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笑天宮御政録 ―自然に暴走する女帝と常識トリオ―  作者: 鑫鑫
第二章 白風の拡張なんよ

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第十五話 観察の実験するんよ

天華の「自然に〇〇するんよ!」を理解するため、

剛明は、“自然観察の実験”を提案した。

しかし、それは地獄の始まりだった。


---


剛明

「天華……天華の言う自然の意味を知るために、

 “自然に動くもん”を見せてくれ。」


天華「ほい、自然に見せるんよ!」


蘭花

「自然の観察……“天理探究”でございますね……

 古来より、天の動きを観察する儀式が……」


薄花

「……観察の静は、

 まるで世界が小さく息をしておるようでございます……

 影の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 観察は勝手に儀式にならんのんよ!!

 人が観るんよ!!」


琴雪「……ふふ……観察は……静かですよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


後列で控えていた文官が、

わずかに剛明へ視線を送った。

剛明は自覚なく頷いた。


理策が静かに前へ出る。


理策

「“観察”は対象を観る行為です。

 “儀式”とは異なります。

 意味が違います。」


兵卒「誰なんよ!? 補足になってないんよ!!」



◆第一実験:石の自然


剛明

「天華、まずは石じゃ。

 自然に動くもんは、何なのか見せてくれ。」


天華は石を指さした。


天華「ほい、自然に石が空を飛ぶんよ!」


しかし、石は動かない。


蘭花

「石が空を飛ぶ……“飛石ひせきの理”……

 古典に、石が天に帰るという――」


薄花

「……石が光を受けるたびに、

 まるで心が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの夢が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 石は勝手に飛ばんのんよ!!

 人が投げて飛ばすんよ!!」


天華

「石は、うちのこと好きなんよ!

 だから、あっちに行かんのよ。」


蘭花「石が心を寄せる……“石恋せきれんの理”……?」


薄花

「……恋する石は、

 まるで静がそっと震えるようでございます……

 影の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 石は恋せんのんよ!!

 好きになるんは人のほうなんよ!!」


理策

「“飛石”は飛ぶ石という意味になります。

 “恋”とは関係しません。

 別の意味です。」


兵卒「解説になっとらんが、淡々と切り捨てるんよ!!」


剛明は頭を抱えた。



◆第二実験:影の自然


剛明

「天華、次は影じゃ。

 自然に動くもんを見せてくれ。」


天華「ほい、自然に影がついてくるんよ!」


天華の影は、天華の動くとおりに動いた。


蘭花「ふふふ……流石姫様……影に慕われております ……」


薄花

「……影が揺れるたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 影は勝手に動かんのんよ!!

 形作るんは太陽のほうなんよ!!」


理策

「影は、勝手にうごきません。

 太陽が動いたから影が動いたように見えてます。」


兵卒「補足になっとらんよ。太陽も動いてないんよ!!」



◆第三実験:雲の自然


剛明

「天華、次は雲じゃ。

 自然に動くもんを見せてくれ。」


天華は空を見上げ、

ゆっくり流れる雲を指さした。


天華「ほい、自然に動きよるんよ!」


兵卒

「出んのんよ!!

 雲は勝手に動いとるんじゃなくて、

 風に流されとるんよ!!

 自然に動くんは天華様のほうなんよ!!」


蘭花はすぐ深読みを始めた。


蘭花

「雲が流れる……“雲流うんりゅうの理”……

 天が地へ想いを寄せる象徴でございますね……」


薄花

「……雲が揺れるたびに、

 まるで空が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 空は勝手に息せんのんよ!!

 息しとるんは兵卒のほうなんよ!!」


天華はさらに胸を張った。


天華「ほい、自然に雲が地平線に消えるんよ!」


兵卒

「消えとらんのんよ!!

 ただ遠くに行っとるだけなんよ!!

 地平線は境界なんよ!!」


蘭花

「雲が地平線へ……

 “雲境うんきょうの舞”……?」


薄花

「……地平線へ消える雲は、

 まるで心がそっと寄り添うようでございます……

 静の中に、ひとつの優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「寄り添わんのんよ!!

 寄り添うんは人のほうなんよ!!

 雲はただ遠ざかっとるだけなんよ!!」


理策は淡々と補足した。


理策

「雲は“消えたように見える”だけです。

 視界の限界で地平線に重なっただけです。

 “寄り添う”とは関係しません。

 意味が異なります。」


兵卒

「補足になっとるんよ!でも、淡々と切り捨てるんよ!!

 視界の限界とか急に現実なんよ!!

 わしの心が、もう限界なんよ!!」


剛明も、もう限界だった。


剛明

「天華……雲は……

 ただ風で流れとるだけなんよ……

 自然に動いとるように見えるだけなんよ……」


天華「ほい、自然に見えるんよ!」


兵卒

「それは正しいんよ!!

 見えるだけなんよ!!

 自然に見えるんは“なんとなく”なんよ!!」


---


◆第四実験:風の自然


剛明

「はぁ、天華、最後は風じゃ。

 自然に動くもんを見せてくれ。」


天華は胸を張り、

庭を吹き抜ける風を指さした。


天華「ほい、自然に風が吹いとるんよ!」


兵卒

「出んのんよ!!

 風は勝手に吹いとるんじゃなくて、

 気圧差で流れとるんよ!!

 自然に吹いとるんは天華様のほうなんよ!!」


蘭花はすぐ深読みを始めた。


蘭花

「風が吹く……“風流ふうりゅうの理”……

 天が地へ息を送る象徴でございますね……」


薄花

「……風が揺れるたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 空気は勝手に息せんのんよ!!

 息しとるんは兵卒のほうなんよ!!」


天華はさらに胸を張った。


天華「ほい、自然に風が遠くへ流れるんよ!」


兵卒

「流れとるだけなんよ!!

 風は気圧差で移動しとるだけなんよ!!

 自然に遠くへ行くんは天華様のほうなんよ!!」


蘭花

「風が遠くへ……

 “風境ふうきょうの舞”……?」


薄花

「……遠くへ流れる風は、

 まるで心がそっと旅立つようでございます……

 静の中に、ひとつの優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「旅立たんのんよ!!

 旅立つんは人のほうなんよ!!

 風はただ流れとるだけなんよ!!」


理策は淡々と補足した。


理策

「風は“遠くへ行く”のではなく、

 気圧差に従って流れているだけです。

 “旅立つ”とは関係しません。

 意味が異なります。」


兵卒

「淡々と切り捨てるんよ!!

 気圧差とか急に現実なんよ!!

 わしの心が気圧差で揺れとるんよ!!」


剛明は、とっくに限界超えていた。


剛明

「天華……風は……

 ただ空気が流れとるだけなんよ……

 自然に動いとるように見えるだけなんよ……」


天華「ほい、自然に見えるんよ!」


兵卒

「それは正しいんよ!!

 見えるだけなんよ!!

 自然に見えるんは“なんとなく”なんよ!!」



◆実験結果:自然は観察すると余計分からん


剛明

「ふぅ、天華……自然を……

 観察したら余計分からんようになったんよ……」


太后

「天華、自然は勝手に動かんのんよ。

 次は“自然の御政”を考えるんよ。」


天華「ほい、自然に御政ができるんよ!」


蘭花「おぉ、自然の御政……“天華様の御心のままに”……」


薄花

「……御政の静は、

 まるで世界が小さく息をしておるようでございます……

 影の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 御政は勝手にできんのんよ!!

 決めるんは人のほうなんよ!!」


琴雪「……ふふ……御政は……静かですよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


こうして――

自然地獄はさらに深まった。

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