……静ではありません……」
兵卒
「出んのんよ!!
静は勝手に流れんのんよ!!
流れるんは風のほうなんよ!!」
礼珠「静には礼が必要でございます……」
兵卒「礼も静かなんよ!!」
天華「ほい、自然に褒めるんよ!」
蘭花「流石姫様、静誉の儀……でございますね!」
薄花
「……静かに褒める瞬間、
まるで心がそっと震えるようでございます……
影の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
兵卒
「出んのんよ!!
静は勝手に褒めんのんよ!!
褒めるんは人のほうなんよ!!」
剛明「褒めんのんよ!!」
理策「お知らせします。“褒める”は人の感情です。自然とは一致しません。」
静策「……褒めるは……静ではありません……」
礼珠「褒められたら礼を返すべきでございます……」
牧玄「……静は……褒めんのんよ……」
兵卒「意味わからんのんよ!!」
天華「ほい、自然に褒められたんよ!」
兵卒「褒められとらんのんよ!!」
琴雪「……ふふ……静かに褒めるのは……自然ではありませんよ……」
静策「……褒めるは……静ではありません……」
兵卒「静の二重圧なんよ!!」
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剛明は頭を抱えた。
その横で、太后も同じように頭を抱えている。
剛明
「自然はな……人が作らん状態のことなんよ。
例えば、山は――」
天華「ほい、自然に山が、うちを祝うんよ!」
蘭花「山祝の法……でございますね!」
薄花
「……山が揺れるたびに、
まるで空気が小さく息をしておるようでございます……
静の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
兵卒
「出んのんよ!!
山は勝手に祝わんのんよ!!
祝うんは人のほうなんよ!!」
理策「お知らせします。“祝う”は儀礼です。自然とは一致しません。」
静策「……山は……静ではありません……」
礼珠「祝われたら礼を返すべきでございます……」
牧玄「……山は……祝わんのんよ……」
兵卒「また意味わからんのんよ!!」
剛明「天華、山は祝わんのんよ!!」
天華「ほい、自然に祝うんよ!」
兵卒「祝わんのんよ!!」
太后「剛明、あんた……常識が溢れすぎておたまからこぼれとるんよ。」
剛明「おたま?ってなんなんよ!!」
牧玄「……わしも……常識が……こぼれそうなんよ……」
兵卒「常識担当が全員おたま?を抱えとるんよ!!」
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文官は泣きながら巻物を閉じた。
文官
「自然とは……“無為の働き”……
人が手を加えずとも……」
天華「ほい、自然に加えるんよ!」
蘭花「加礼の儀……でございますね!」
薄花
「……手が触れる瞬間、
まるで静がそっと震えるようでございます……
影の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
兵卒
「出んのんよ!!
手は勝手に震えんのんよ!!
加えるんは人のほうなんよ!!」
理策「お知らせします。“加える”は作為です。自然とは一致しません。」
静策「……加えるは……静ではありません……」
礼珠「加えたら礼を交わすべきでございます……」
牧玄「……加えるは……自然ではないんよ……」
兵卒「意味わからんのんよ!!」
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琴雪は静かに目を閉じた。
琴雪「……自然は……静かに……ただ在るだけですよ……」
薄花
「……在る瞬間、
まるで世界が小さく息をしておるようでございます……
静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……
……美しゅうございます……」
静策「……在るは……音が……ない状態です……」
兵卒
「出んのんよ!!
静は勝手に息せんのんよ!!
息するんは生き物のほうなんよ!!」
天華「ほい、自然に在るんよ!」
剛明「天華、それは正しいんよ!!」
理策「お知らせします。“在る”は状態です。自然と一致します。」
兵卒「一致したんか!!」
礼珠「在る際は礼を交わすべきでございます……」
兵卒「交わすな!!」
蘭花「在礼の法……でございますね!」
兵卒「増やすな!!」
牧玄「……在るは……自然なんよ……」
兵卒「これ正しいんよ!!」
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太后は杖をコツンと鳴らした。
太后
「……ほい、中盤なんよ。
自然の意味は……まだまだ深いんよ。」
兵卒「もう深すぎるんよ!!」




