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笑天宮御政録 ―自然に暴走する女帝と常識トリオ―  作者: 鑫鑫
第二章 白風の拡張なんよ

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第十四話 自然はわからんのんよ

天華が連発した「自然に〇〇するんよ!」

その意味が誰にも分からず、ついに問題視される日が来てしまった。


笑天宮の朝。

兵卒たちが訓練場を掃除していると、

天華が袖をひらひらさせながら歩いてきた。


天華「ほい、自然に朝が来たんよ!」


蘭花「朝が自然に来る……“天朝の理”でございますか……?」


薄花

「……朝光が差すたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 朝は勝手に息せんのんよ!!

 地球が周り朝が来るんよ!!」


兵卒(小声)「自然に言うとるだけなんよ……」


そこへ剛明が歩いてきた。

顔がちょっと疲れている。


剛明

「天華……そろそろ“自然”の意味を教えてくれんか……

 最近、兵卒が“自然に休むんよ”言うてサボるんよ……」


兵卒「す、すみません。もう一人の兵卒です……」


天華「ほい、自然に休むんよ!」


蘭花「休息の自然……“無為の理”でございますか……?」


薄花

「……休む瞬間、

 心がそっとほどけるようでございます……

 静の中に、ひとつの安らぎが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 休息は勝手にほどけんのんよ!!

 人は休まんといけんのんよ!!」


---


深い紫の衣をまとった太后が、

杖を“コツン”と鳴らしながら歩いてきた。


太后「天華、自然は勝手に動く力じゃないんよ。」


天華「ほい、自然に動くんよ!」


蘭花「勝手に動く……“天動の理”でございますか……?」


薄花

「……自然が揺れるたびに、

 まるで世界が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの調べが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 自然は勝手に動かんのんよ!!

 動かすんは物理のほうなんよ!!」


太后はため息をついた。


太后

「天華、自然はな……

 人が手を加えん状態のことなんよ。」


天華「ほい、自然に手が加わるんよ!」


蘭花「手が加わる自然……“天補の理”……?」


薄花

「……手が触れる瞬間、

 まるで静が小さく震えるようでございます……

 心がそっと揺れるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 自然に手は加わらんのんよ!!

 加えるんは人のほうなんよ!!」


蘭花

「天華様……自然とは……

 “天の理”でございますか……?」


兵卒

「出んのんよ!!

 自然は天の理じゃないんよ!!

 理を決めるんは学問のほうなんよ!!」


蘭花「では……“心の無為”……?」


兵卒

「出んのんよ!!

 無為は自然の意味じゃないんよ!!

 ただの哲学なんよ!!」


蘭花「“天地の調和”……?」


兵卒

「出んのんよ!!

 調和は自然の定義じゃないんよ!!

 勝手に調和せんのんよ!!」


天華「ほい、自然に調和するんよ!」


薄花

「……調和の瞬間、

 まるで世界が小さく微笑むようでございます……

 静の中に、ひとつの優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 世界は勝手に微笑まんのんよ!!

 調和するんは人のほうなんよ!!」


太后は蘭花を見たが、

完全にスルーした。


---


琴雪が静かに歩いてきた。

白い衣がふわりと揺れる。


琴雪「……ふふ……自然は……静かですよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


天華「ほい、自然に静かなんよ!」


蘭花「静の自然……“天静の理”……?」


薄花

「……静が深まるたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 殿の影に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 静は勝手に息せんのんよ!!

 静かにするんは環境のほうなんよ!!」


琴雪は兵卒を見て、ふわりと微笑んだ。


琴雪「……兵卒さん……声が大きいですよ……」


兵卒「す、すみません……」


兵卒(小声)「ほんまに怖いんよ……」


---


剛明は、自然の意味の説明をはじめた。


剛明

「天華、自然はな……

 人が手を加えずに本来備わっているありのままの姿、

 例えば、風は“気候の流れ”で吹いとるんよ。

 人が決めとるんじゃないんよ。」


その瞬間、

後列に控えていた文官が、

周囲には気づかれないほどのわずかな視線を剛明へ送った。


剛明は自覚なく軽く頷いた。


剛明の副官、理策が静かに前へ出る。


理策

「“気候の流れ”は自然現象を指します。

 “自然”とは人が手を加えない状態です。

 意味が異なります。」


天華「ほいじゃけぇ、自然にわしが決めとるんよ!」


蘭花「天華様が風を決める……“天風の理”……?」


薄花

「……風が揺れるたびに、

 まるで空気が小さく息をしておるようでございます……

 静の中に、ひとつの調べが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


天華「そうなんよ、風がうちの名前を呼ぶんよ!」


蘭花「風名の儀……?」


薄花

「……名を呼ぶ風は、

 まるで心がそっと触れるようでございます……

 静の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 風は名前呼ばんのんよ!!

 呼ぶんは人のほうなんよ!!」


理策

「“風名”とは風の名です。

 神風、春一番などのことですよ。

 “風”は気候の流れです。

 別の意味です。」


兵卒「淡々と切り捨てるんよ!!」


天華「ほい、神風は味方なんよ!」


蘭花「御加護の風……?」


薄花

「……風が寄り添う瞬間、

 まるで世界が小さく微笑むようでございます……

 静の中に、ひとつの優しさが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 風は味方せんのんよ!!

 寄り添うんは人のほうなんよ!!」


琴雪「……ふふ……風は……味方ではありませんよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


---


剛明

「天華……自然の意味が分からんのんよね……

 兵卒も文官も料理長も、

 “自然に〇〇するんよ”言うて仕事せんようになっとるんよ……」


太后「このままじゃ国が滅ぶ、かもしれん。」


天華「おばあちゃん、神風が味方じゃけぇ、滅ばんのんよ!」


蘭花「永天の理……?」


薄花

「……滅びの縁に立つ瞬間、

 まるで静が小さく震えるようでございます……

 影の中に、ひとつの祈りが生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 自然は勝手に滅ばんのんよ!!

 滅ぶんは国のほうなんよ!!」


琴雪「……ふふ……自然は……滅びませんよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


蘭花「ふふふ、流石姫様、自然理解……“天理の悟り”……?」


薄花

「……理解の瞬間、

 まるで心がそっと開くようでございます……

 静の中に、ひとつの光が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 自然は勝手に分からんのんよ!!

 分かるんは人のほうなんよ!!」


---


太后

「天華、自然は自然に分からんのんよ。

 自然を観察するんよ。」


天華「ほい、自然に観察するんよ!」


蘭花「天理探究……でございますか?」


薄花

「……観察の静は、

 まるで世界が小さく息をしておるようでございます……

 影の中に、ひとつの物語が生まれるんよ……

 ……美しゅうございます……」


兵卒

「出んのんよ!!

 観察は勝手に起こらんのんよ!!

 観察するんは人のほうなんよ!!」


琴雪「……ふふ……観察は……静かですよ……」


兵卒「静かすぎて怖いんよ!!」


こうして、天華の自然は誰にも止められんかったんよ。


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