55.超級の実力
「やっぱ、エイガのバフは良い!」
今の俺なら滅茶苦茶苦戦しそうな敵を、バッサリと一刀両断にした東悟が言う。
「ははは。俺のバフなんて微々たるもんだよ。それにしても物凄いな」
東悟は今や日本でも5本の指に入る攻撃力を持ったアタッカーだ。雑魚モンスターを一撃で蹴散らしていく姿は、感動的ですらある。
◇◇◇
そんな中でも――
「敵3体、後方から来ています!」
「後方の敵まで検知できるなんて、優秀だね」
シーナちゃんは超級ダンジョンでも斥候役として申し分ない働きをしている。
背が高く男前で美人すぎる聖騎士の翼にヨシヨシと褒められているのを見ると……なんか良いなぁって思う。
そしてユキちゃんはと言うと、魔法力は100をゆうに超えているから、当然のように超級ダンジョンでも通用している。と言うか、めちゃめちゃ効果的……。
「ユキちゃん、ボスのために魔法を温存しても大丈夫よ」
「わかったが、干し柿があるから大丈夫じゃ」
おぉ、ユキちゃんが珍しくやる気だ。
ボンキュッボン沙織とのやり取りも微笑ましくて、なんか良い。
干し柿は残り少ないけど、採れすぎたイチゴをドライフルーツにしてみたら、魔力回復がついた。
【エイガのドライいちご】
効果: 体力回復[小]/魔力回復[小]/疲労回復[小]/経験値[中]
フルーツ系の作物を干して保存食にすると、本当に魔力回復アイテムにできるのかもしれない。
ぶどうとかあれば良いんだけど、ユキちゃんのダンジョンには無い……。植えて育てるか。
ミカンとか柚子なら少し採れたけど
ユキちゃんに干し作物を作るなら何が良いか聞いてみたことがある。
「梅ならあるが、どうじゃろうな?」
「梅干しか……それ良いな。梅っていつ採れるの?」
「読んで字のごとくじゃな。梅雨と言うくらいではないか!」
おぉ。梅雨時期に梅を収穫して、8月くらいには梅干しができるだろうか?
ふははははっー!
今年の秋には、自家製の「経験値おにぎり弁当」でダンジョン攻略ができるというのか!
もう勝ったも同然ではないのか!?
◇◇◇
……こんな妄想でもしておかないと。
斥候として役に立つシーナちゃんと、十分に通用しているユキちゃん……。
俺だけ役立たずな気がして、ツラいんだ。
1年前までずっとこんなんだったけど、近頃はレベルも上がって、上級パーティ【雪の使徒】の中心として頑張れていたと思うんだけどな。
もう泣いちゃうよ。
◇◇◇
「おぉ。またレアドロップだよ。なんか初級の頃を思い出すなぁ」
「やっぱりエイガだったのね?」
東悟が「ドロップがツイてる」と呟き、サオリに聞かれた。前は俺のおかげって自信も無かったけど、隠すこともないか。
「まぁ、運Sだからな。俺がトドメを刺したらもっと確率上がるよ」
2人の目がキラんと光った気がした。
「まぁ、もっとも東悟が一撃で斃してしまうから、無理だろうけど」
「エイガ、バフを切ってみてくれ。いつもは一撃で倒せない敵もいるんだ」
「お、おう」
……俺のバフ、ちゃんと役に立ってたんだな。泣きたい気持ちが少し和らいだ気がしたけど……。
◇◇◇
東悟は少し手応えのありそうな竜型のモンスターとエンカウントした時、モンスターを一方的に蹂躙して、トドメも刺さず瀕死の状態にして俺の前まで引きずってきた。
「ぅ゙……」
なんか虫の息のモンスターが可哀想に思えてきたけどね。サビつきの【勇将牙】でペチッと刃を当てると、トドメを刺せたみたいだ。
「おぉ! 出た出た!」
鎧をドロップ。【ドラゴンメイル】。最高級の鎧の一つ。
俺には扱えないが、売れば莫大な金額が手に入る。
聖騎士の翼が装備しても良さそうだな。
「一旦回収しますね……」
ストレージにしまうシーナちゃん。
「斥候として優秀で、ストレージの容量もデカい、しかもそこそこ戦えるときた。沙織、どうするんだ?」
東悟がシーナちゃんを高評価している。東悟よ、それに「カワイイ」を足してあげてくれ。
「何で私に聞くのよ。どうしようもないでしょ。私とは役割が違うのよ」
「まぁ、奴さんの好みが変わってなけりゃ大丈夫なのかな」
「それはわからないけど、視線は変わらないわね!」
イマイチ噛み合わない会話だが……何の話をしているんだろうね。
視線はと言うと、サオリの大きな胸に釘付けだけどね。
なんか文句ある?
文句しかねえょ!(シーナ派の作者より)




