57.闇魔法【常闇の檻】
「シーナちゃん。ユキちゃんの準備ができるまで、俺達でやろう」
「はいっ!」
うん。いい返事だ。
「斃してしまってもいいからね」
「そうですね! やってしまいましょう!」
戦闘中でも「絆の指輪」がある。シーナちゃんとのコミュニケーションはバッチリだ。
◇◇◇
バフを最大限にかけた俺とシーナちゃんが前線に出る。
魔法系のボスとは言え、攻撃を食らえば致命傷になる恐れもある。でも恐れることなかれ、俺たちには【瑛沙の東翼】っていう心強い味方がいる。
攻撃は聖騎士の翼が受けてくれる。
ダメージを負っても聖女のサオリがいる。
さらにサオリが聖属性の防御幕を張ってくれて、千姫からの全体攻撃もほとんど届かない。
攻撃は当たるし、上手く戦えている。
シーナちゃんとの連携もバッチリだし、時折シーナちゃんが急所攻撃を当てている。
でも……。
「手応えが全然ないですね」
「そうだな。ダメージが通っている気が全然しない」
まあ、今までのパーティもこんな感じでジリ貧になり、攻略できなかったのだろう。
(―エイちゃん、もう少しじゃが。お主も準備できるか。トドメはお願いしたいのじゃ!)
「エイガさん! 私が引きつけます!」
「……いける?」
「はい! 問題ないです!」
俺もタメを作る。バスターショットの準備だ。
◇◇◇
シーナちゃんは翼のフォローを受けながらも縦横無尽に駆け回り、千姫を翻弄している。やっぱりこのコは優秀だよな。
もう少し攻撃力が上がれば、斃してしまうのではとも思うけど……。
(―エイちゃん、準備できたぞ)
「よし。みんな引いてくれ!」
ユキちゃんの前方が開く。ユキちゃんと千姫が正対する。
「聖光波!」
千姫から放たれた聖属性の魔力。
その全てを、ユキちゃんの闇魔法が飲み込んでいく。
「闇魔法、極――【常闇の檻】!」
黒いモヤのようなものが光を打ち消し、千姫を牢獄のような檻が囲っていく。
【闇魔法・極:常闇の檻】
効果: 完全拘束(動作不能)
デバフ: 攻撃力低下/守備力低下
継続ダメージ: 大
みるみるうちに千姫が弱っていく。
このままでも倒せるかと思ったが――
「エイちゃん、トドメを刺すのじゃ」
そっか! 俺がトドメを刺して「運S」のドロップで「聖なる石」を狙うんだった。
流石はユキちゃん、抜かりないぜ!
「よし! ホーリーバスターだ!」
剣に闇属性を纏わせて、対聖属性特効を撃つ。
サビがまだ付いていて完璧ではないが、これは勇者の剣だ。
【勇将牙】を振りかぶり、上段から檻ごとぶった斬る!
闇属性を纏った聖剣というややこしい状態の俺の剣だったが、ダンジョンボス【千姫】の撃破に成功した。
◇◇◇
ドロップ品には、光り輝く石が見える。
「やったな! 聖なる石も獲れた!」
シーナちゃん、ユキちゃんと目を合わせてハイタッチ。
【瑛沙の東翼】の3人とも喜び合った。
「エイガ、ありがとう。これで攻略が進むよ」
東悟と握手する。
「まあ、ここまでお膳立てしてくれたらな」
「三雲君、本当に強くなったのね」
翼も笑顔だ。
「おう。まだまだ強くなるけどな!」
「……」
サオリが感極まっているのか、ウルウルとしている。
「サオリ……泣いてるのか?」
「ううん。嬉しいのよ」
まあ、ずっとこの先に進めてなかったもんな。
「今回は俺達も超級ダンジョンがどんな所かわかったし、良かったよ。早く上級クリアして、このレベルで戦えるようになりたいもんだよ」
「……そうね……。エイガ、上級をクリアしたら……」
サオリが何か言いたそうだが、
「えっと……お祝いさせてよね」
「? おう。あ、そうだ。ウチに招待するよ。田舎の一軒家で畑とか田んぼとか作ってるからさ」
「え……なにそれ? じゃあアンタが勇者やめて農民に転職したってデマは本当だったの?」
「ははは。そんな噂あったんだ。まあ、ある意味ホントなんだよ」
◇◇◇
その後も差し障りない話を少し続けて、俺達は別れた。
サオリが何を言いたかったのかは気になるところだが、次は俺達も「超級パーティ」として再会することを、みんなで誓い合ったんだ。
エイガさんの必殺技「バスターショット」に加えて、ユキちゃんの「常闇の檻」と言う必殺技ができました。
シーナちゃんにも何か考えてあげないとですね。




