66.意外な訪問者
明け方に目が覚めた。
何も着ていない状態で寝てしまっていた。文字通り精根尽き果てたという感じだった。
仰向け横たわる俺の片側には、黒髪ロングで、可愛いけど割とメリハリある感じで、とっても柔らかかった。
片側には栗色のショートカットで、ボーイッシュな感じだけどめちゃめちゃ可愛くて、小柄でスレンダーな美少女。
3人で肌を寄せ合って眠っていたんだ。
ふぅ……とっても暖かくて最高だったけど……。
2人のこと大切にしよう。決意と言うか何と言うか……。
◇◇◇
「ん、うぅん……」
シーナちゃんが目を覚ましたようだ。気怠そうな声。昨日はハジメテを捧げてくれた。⋯無理させてしまったかもしれない。
「おはよう」
と言うと、笑顔になってくれた。
「お、おはようございます」
「シーナちゃん。あのさ、ちゃんと言うね」
昨日、お互いの気持ち確かめ合いはしたけれど。
「何ですか? エイガさん」
「俺、シーナちゃんのこと、ちゃんと女性として好きだからね」
「嬉しいです。私はずっと、ホントにずっと好きだったんですよ」
「ゴメン。約束は必ず守るよ」
約束……。シーナちゃんが子どもの頃、俺のお嫁さんにするという約束。
ずっと思い出せなかったけど、昨日の夜、思い出すことができた。
「お願いしますよ。絶対ですからね!」
シーナちゃんは弾ける笑顔を見せてくれた。
幸せだなぁ、と。
「むぅ、もう朝かの」
イロイロとご教示いただいた師匠のお目覚めである。ありがとう、ユキちゃん!
◇◇◇
それから3人で一緒にお風呂に入ったりしながら(朝、エキストラステージとなったのは内緒ね)、昼過ぎにコーヒータイムと寛いでいると、訪問者があった。
男女2人組で、懐かしい顔。
俺が学生の頃、同級生と組んだパーティ【瑛沙の東翼】のメンバー。斥候職の岩沙歩と、魔法使いの東希美だった。
一旦リビングに通して、ソファに座ってもらう。
「久しぶりだな。どうしたんだ、2人して」
「突然すまんな」
岩沙が申し訳なさそうに言う。休みで姫路から帰ってきていて、近くを通りかかったそうだ。
「いや、来てくれて嬉しいよ。この前助っ人に入った時は会えなかったからさ」
「三雲君がそう言ってくれるの、ありがたいわ。ちょっと話があるのよ」
話ってなんだよ?と聞こうとするとシーナちゃんがお茶を運んできてくれた。
「では、ゆっくりしていってくださいね」
なんか本当の奥さんみたいで嬉しい。いや、奥さんになってもらう人だからね。
「貴女が椎名さんね」
「はい。はじめまして、椎名薫です」
「私達、三雲君とは同級生で、東って言います。そしてこっちが、歩……」
「岩沙です。よろしく」
「ちょうど良いわ。椎名さんも聞いてちょうだい。あなたにも関わりがあるのよ」
「はい。わかりました」
「ん?……思い出話を語りに来たわけじゃないのか?」
◇◇◇
少し間が空いて、岩沙が話し出した。
「ああ、俺たちは……これからの話しに来た」
「これから?」
「えっと、何から話そうか……そうだ、希美」
岩沙と東は、左手にお揃いの指輪を見せてくれた。
俺だってシーナちゃんと指輪あるもんね。……と、違うか。この指輪はアレか、結婚指輪的な……。
ん? 俺がシーナちゃんに贈ったペアリングって……。
何だよ俺、もうプロポーズ済みだったのか!?
そりゃ自覚なしにそんなことしちゃあ、ユキちゃんも怒るよね!
「まあそういう事で、俺たちは結婚する」
そりゃ同級生だから三十路なわけだし、学生の頃は別に恋人がいたと記憶しているけど、まあ元々仲良かったし、なるようになったんだな。
「おめでとう! これで『瑛沙の東翼』も万全だな。姫路城のクリアも近いんじゃないか?」
何だろう……2人に少しの沈黙があった。
「いや……俺たちは……引退するつもりなんだ」
……えっ?
「沙織や東悟、翼……あの人たちと私達は違う……。もちろん貴方達も⋯」
東が呟くように言う。
「まあ、お前ら特級職や上級職のパーティに、人数合わせで入った俺たちなんだ。今までよくやってこれたよ」
「ちょっと待て! 始まりは確かにそうだったかもしれないけど、岩沙に東……。【瑛沙の東翼】はお前たちのためのものでもあるはずだろ!」
【瑛】 雅
【沙】 織/ 岩【沙】(イワサ)
【東】 悟/ 【東】(アズマ)
【翼】(ツバサ)
瑛雅の【瑛】。
沙織の【沙】。
東悟の【東】。
翼の【翼】。
これで【瑛沙の東翼】というパーティ名を作ったのは確かだけど……。
でもさ、岩沙の【沙】でもあるし、東の【東】でもあるんだよ!
ぐぬぬぬっ、エイガっ!俺のシーナちゃんを⋯
ゆるさん!
でも、主人公の中では、一番不遇な青春時代を過ごしてるし、まぁ、仕方ないか⋯




