60.俺たちのレベリング
レベリングと言うと、普通なら何をするのだろう。
例えばこの上級ダンジョンなら、昆虫エリアで火魔法を使って効率よくモンスターを狩って経験値を貯めるのが良さそうだ。
または、「メタルダンジョン」と言われるダンジョンへ遠征して鉱物モンスターを狩って、効率良く経験値を稼いだりするのだろう。
でも、俺とシーナちゃんは違う……。
畑仕事をして、野菜を食べて経験値を得る。
モンスターをチンタラ倒していたのでは、もう一生かけてもレベルは上がらないだろう。
そう。俺たちはレベリングをする必要があった。
◇◇◇
真のボス【獅子丸キマイラ】はかなりの強敵だった。
衝撃波による攻撃。火を吹くブレス。
前足の爪、ライオンヘッドによる噛みつきは一撃でも食らえば人生が終わってしまいそうだ。
タメなしスキルの「孤狼堕」ではダメージを与えきれない。
孤狼堕は、読んで字の通り「一匹狼を死の淵に堕とす」スキル。単体攻撃専用とも言える聖剣の勇将牙を得て、この単体攻撃特化のスキルを獲得した。
だがこのスキル、弱点をつくバスターショットとは違い、その攻撃力をモロにステータスに依存するようだった。
ならバスターショットをとタメを作ろうとすると、キマイラから竜巻が起きて、タメた力がキャンセルされてタメが作れない。ユキちゃんの詠唱もキャンセルされてしまうみたいで、強力な魔法が放てない。
有効なのは、ユキちゃんが無詠唱で放つ闇魔法だけだった……。
ステータス依存スキル「孤狼堕」でダメージが与えられない……。
圧倒的にステータスが足りていなかったんだ。
「こんなステータスでは超級では通用しない」と嘲笑うかのように、キマイラは衝撃波を放ち、ブレスを吐いて俺たちにダメージを与え、体力を削っていく。
体力は、準備した豆を食べれば回復する。
だが、ダメージは身体の芯に蓄積していく。
◇◇◇
「撤退だな……」
「うむ。仕方あるまい」
「はい。私が目くらましをするので、その隙に!」
「まあ、シーナちゃんだけにさせられないよ」
「そうじゃな」
俺は【乱斬丸】の無数の斬撃で、
シーナちゃんは忍術で煙幕を張って、
ユキちゃんは闇魔法でキマイラを覆う。
それでも隙を作れたのは、ほんの一瞬だったけど……。
なんとか逃げることが出来て、無事家に帰れた。
敗走したからと言って腹は減る。レベルを上げるためにも食わないと……。
◇◇◇
食卓を囲みながらも、みんなのステータスを確認する。
【三雲 瑛雅】
レベル: 34
称号: 勇者
戦闘力: 82(+3)
持久力: 68(+2)
魔法力: 82(+3)
魔力量: 68(+2)
器用さ: S
運: S
【椎名 薫】
レベル: 33
称号: くノ一
戦闘力: 66(+3)
持久力: 79(+3)
魔法力: 48(+2)
魔力量: 48(+2)
器用さ: S
運: B
【ユキ(実体モード:年齢=レベル)】
レベル: 16(1UP!)
称号: ダンジョンマスター
戦闘力: 48(+3)……[幽体:16]
持久力: 63(+3)……[幽体:21]
魔法力: 120(+6)……[幽体:165]
魔力量: 110(+6)……[幽体:55]
強くなったとは思う。思うけど、オレが目指す高みはまだまだ先だ。超級ダンジョンで【瑛沙の東翼】と再会するとアイツらと誓い合ったんだ。
獅子丸キマイラに通用するのは、100超えしているユキちゃんのステータス。
シーナちゃんはアタッカーとしては通用しなかったが、斥候と撹乱役としては十分にやってくれている。
問題は俺なんだよ。
俺のレベルを少なくとも40にして、ステータスを上げる必要がありそうだ。
「もう豆飽きたから肉食いたい」とか言ってる場合では無いよね。
いや豆はもういい、肉食いたい⋯。
こんな気持ちわかるでしょうか?




