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笑天宮御政録 ―自然に暴走する女帝と常識トリオ―  作者: 鑫鑫
第二章 白風の拡張なんよ

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第十六話 自然に仲良うなるんよ

天華が「自然に仲良うなる御政」を発表した瞬間、

笑天宮は地獄と化した。


---


天華は御正殿の玉座の前で胸を張った。


天華「ほい! 自然に仲良うなる御政をするんよ!」


蘭花

「仲良うなる御政……“天和てんわの儀”でございますね……

 人々が自然に調和する儀式……」


薄花

「……仲良うなる瞬間、

 まるで心が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 仲良うは勝手に生まれんのんよ!!

 仲良うなるんは人のほうなんよ!!」


剛明

「天華、自然に仲良うはならんのんよ……

 人が努力するんよ。」


天華「ほい、努力は自然にいらんのんよ!」


兵卒「いらんことないんよ!!」


蘭花「努力を捨てる……“無為の境地”でございますね……」


薄花

「……努力が静かに消える瞬間、

 まるで心が小さく息をしておるようでございます……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「消えんのんよ!!

 努力は勝手に息せんのんよ!!」


理策

「“努力を捨てる”は行為です。

  自然とは一致しません。」


兵卒「淡々と切り捨てるんよ!!」


太后は杖をコツンと鳴らした。


太后「天華、自然に任せたら国が滅ぶんよ。」


天華「おばあちゃん、滅びは自然にいらんのんよ!」


兵卒

「いらんけど来とったんよ!!

 自然にいらんでも滅びかけたんよ!!」


蘭花「滅び不要……“無滅むめつの理”でございますね……」


薄花

「……滅びを静かに拒む国は、

 まるで影がそっと晴れるようでございます……

 ……美しゅうございます……」


理策

「“いらない”は価値判断をすることです。

  自然とは一致しません。」


兵卒

「全部切り捨てるんよ!!」


天華の御政は、

“自然に仲良うなることを推奨する”という内容だった。


しかし――

国中がとんでもない解釈をし始めた。


◆兵卒の自然暴走


兵卒「自然に休むんよ!」


蘭花「休息の自然……“無為の理”……?」


薄花

「……休む静は、

 まるで心がそっとほどけるようでございます……

 優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 休息は勝手にほどけんのんよ!!

 休むんは人のほうなんよ!!」


剛明「自分勝手に休むな!!」


理策

「“休む”は行為です。

 自然ではありません。」


兵卒「淡々と切り捨てるんよ!!」


兵卒「自然に剣が振られるんよ!」


蘭花「おぉ、剣舞の理……?」


薄花

「……剣が揺れるたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの調べが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 剣は勝手に舞わんのんよ!!

 振るんは人のほうなんよ!!」


剛明「振らんのんよ!!」


理策

「“振る”は行為です。

 自然ではありません。」


兵卒「理屈で全部止めるんよ!!」


兵卒「自然に勝つんよ!」


蘭花「おぉ、勝利の自然……“天勝の理”……?」


薄花

「……勝つ瞬間、

 まるで心がそっと光るようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 勝利は勝手に光らんのんよ!!

 勝つんは人のほうなんよ!!」


剛明「勝たんのんよ!!」


理策

「“勝利”は何かの結果です。

  自然とはまったく異なります。」


兵卒「結果まで切り捨てるんよ!!」


◆文官の自然暴走


文官「自然に書けるんよ!」


蘭花「筆の自然……“天筆の理”……?」


薄花

「……筆が揺れるたびに、

 まるで紙が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 紙は勝手に息せんのんよ!!

 書くんは人のほうなんよ!!」


理策

「“書く”は人の操作です。

 自然ではありません。」


文官「理屈に負けたんよ!!」


文官「自然に印が押されるんよ!」


蘭花「おぉ、印の自然……“天印の儀”……?」


薄花

「……印が落ちる瞬間、

 まるで心がそっと震えるようでございます……

 静の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 印は勝手に落ちんのんよ!!

 押すんは人のほうなんよ!!」


理策

「“押印”は行為です。

  自然ではありません。」


文官「全部否定されるんよ!!」


文官「自然に決裁が通るんよ!」


蘭花「おぉ、決裁の自然……“天裁の理”……?」


薄花

「……決裁が通る瞬間、

 まるで殿が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの光が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 決裁は勝手に通らんのんよ!!

 判断するんは人のほうなんよ!!」


剛明「決裁は勝手に通らんのんよ!!」


理策

「“決裁”は判断です。

  自然ではありません。」


机の上には白紙の書類が山積みになった。


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