67.探索者の称号
探索者の称号には、隠れたランクがある。
どんな称号でもそれがあれば一般人とは異なりステータスを得て、ダンジョン探索ができる。レベルが上がればステータスが上がり、より強力なモンスターと戦うことができる。
称号は、探索者の役割を担うジョブとして「一般職」「上級職」「特級職」の3つに分けられる。
【一般職】(探索者全体の95%)
職業例: 重戦士、剣士、魔法使い、治癒士、狩人(戦闘職)/スカウト、荷役(支援職)など
特徴: レベルは上がりやすいが、ステータスの上限が存在する。
【上級職】
職業例: 侍、聖騎士、狙撃手、武闘家、万能荷役など
特徴: 一般職に比べ若干レベルは上がりにくいものの、ステータスやスキルで一般職を軽く凌駕する。
【特級職】
職業例: 勇者、聖女、賢者、忍者(くノ一含む)など
特徴: 1世代に一人だけと言われ、解明されていない部分も多い強力無比な称号。
◇◇◇
【瑛沙の東翼】は元々、ダンジョン学園の同級生で特級職の「勇者」と「聖女」、上級職の「侍」と「聖騎士」が集まって組まれたパーティである。そこに斥候と魔法攻撃を補完するため、スカウトと魔法使いを補充して結成された。
勇者のレベルが上がらないという予想外のトラブルもあり、いきなり初級ダンジョンでつまずいたが、勇者が脱落してからは順調に初級・中級をクリアして、史上最速で上級パーティに昇格した。
上級となり、レベルアップが早く高レベルとなってパーティを牽引していた一般職の2人のステータスが伸びなくなり、上級ダンジョン討伐に足踏みすることになる。
長い年月を経て上級職の「侍」のレベルが上がり、日本でも有数のアタッカーへと成長することで上級をクリア。現在は超級ダンジョン【姫路城】に挑戦中である。
◇◇◇
「俺たちのステータスはカンストしてしまっている。だが、【姫路城本丸】では雑魚敵にすらダメージが通らないんだ」
岩沙が、悔しさを隠さずに言う。
「上級ダンジョンなら一掃できる私の魔法も、あまり効かなくなったのよね」
東も、涙を浮かべながら言う。
「東悟は、そんな敵を一撃で倒すんだよ。もう俺たちとは住む世界が違う……」
「……本職じゃないはずの翼や沙織の攻撃魔法が、私の魔法より威力があったりね……」
「事情はわかった。俺もレベルが上がらなかった頃……気持ちは分かるよ」
パーティの足手まといになるのはツラい。それが思い入れのあるパーティなら、なおさらだ。
「それで、これからどうするんだ?」
「ダンジョン学園で講師の仕事があってだな」
確かに超級ダンジョンを経験して挫折も味わっている岩沙や東だったら、良い先生になりそうだな。
「私は憧れの専業主婦かな」
「はは、講師の稼ぎってそんなにだけどな」
もう夫婦漫才が始まりそうだね。
「まあ、お前らなら金無くなったら助っ人とかでも稼げるだろ」
「ははは、そうだな」
◇◇◇
「あ、でも東悟たちは納得しているのか? お前らが引退すること」
「いや、この後姫路に行ってから話すんだけどな」
「岩沙は斥候職だから戦闘以外で役に立つことも多いだろうし、東の魔法だって攻撃だけじゃないだろ」
「まあ、確かに今まではそれでいけてた」
「それにそんな大切なこと、パーティメンバー以外の俺たちに先に話すなんて筋が通らないよ」
「そう言うなって。それにアイツらも気づいてる」
岩沙がそう言ったとき、ふとサオリの顔を思い出した。
2人の話題を振ったときに見せた、あの寂しそうな顔を……。
「それにな、瑛雅。俺は……いや、俺たち【瑛沙の東翼】の全員は、お前をパーティメンバーだとずっと思っているよ」
……なんだよ、それ。泣いちゃうだろ。
頬に涙が伝わる。
【瑛沙の東翼】は俺が抜けたのに、パーティ名をずっと変えなかった。苦戦しようが、一人少ない人数でずっと頑張ってきた。
「戻ってこい、瑛雅! 『雪の使徒』は3人だろ。俺たちが抜けたら、アイツらも3人だ。合流すれば6人だ!」
パーティメンバーは6人が基本である。それ以上は狭いダンジョンでは戦いにくいし、連携が悪くなってしまう。
「引退する私たちが『戻ってこい』って言うのは変だけど……沙織たちを助けてあげてほしいの」
ちょっと説明が長くなってしまった。
エイガさん、どうするの?




